JR西日本は2026年8月21日、嵯峨野線と奈良線で秋の行楽・紅葉シーズンの混雑緩和に取り組むと発表しました。臨時列車の運転に加えて、一部の列車の両数を増やして走らせます。注目したいのは、どの日に混むと見込んでいるのかが日付単位で公表されている点です。嵐山や東福寺へ行く予定を立てるとき、この日付表はそのまま使えます。
嵯峨野線は1日最大10本増発、51本を増結
嵯峨野線でJR西日本が「特に多くの利用が見込まれる」としているのは、10月10日・11日・24日・31日と、11月1日〜3日・7日・14日・15日・21日〜23日・28日・29日です。この日は1日あたり臨時列車10本を運転し、さらに51本の列車で両数を増やします。4両・6両編成の列車を6両・8両編成に変更する形です。
これに次ぐ混雑が見込まれるのが、10月3日・4日・12日・17日・18日・25日と、11月8日・13日・19日・20日・25日〜27日・30日です。この日は臨時列車の設定はなく、50本の列車で増結のみを行います。
| 対象日 | 臨時列車 | 両数を増やす列車 |
|---|---|---|
| 10/10,11,24,31 11/1〜3,7,14,15,21〜23,28,29 |
10本 | 51本 |
| 10/3,4,12,17,18,25 11/8,13,19,20,25〜27,30 |
― | 50本 |
本数はいずれも1日あたりです。沿線でイベントが開かれる場合や車両運用の都合によって、本数が変わることがあります。
奈良線は11月下旬に集中
奈良線は嵯峨野線より対象日が絞られています。臨時列車を運転するのは11月21日〜23日と28日で、1日あたり臨時12本、増結16本です。11月7日・14日・15日・29日は増結16本のみとなります。増結は4両編成を6両編成に変更する形です。
| 対象日 | 臨時列車 | 両数を増やす列車 |
|---|---|---|
| 11/21〜23,28 | 12本 | 16本 |
| 11/7,14,15,29 | ― | 16本 |
嵯峨野線が10月から対象日を設けているのに対し、奈良線は11月に入ってからしか設定がありません。京都南部の紅葉が色づくのが11月中旬以降であることを反映した設定です。
増発より増結を選んでいる意味
今回の発表で目を引くのは、増発と増結の本数の差です。嵯峨野線の最混雑日でも臨時列車は10本にとどまり、増結は51本にのぼります。奈良線も臨時12本に対して増結16本です。JR西日本は列車の本数を増やす方向ではなく、1本あたりの輸送力を上げる方向に重心を置いています。
これは線路の容量という制約から来ています。嵯峨野線は京都から園部へ向かう山陰本線の愛称で、京都〜嵯峨嵐山の区間はすでに高い頻度で列車が走っています。ダイヤの隙間に臨時列車を差し込める余地は限られており、無理に増発すれば全体の遅れにつながります。それに対して、4両を6両に、6両を8両にする増結は、ホーム長が足りていれば線路容量を消費せずに輸送力を増やせます。増結51本という数字は、増発10本の5倍の手当てをしているということです。
背景にある需要も明確です。日本政府観光局が8月19日に発表した7月の訪日外客数は344万2,100人で、7月として過去最高でした。京都市は2026年3月1日の宿泊分から宿泊税を引き上げ、宿泊料金に応じた5段階の課税に改めました。1人1泊の宿泊料金が6,000円未満なら200円、10万円以上なら1万円という設計で、最高額は従来の1,000円から10倍になっています。観光客の負担で対策の財源を確保する方向がはっきり出ています。嵐山・東福寺という秋の京都でもっとも人が集まる場所へ、嵯峨野線と奈良線がそれぞれ直接向かっている以上、両線の混雑は京都の観光政策そのものと直結しています。
あわせて興味深いのが、車内の混雑緩和策として補助シートを使える時間帯を短縮している点です。補助シートは折りたたみ式の座席で、これをたためば立つスペースが広がり、乗り降りもスムーズになります。座席を減らして立ち席を増やすという判断です。
同じJR西日本が同じ8月21日に、琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線や大和路線・大阪環状線では有料着席サービス「うれしート」の設定を大幅に増やすと発表しています。片方では座席を売る方向へ、片方では座席をたたむ方向へ動いているわけです。矛盾しているように見えますが、混雑の質が違うと考えれば筋が通ります。1時間以上乗る中距離の快速では着席に価値がつき、京都から嵐山まで15分ほどの短距離では乗り降りの速さのほうが効いてくる。路線ごとに処方箋を変えているということです。
旅行者はこの日付表をどう使うか
もっとも実用的なのは、公表された日付を避けることです。嵯峨野線でいえば、10月10日・11日・24日・31日、11月1日〜3日・7日・14日・15日・21日〜23日・28日・29日がJR西日本自身が最も混むと見ている日です。これらの日を1日ずらすだけで、体感の混雑は大きく変わります。紅葉の見頃を外したくない場合でも、11月の平日、たとえば火曜や水曜であれば対象日にほとんど含まれていません。
日程を動かせない場合は、時間帯をずらす方法があります。嵐山方面は午前10時台から午後3時台に人が集中します。京都を朝早く出て午前中に嵐山を回り、昼過ぎに戻る行程なら、下りも上りも比較的空いている時間に乗れます。
嵯峨野線のホームは京都駅の西寄りにあり、新幹線や東海道線のホームからはかなり歩きます。混雑日は改札からホームまでの移動にも時間がかかるので、乗り継ぎ時間には余裕を持たせてください。
奈良線を使って東福寺や宇治へ行く方は、11月21日〜23日・28日が最混雑日です。奈良線は増結後でも6両編成で、嵯峨野線の8両より輸送力が小さい点にも留意してください。東福寺駅は奈良線と京阪本線の乗換駅でもあるため、京阪を使うルートも並行して検討する価値があります。
補助シートが使えない時間帯が広がっているため、以前と同じ列車に乗っても座れる席が減っている可能性があります。混雑日に長時間立つのが難しい方は、時間帯をずらすか、京都市営バスや他社線を含めた別のルートを検討したほうが確実です。
まとめ
JR西日本が混雑を見込む日付をここまで具体的に出しているのは、利用者に日程をずらしてほしいという意思表示でもあります。増発10本に対して増結51本という配分が示すとおり、鉄道側にできることには限りがあります。秋の京都へ行く予定がある方、特に嵐山と東福寺を回る計画の方は、まず公表された日付表と自分の日程を照らし合わせてみてください。1日ずらせるなら、それがもっとも効果の大きい混雑対策です。日程を動かせない方は、朝早い時間帯に動くことで混雑のピークを外せます。


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