JR北海道、快速エアポートに新型車両739系3000代を2027年春投入

交通・観光ニュース

JR北海道、快速エアポートに新型車両739系3000代を2027年春投入

JR北海道は2026年9月18日、快速「エアポート」で使われている721系の後継車両として、新型車両「739系3000代」を導入すると発表しました。2027年春から営業運転を開始する予定で、定員は現行の721系から約1.5倍に増え、バリアフリー面の改善も加えられます。新千歳空港と札幌を結ぶ道内屈指のドル箱路線に、なぜこのタイミングで大規模な車両投資が行われるのか、発表内容と背景を整理します。

739系3000代の仕様と721系からの変化

739系3000代は6両編成を6本、合計36両を新造します。編成はモーター付き車両2両・付随車4両の2M4T、設計最高速度は130キロメートルです。車体はアルミダブルスキン構造で、先頭部のみ鋼鉄製とし、運転台は733系と同様の高運転台を採用します。

もっとも大きな変化は定員です。現行の721系3000番代は座席279席・定員527人ですが、739系3000代は座席287席・定員793人となり、座席数はほぼ変わらないまま立席スペースを含めた定員が大幅に増えます。指定席の「uシート」(4号車)は座席構造を見直し、足元スペースを拡大しました。車いすスペース付近は床の配色を変えて分かりやすくし、介助者用の折り畳み式簡易腰掛も新たに設置します。外観では、空港アクセス列車であることを示すため、前面に飛行機の主翼にある「ウイングレット」をイメージしたアクセントが加えられます。

車両スペック比較
項目 721系3000番代(現行) 739系3000代(新型)
座席数 279席 287席
定員 527人 793人
設計最高速度 120キロメートル台 130キロメートル
運転台 在来設計 733系と同様の高運転台
営業運転開始 2027年春予定

運用区間は快速エアポート(小樽〜札幌〜新千歳空港)が中心ですが、それだけでなく函館本線・千歳線・室蘭本線の小樽〜岩見沢・苫小牧間、学園都市線でも使われる予定です。空港アクセス専用車両ではなく、札幌圏の主要路線を横断して走る汎用性の高い車両として設計されています。

なぜ今、快速エアポートに大規模投資をするのか

JR北海道は多くのローカル線区で輸送密度の低迷に苦しんでいますが、快速エアポートが走る千歳線・函館本線の札幌圏は事情が異なります。同社が2026年7月に公表した線区別収支では、札幌圏の主要4線区が初めて通年で黒字化したことが明らかになっており、新千歳空港と札幌都心を結ぶこの区間は、同社の経営を支える数少ない稼ぎ頭のひとつです。新千歳空港の2025年(暦年)の旅客数は前年比8%増の2583万人で過去最高を更新し、なかでも国際線は23%増の434万人と大きく伸びています。空港利用者そのものが増え続けている以上、そこへのアクセス輸送力を強化することは、JR北海道にとって投資対効果の見込みやすい経営判断だといえます。

もうひとつ見逃せないのが、2026年1月に札幌圏で発生した記録的な豪雪による輸送障害です。JR北海道は同年7月末に公表した検証・改善の最終報告で、大雪時には快速エアポートの運行を最優先し、苗穂・白石の分岐器を固定してでも運行を確保する方針を打ち出していました。今回の739系3000代は、平常時の混雑緩和や快適性向上だけでなく、悪天候時にも安定して走らせ続けたい基幹列車という位置づけを、車両面からも裏付ける投資と見ることができます。定員を大きく増やしたことも、繁忙期やダイヤ乱れ時に積み残しを減らし、限られた運行本数の中で輸送力を確保する狙いがあるのではないでしょうか。

旅行者への影響と対策

739系3000代が営業運転を始めるのは2027年春からで、それまでは従来通り721系での運行が続きます。新千歳空港を利用する際にすぐに変化が出るわけではありませんが、指定席「uシート」を使う場合は、足元スペースが拡大されることで長時間の移動でも窮屈さが和らぐ見込みです。特に大きなスーツケースを持った空港利用者にとっては、車内の余裕が快適性に直結します。

座席数自体はほぼ据え置きのまま定員が1.5倍近くに増えるため、混雑時間帯でも立席スペースに余裕が生まれやすくなると考えられます。2027年春以降に新千歳空港へ向かう予定がある場合は、車両が入れ替わっているかどうかを気にする必要はなく、これまで通り事前に時刻表アプリなどで発車時刻を確認しておけば十分です。むしろ着目したいのは、739系3000代が快速エアポートだけでなく函館本線・千歳線・室蘭本線・学園都市線でも走る点です。空港利用者に限らず、札幌圏で通勤・通学や観光の移動をする人にとっても、座席のゆとりが変わる可能性がある変更といえます。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

ぴりかをフォローする
交通・観光ニュース

コメント