首都圏新都市鉄道は2026年8月26日、つくばエクスプレスの「お得なきっぷ」を、10月1日からQRコード付きのQR乗車券に変更すると発表しました。対象は「筑波山きっぷ」「筑波山あるキップ」「TX&常総ライン往復きっぷ」の3種類です。
筑波山への日帰り登山や、関東鉄道常総線と組み合わせた小旅行でこれらのきっぷを使ってきた方にとっては、きっぷの受け取り方も改札の通り方も変わります。何がどう変わり、どこに注意が必要かを整理します。
対象となる3種類のきっぷ
変更されるのは次の3種類です。
- 筑波山きっぷ:つくばエクスプレス線の往復乗車券と、筑波山方面のバスなどの利用がセットになったきっぷ
- 筑波山あるキップ:同じく筑波山方面を対象としたセットきっぷ
- TX&常総ライン往復きっぷ:つくばエクスプレス線と関東鉄道常総線の指定駅間の往復乗車券
いずれも、これまでの磁気券からQRコードが印字された券面へ様式が変わります。自動改札機を通るときは、投入口にきっぷを入れるのではなく、QRコードの読み取り部にかざす操作になります。
連絡先のバス・鉄道では「見せる」操作が残ります
ここが実際の使い勝手に一番影響する点です。QR乗車券は、連絡先交通機関の自動改札機などには対応していません。筑波山方面のバスに乗るときや、関東鉄道常総線の駅を通るときは、QR乗車券をバス乗務員や駅係員に提示する必要があります。
つまり、つくばエクスプレスの改札はかざして通り、その先のバスや常総線では見せて通る、という二つの操作を使い分けることになります。とくにバスに乗るときは、乗務員に見えるようきっぷを手に持っておくと、乗降がスムーズです。
なぜ磁気券をやめてQRに移すのでしょうか
この変更は単独の施策ではありません。首都圏新都市鉄道は10月1日にQR乗車券システムそのものを導入し、同日に普通乗車券などの磁気乗車券もQR乗車券へ置き換えます。磁気の通勤・通学定期券と小児用回数券は先行して3月13日に販売を終了しており、磁気乗車券は9月末で全廃されます。今回のお得なきっぷの様式変更は、その全体移行の一部です。
設備の維持コストが判断の軸にあります
磁気乗車券を使うには、券面の裏に磁気層を持つ専用の用紙と、それを読み書きして搬送する自動改札機が必要です。この機構は部品点数が多く、券詰まりなどの不具合も起きます。しかも、磁気券に対応した改札機は鉄道業界だけで使われる特殊な機械で、専門性が高いぶん更新費用も保守費用も高止まりします。
QRコードは、光学的に読み取るだけで済みます。搬送機構が不要になるため機器の構造が単純になり、更新や保守の負担が下がります。首都圏新都市鉄道が挙げている「将来の設備更新や保守の効率化」という理由は、ここを指しています。
リサイクルの問題も無視できません
磁気券は金属を含むため、リサイクルの際に磁気層を分離して廃棄する工程が必要でした。QR乗車券であれば、環境負荷の低い通常の用紙に置き換えられます。年間で相当な枚数が発行される乗車券だけに、この差は積み重なります。
好調な経営だからこそ、今のうちに更新できるのではないでしょうか
つくばエクスプレスの2025年度の1日平均輸送人員は42万3000人で、2005年の開業以降で過去最高となりました。前年度の40万3000人を上回り、年間の輸送人員は1億5291万人に達しています。2025年3月期は3年連続の黒字で、税引き利益は59億円でした。
こうした数字を見ると、今回の設備移行の位置づけが見えてきます。業績が苦しくなってから設備更新を迫られるのではなく、余力があるうちに次の20年を見据えた仕組みへ切り替えているという順序です。沿線の人口増加が続いている今のうちに投資を済ませておけば、更新時期が重なって一度に負担が集中する事態を避けられます。
JR東日本や京成電鉄、西武鉄道もQR乗車券の導入方針を打ち出しており、業界全体が同じ方向へ動いています。首都圏新都市鉄道はその中でも早い時期に全面移行に踏み切る事業者です。路線が2005年開業で設備が比較的新しく、駅数も20駅と限られているため、一斉に切り替えやすいという事情もあるのではないでしょうか。
旅行者への影響と対処法
10月1日以降に筑波山や常総線方面へ出かける予定がある方は、次の点を押さえておいてください。
きっぷを折り曲げない、濡らさない
QRコードは印字を光学的に読み取るため、券面が折れたり汚れたりすると読み取れなくなることがあります。磁気券も傷には弱かったのですが、QRの場合は印字そのものが判読できるかどうかが直接効いてきます。財布に入れるときは、折り目がつかない場所を選んでください。
連絡先での提示に備える
前述のとおり、筑波山方面のバスや関東鉄道常総線では係員への提示が必要です。ザックの奥にしまい込まず、すぐ取り出せるポケットに入れておくと乗り換えが楽になります。
9月中に使う分は従来どおりです
磁気乗車券の販売は9月末までです。9月中に出かける方は、これまでと同じ磁気券を使うことになります。切替日をまたいで旅行する場合、往路と復路で様式が変わる可能性があるので、購入時に係員へ確認すると確実です。
まとめ
今回の変更は、きっぷの中身が変わるものではなく、券面の様式と改札の通り方が変わるものです。値段や利用できる区間はそのままなので、筑波山への日帰り旅行の使い勝手が損なわれるわけではありません。
一方で、連絡先のバスや常総線では係員への提示が必要になるという点は、事前に知っておかないと乗り換えの現場で戸惑います。10月以降にこれらのきっぷを使う予定がある方は、この一点だけは覚えておいてください。


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