韓国のLCC、チェジュ航空が大分〜ソウル/仁川線を2026年10月25日から毎日運航に切り替えます。現在の週3往復から週7往復へ、便数が2倍以上になる増便です。
ただ、この路線の便数が毎日運航に増えるのは今回が初めてではありません。むしろ「冬になると毎日運航、夏になると週3往復」という往復を、ここ数年ずっと繰り返しています。今回の発表も、その繰り返しの3巡目にあたります。単なる増便のニュースとして読むより、この路線がなぜそういう形になっているのかを見たほうが、実際に使うときの判断材料になります。
週3往復から毎日運航へ、10月25日から
現在の大分〜ソウル/仁川線は、大分発・仁川発とも火曜日・木曜日・土曜日の週3往復です。ここに残る4曜日が加わり、冬ダイヤ初日の10月25日から毎日1往復になります。
冬ダイヤ期間中のスケジュールは次のとおりです。
| 便名 | 区間 | 出発 | 到着 | 運航日 |
|---|---|---|---|---|
| 7C1812 | 大分→ソウル/仁川 | 14:00 | 15:45 | 毎日(10月25日から) |
| 7C1811 | ソウル/仁川→大分 | 11:05 | 13:00 | 毎日(10月25日から) |
使用機材はボーイング737-800です。大分〜ソウル線を運航しているのはチェジュ航空だけで、この1社が大分空港の韓国方面をすべて担っています。増便すれば路線全体の供給がそのまま2倍以上になり、減便すれば同じだけ細るという構造です。
冬はデイリー、夏は週3往復という繰り返し
この路線の便数の推移を並べると、はっきりした形が見えてきます。
チェジュ航空は2023年6月22日に大分〜仁川線へ週3往復で就航しました。2024年1月12日に週5往復へ増やし、2024年10月27日からは冬ダイヤ期間中の毎日運航に踏み切っています。ところが2025年3月末、夏ダイヤに切り替わるタイミングで週3往復に戻りました。当時の説明は機材繰りの都合です。
その後、2025年8月には同年10月26日からの毎日運航復活が発表されました。そしてまた夏ダイヤでは週3往復に戻り、今回の10月25日からの毎日運航につながっています。
冬ダイヤは毎日運航、夏ダイヤは週3往復。3年続けて同じパターンをなぞっていることになります。今回の発表でも運航期間は明示されていませんが、過去の運用を踏まえると、この毎日運航も冬ダイヤ期間中のものと考えて日程を組んだほうが安全です。2027年3月28日以降の予定を立てる場合は、便数がどうなるかを改めて確認することをおすすめします。
なぜ冬だけ毎日運航なのか
季節によって便数を変える路線は珍しくありませんが、大分線ほどはっきり2倍以上の差をつける例は多くありません。ここには複数の理由が重なっていると考えられます。
韓国側の需要が冬に寄っている
韓国から見た大分の売りは、別府と湯布院という温泉地です。温泉は冬に価値が上がる商品ですから、韓国側の需要そのものが冬に厚くなります。10月には開天節とハングルの日が並ぶ連休があり、年末年始も控えています。
逆に7月から8月は、韓国の旅行者にとって国内のリゾートや東南アジアのビーチと競合する時期です。同じ機材を飛ばすなら、夏はもっと稼げる路線に回したほうがいいという判断になります。
主力機の配分の中で優先順位が決まる路線
チェジュ航空は737-800を主力とするLCCで、日本の地方空港に数多く就航しています。1機あたりの投入先を細かく組み替えられるのがこの機種の強みですが、逆に言えば、どの路線も「他の路線に取られる」リスクを常に抱えています。
2025年3月に大分線が週3往復へ戻った理由が機材繰りだったことは、この構造をそのまま表しています。大分線は絶対的に守られる路線ではなく、シーズンごとの配分の中で優先順位が決まる路線だということです。冬に厚く、夏に薄くという運用は、その配分の結果として現れているのでしょう。
通年デイリーに踏み切るには実績が足りていない
もうひとつ考えられるのは、通年で毎日運航を維持できるだけの実績がまだ確認できていない、という単純な事情です。
大分空港の2025年度の国際線旅客数は約10万9700人でした。同年度の総旅客数は197万3157人で5年連続の前年度超えですが、国際線はそのうち5%強にとどまります。しかも韓国線に限れば、前年度の8割程度まで落ち込みました。国際線全体が前年度から約1万2000人増えたのは、2025年4月に就航した台北線が加わったためです。
つまり、大分空港の国際線は伸びてはいるものの、韓国線単独では縮んだ年度を経ています。この状態で通年の毎日運航に踏み切るより、需要が確実に立つ冬だけ厚くして実績を積むほうが、リスクは小さくなります。
全国では韓国客が過去最高なのに、大分の韓国線は細っていた
ここが、この路線を考えるうえでもっとも興味深い点です。
日本政府観光局が2026年8月19日に発表した7月の訪日外客数によると、韓国からの訪日者は89万4700人で前年同月比31.9%増、7月として過去最高でした。1月から7月の累計も656万9800人・20.3%増と、市場全体は明確に伸びています。同じ7月に中国が42万8200人・56.1%減と半分以下になったのとは対照的です。
それなのに、大分空港の韓国線旅客は2025年度に前年度の8割へ減りました。大分県によれば、2025年7月に県内へ宿泊した韓国からの旅行者は前年同期比40.9%減で、県は減便が影響したとみています。
これは、需要が消えたのではなく、席がなかったということだと考えられます。週3往復では、火曜日・木曜日・土曜日という限られた曜日にしか出入りできません。2泊3日や3泊4日といった一般的な日程が組みにくく、週末を絡めた短期旅行にも使いにくい。行き先を大分に決めていた旅行者ですら、日程が合わなければ福岡に流れます。福岡は韓国から日帰りもできるほど便数が厚く、そこから別府・湯布院へ入ることも十分可能です。
供給が需要を決めてしまう典型的な形です。今回の毎日運航で、少なくとも冬の間は「行きたい日に行ける」状態が戻ります。大分県が観光面での効果を期待するのも当然でしょう。
同時に、大分空港が台北線を抱えたことの意味も見えてきます。タイガーエア台湾の大分〜台北線は水曜日・土曜日の週2往復と便数こそ少ないものの、就航1年目の搭乗率は年間で約85%、冬ダイヤに限れば90%を超えました。2027年3月27日までの運航継続も決まっています。韓国線が細った年度に国際線全体を押し上げたのがこの台北線でしたから、行き先を分散させておくことが、そのまま空港の安定につながったことになります。1社1路線に依存する国際線は、その1社の機材配分ひとつで揺れる。大分空港はそれを実際に経験したわけです。
旅行者への影響と使い方
日本発の日程が組みやすくなる
日本から使う場合、大分14:00発・仁川15:45着というダイヤは扱いやすい部類です。午前中に自宅を出て空港に向かえば間に合い、ソウル市内には夕方から夜にかけて入れます。
注意したいのは復路です。仁川11:05発なので、空港には遅くとも9時前後には着いておく必要があります。ソウル市内から仁川空港までは1時間前後かかるため、最終日の朝はかなり早い出発になります。最終日に予定を入れるのは難しいと考えて、前日までに行きたい場所を回りきる組み方が現実的です。
そのうえで、毎日運航になる効果は大きいです。これまでは火・木・土に縛られていたため、2泊3日なら火曜発木曜帰り、木曜発土曜帰りといった限られた組み合わせしか選べませんでした。10月25日以降は、どの曜日に出てもどの曜日に帰れます。週末を使った2泊3日も、有給を1日足した3泊4日も、同じ路線で成立します。
仁川乗り継ぎという使い方
大分15:45着というのは、仁川での乗り継ぎを考えると悪くない時間です。仁川空港は夕方から夜にかけて欧州・北米方面の長距離便が集中するため、大分から出て同日中に第三国へ抜けるルートが組めます。
九州の南寄りや大分県内に住んでいる場合、福岡空港や関西空港まで陸路で出るより、大分から仁川経由のほうが移動時間の総和が短くなることがあります。毎日運航になれば、この使い方の自由度も上がります。ただし、チェジュ航空はLCCのため他社便との乗り継ぎ保証は基本的にありません。別々に予約する形になり、前の便が遅れた場合の責任は自分で負うことになります。乗り継ぎ時間は余裕を持って取ってください。
宿と予約のタイミング
冬の別府・湯布院は、増便によって韓国からの旅行者が増える前提で考えたほうがよいでしょう。年末年始や韓国の連休と重なる日程では、宿の確保が難しくなります。行き先が決まっているなら、航空券より先に宿を押さえておく順番でも構いません。
もうひとつ、大分空港から市内までのアクセスも確認しておく価値があります。空港特急バスで大分駅前まで約60分ですが、2024年7月に16年ぶりに復活したホーバークラフトを使えば、大分港(西大分)まで約35分です。仁川からの到着が13:00ですから、どちらを選んでも午後のうちに市内へ入れます。
期間には注意が必要
繰り返しになりますが、今回の毎日運航は冬ダイヤに合わせた措置で、期間は明示されていません。過去2回はいずれも夏ダイヤで週3往復に戻っています。2027年の春以降に大分〜ソウル線を使う予定がある場合は、その時点の便数を確認してから日程を決めてください。
まとめ
チェジュ航空が大分〜ソウル/仁川線を2026年10月25日から毎日運航に切り替えます。現在の週3往復(火・木・土)から週7往復へ、便数は2倍以上です。ダイヤは大分14:00発・仁川15:45着、仁川11:05発・大分13:00着で、機材は737-800です。
この路線は3年続けて「冬はデイリー、夏は週3往復」という運用を繰り返しており、今回もその延長線上にあります。韓国側の温泉需要が冬に寄っていること、737-800の機材配分がシーズンごとに組み替えられること、そして通年運航に踏み切るだけの実績がまだ積み上がっていないことが、その背景にあると考えられます。
訪日韓国人が7月に89万4700人・31.9%増と過去最高を更新する一方で、大分空港の韓国線旅客は2025年度に前年度の8割へ減りました。需要が減ったというより、週3往復という供給の側に原因があったと見るのが自然です。今回の増便で、少なくとも冬の間はその制約が外れます。
大分から韓国へ行きたい人、仁川乗り継ぎで第三国へ向かいたい人にとっては、日程の自由度が大きく上がる話です。復路が仁川11:05発と早いこと、そして毎日運航が冬ダイヤ期間のものである可能性が高いことの2点だけ、予約の前に確認しておくとよいでしょう。


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