ANAの燃油サーチャージが9月発券分から引き下げ 欧米は片道5万5000円、8月中の発券は損になります

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9月1日から10月31日発券分の金額

新しい燃油サーチャージは、2026年9月1日から10月31日までに発券する航空券に適用されます。日本発着の1人1区間(片道)あたりの金額は次のとおりです。

区間 9〜10月発券分 7〜8月発券分 差額
欧州・北米・中東・アフリカ・オセアニア・中南米 55,000円 65,000円 10,000円引き下げ
ハワイ・インド・インドネシア 35,800円 40,400円 4,600円引き下げ
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア 27,300円 33,500円 6,200円引き下げ
ベトナム・フィリピン・グアム・パラオ・モンゴル 19,300円 22,500円 3,200円引き下げ
中国・マカオ・台湾・香港 14,300円 15,400円 1,100円引き下げ
韓国・ロシア(ウラジオストク) 6,500円 7,400円 900円引き下げ

往復で見ると、欧州・北米線は13万円から11万円へ2万円、率にして15.4%の引き下げです。ハワイは8万800円から7万1600円へ9,200円下がります。タイ・シンガポール方面は6万7000円から5万4600円へ1万2400円と、下げ幅の比率ではもっとも大きくなっています。

なお、JALは8月13日時点で9月以降発券分の適用額を発表していません。JALは9月以降発券分について8月中に案内する予定としており、ANAと同じ時期に引き下げる方針が報じられています。JAL便を検討している方は、発表を待ってから発券日を決めるのが確実です。

なぜ下がったのか、そして本来はもっと高かった

燃油サーチャージは、シンガポールケロシン市況の2か月平均を、同じ期間の為替の2か月平均で円換算した値で決まります。9月・10月発券分に反映されるのは、6月から7月にかけての燃油市況です。

この時期に市況が下がった直接のきっかけは、6月に米国とイランが戦闘終結の覚書に署名したことです。2026年に入ってからの燃油サーチャージ高騰は、中東情勢の悪化による原油高と円安が重なった結果でした。7月・8月発券分の欧米片道6万5000円は過去最高額で、往復13万円という水準は、航空券の本体価格に匹敵することも珍しくありませんでした。その要因のうち、中東リスクの部分が緩んだということです。

ここで見落とせないのが、今回の金額が「本来より1段階低い」ことです。ANAの説明によれば、6月から7月の平均燃油市況をそのまま当てはめると1バレルあたり2万1000円以上2万2000円未満のテーブルが適用されるはずでした。ところが実際には、中東情勢を踏まえた政府の緊急的な激変緩和措置による航空機燃料への補助効果を反映し、2万円以上2万1000円未満のテーブルが適用されています。

つまり、いま私たちが払う燃油サーチャージは、市況どおりの金額ではありません。政府の補助がなければ、欧米片道はもう1段階上の金額になっていた計算です。国際線を利用する人の負担が公的な支出で抑えられている状態で、この措置がいつまで続くかによって、次回以降の金額は市況とは別の理由で動く可能性があります。仮に補助が終われば、市況が横ばいでも燃油サーチャージだけが上がることになります。次の改定を待つかどうかを考えるとき、この点は頭に入れておいたほうがよいでしょう。

下げ幅が長距離に偏っていることの意味

今回の引き下げは、路線によって恩恵の大きさがまるで違います。欧米線は片道1万円下がる一方、韓国線は900円しか下がりません。往復2人で計算すると、欧米は4万円得をするのに対し、韓国は3,600円です。

これは燃油サーチャージという制度の性格によるものです。飛行距離が長いほど燃料を多く使うので、区間ごとの金額も距離に応じて段階が設けられています。市況が動けば、その影響も距離に比例して増幅されます。2026年前半にサーチャージが高騰したときに直撃を受けたのが欧米・ハワイ路線だったのと、ちょうど裏返しの関係です。

旅行者の行動という点では、この偏りは無視できません。韓国や台湾への週末旅行を考えている人にとって、900円や1,100円の差は発券日をずらす理由になりません。一方、家族4人でハワイへ行くなら、往復で3万6800円の差になります。欧米線で4人なら8万円です。ここまで来ると、旅行の中身を1つ増やせる金額になります。

言い換えると、今回の改定でスケジュールを組み直す価値があるのは、長距離路線を予定している人に限られます。近距離路線の利用者は、燃油サーチャージよりも運賃そのものやセールの有無を見るほうが、はるかに効果が大きいはずです。

旅行者への影響と、いつ発券すべきか

燃油サーチャージでもっとも重要なのは、金額が搭乗日ではなく発券日で決まるという点です。9月1日以降に発券すれば、その航空券の搭乗が年末年始でも来年の春でも、新しい安い金額が適用されます。逆に8月中に発券すると、搭乗が来年であっても7月・8月発券分の高い金額が確定します。

したがって、長距離路線の航空券をこれから買う予定で、いま急いで発券する理由がないなら、9月1日以降に回すのが合理的です。欧米往復なら1人2万円、ハワイ往復なら1人9,200円の差になります。

ただし、いくつか注意点があります。

第一に、運賃そのものの動きです。燃油サーチャージが2万円安くなっても、その間に運賃が3万円上がってしまえば意味がありません。年末年始やゴールデンウィークのように早い時期から座席が埋まる時期は、待つほど運賃が上がり、席も選べなくなります。安い運賃のクラスから順に売り切れるので、発券を先延ばしにするデメリットが上回ることは十分あり得ます。

第二に、予約と発券は別だという点です。座席を押さえた段階では発券は完了していません。旅行会社経由の場合は発券のタイミングを自分で決められないこともあるので、9月以降の発券を狙うなら、予約時に発券日を確認しておいてください。

第三に、特典航空券にも燃油サーチャージはかかります。マイルで航空券を取る場合でも支払いは発生するので、こちらも発券日で金額が変わります。マイルの残高に余裕があって出発日が先なら、9月に入ってから手続きするだけで負担が減ります。

第四に、8月中に発券済みの航空券が後から安くなることはありません。差額の返金という扱いにはならないので、すでに買ってしまった方は割り切るしかありません。

まとめ

ANAの国際線燃油サーチャージは、2026年9月1日から10月31日発券分について、欧州・北米線が片道5万5000円、ハワイ・インド・インドネシア線が3万5800円、韓国線が6,500円に引き下げられます。7月・8月発券分と比べると、欧米は片道1万円、往復2万円安くなります。

引き下げの背景には6月の中東情勢の落ち着きがありますが、今回の金額は政府の燃料補助を反映して本来より1段階低いテーブルが適用されたものです。制度の外側の要因で決まっている部分がある点は覚えておいてください。

長距離路線をこれから予約する方は、発券を9月1日以降にずらすだけで負担が軽くなります。一方、韓国や台湾など近距離路線では差額が1,000円前後にとどまるので、発券日より運賃そのものを見るほうが得です。JALの適用額は8月中に発表される見込みなので、JAL便で検討している方はその内容を見てから判断してください。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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