JR西日本、観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」で新見ワイナリー日帰りツアーを10月10日運行

auto-eyecatch-c3f2409674 交通・観光ニュース

JR西日本は2026年10月10日、岡山県を走る観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」を使い、岡山駅と新見駅を結ぶワイナリー日帰りツアーを特別運行します。新見市哲多町のワイナリー「domaine tetta」代表みずからが車内でワインを解説する、他では味わえない企画です。ツアーの中身と、この時期にJR西日本と新見市がこの企画に力を入れる理由を整理します。

ツアーの中身:料金・行程・予約方法

ツアーの運行日は2026年10月10日(土)の1日限定です。岡山駅に10時集合し、10時22分発の列車で新見駅へ向かい、12時22分に到着します。新見市内を巡ったのち、復路は新見駅16時19分発、岡山駅には18時20分に戻る行程です。

料金は大人17,800円、小学生15,400円で、定員は40名です。車内ではdomaine tetta代表の高橋竜太氏がワインを解説しながら、スパークリング・白・赤の3種類をテイスティングできます(20歳未満はぶどうジュースに変更)。あわせて新見の食材を使った特製弁当やお菓子が提供されるほか、ワインボトルタグを作る体験や、岡山県オリジナルのマスキングテープ配布も予定されています。販売は2026年8月3日午前11時から、JR西日本の観光予約サイト「tabiwa by WESTER」で始まります。定員が40名と少ないため、日程を決めている人は発売時刻に合わせて予約するのが確実です。

「ラ・マル・ド・ボァ」丸10年の看板列車

「ラ・マル・ド・ボァ」は、2016年4月9日に「ラ・マルせとうち」として岡山〜宇野間でデビューした観光列車です。同年開催の「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」と「瀬戸内国際芸術祭2016」に合わせた企画で、車両デザインは瀬戸内国際芸術祭の総合ディレクターを務めた北川フラム氏が監修しました。2026年はデビューからちょうど10年の節目にあたります。

現在は岡山〜宇野、尾道〜三原、日生、琴平を結ぶ4系統で運行され、全車グリーン車指定席(定員51名)、通常運賃は片道1,200円から2,450円です。今回の新見ツアーは通常の4系統とは異なる特別ルートで、料金も通常運賃の7倍以上にあたります。ワインテイスティングや食事、体験プログラムを組み込んだ企画商品として設計されていることがわかります。

なぜ新見市とdomaine tettaなのか

このツアーの背景には、JR西日本が抱えるローカル線の厳しい収支と、観光列車による収益多角化という事情があります。新見市は、JR西日本が存廃を議論しているローカル線「芸備線」の終点にあたる街です。JR西日本が発表した2022〜24年度平均の収支データでは、芸備線の東城〜備後落合間は2024年度の収支率が1.0%、1キロあたりの1日平均乗客数は19人、100円の収入を得るのに9,945円の費用がかかっている状態です。この区間では2025年10月、全国で初めて法定の「再構築協議会」が設置され、代替バスの実証運行も始まっています。

一方で、同じ新見市を舞台にしたdomaine tettaは、実家の建設業から転身した高橋竜太氏が耕作放棄地の問題意識から2009年に法人を立ち上げ、石灰岩のカルスト台地・標高約400mの気候を生かして自社畑約3万本のぶどうを100%自社栽培するワイナリーです。ローカル線区の維持が難しくなる一方で、同じ地域資源を高単価の観光商品に仕立てて収益を上げる取り組みが並行して進んでいる格好です。新見市も「観光アクションプラン」で国内客・インバウンド客の誘致や滞在時間の延伸、リピーター獲得を掲げており、JR西日本の企画とは狙いが重なります。今回のツアーは、2026年9月5日から11月30日まで実施される「おかやまハレいろキャンペーン2026」(JR西日本や岡山県、県内自治体でつくる協議会による観光キャンペーン)の目玉企画の一つと位置づけられており、収益性の低い区間を抱える街だからこそ、限られた需要を高単価な体験商品で取り込む発想が明確に表れています。

旅行者への影響と対策

このツアーに参加したい場合は、2026年8月3日午前11時の発売開始に合わせて「tabiwa by WESTER」で予約することが最優先です。定員40名という少なさに対し、ワインと食事、体験がセットになった企画性の高さから、発売直後に埋まる可能性があります。日程に融通が利く人ほど、早めに予定を固めておくことをおすすめします。

新見駅到着後の周遊時間には、domaine tettaのワイナリー見学のほか、新見市が誘致に力を入れる千屋牛を扱う飲食店で食事をとる、といった組み合わせも考えられます。ツアー自体に周遊の詳細が組み込まれているかは今後の発表を確認する必要がありますが、新見エリアは伯備線で岡山・倉敷方面ともつながっているため、ツアー日程の前後に新見の観光地を自分で組み合わせて滞在を延ばすことも可能です。20歳未満やアルコールが飲めない人にはぶどうジュースの用意があるため、家族での参加も選択肢に入ります。

まとめ

JR西日本は2026年10月10日、観光列車「ラ・マル・ド・ボァ」で岡山〜新見間のワイナリー日帰りツアーを運行します。定員40名、料金は大人17,800円で、8月3日午前11時から予約が始まります。ローカル線の収支が厳しさを増す新見市で、地元ワイナリーと組んだ高単価な観光列車企画が動き出した形です。参加を考えている人は、発売開始のタイミングを逃さないようにしてください。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

ぴりかをフォローする
交通・観光ニュース

コメント