にんにんパス(QR)が9月1日発売 2000円で伊賀・信楽を1日周遊できるデジタルきっぷ

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JR西日本、信楽高原鐵道、伊賀鉄道の3社は2026年8月26日、伊賀・信楽エリアを1日で周遊できるデジタルきっぷ「にんにんパス(QR)」を発売すると発表しました。発売は2026年9月1日から、利用開始は10月1日からです。価格はおとな2,000円で、こども用の設定はありません。

これまで同じエリアで発売されていた「(ICOCAでGO)お茶と忍びの里まるごと満喫パス」を、QR乗車券の導入に合わせて名称変更のうえリニューアルしたものです。名前が短くなっただけでなく、特典も追加されています。

2,000円に含まれるもの

このパスは、次の3つがセットになっています。

  • JR線自由周遊区間の利用
  • 信楽高原鐵道(貴生川〜信楽)の1往復券
  • 伊賀鉄道(伊賀上野〜上野市)の1往復券

信楽高原鐵道の貴生川〜信楽は片道470円、往復で940円です。伊賀鉄道の伊賀上野〜上野市は片道450円で、往復すると900円になります。この2社分だけで1,840円ですから、JR線の周遊区間が実質160円で付いてくる計算です。草津線や関西本線をある程度乗るのであれば、区間ごとに買うより安く収まります。

さらに、沿線19施設で特典を受けられます。伊賀流忍者体験施設「万川集海」の魔堅窟巡りが2,000円から1,000円になる、島ヶ原温泉やぶっちゃの入浴が大人900円から750円になる、甲賀の里忍術村の入村料が大人2,000円から1,900円になる、といった内容です。信楽駅のレンタサイクルも普通自転車が500円から250円、電動自転車が1,000円から500円と半額になります。特典を2つ3つ使えば、パス代の元は容易に取れます。

利用条件で気をつけたい3つの点

KANSAI MaaSでしか買えません

このパスは「KANSAI MaaS」のアプリまたはWEBでのみ発売されます。駅の券売機やみどりの窓口では買えません。購入にはKANSAI MaaSの会員登録と、クレジットカードでの支払いが必要です。当日に思い立って駅で買う、という使い方はできないので、出発前にアプリを準備しておいてください。

発売のタイミングに制限があります

発売期間は2026年9月1日から2027年3月31日までですが、実際に買えるのは利用日の1か月前の10時から、利用開始日当日の15時までです。午後遅くに思い立っても間に合わない場合があるので、遅くとも前日までに購入しておくと安心です。

利用できない日があります

有効なのは利用期間中の指定した1日のみで、次の期間は利用できません。

  • 2026年10月20日(火)〜22日(木)
  • 2026年11月10日(火)〜12日(木)
  • 2026年11月17日(火)〜19日(木)
  • 2027年1月19日(火)〜21日(木)

いずれも火曜から木曜の平日3日間ずつという規則的な設定です。旅行日程を組むときは、この期間に当たっていないか先に確認してください。

なぜ3社が組んでこのパスを続けるのでしょうか

地方鉄道にとって「単独では呼べない客」を呼ぶ仕組みです

伊賀鉄道の2025年度の乗客数は118万6000人で、前年度より2万3000人増えました。それでも営業損益は1億1800万円の赤字です。同社は2017年4月から公有民営方式で運営されており、2025年度で10年目を迎えています。線路や車両などの施設を自治体が保有し、運行を鉄道会社が担う形にすることで、事業者側の負担を軽くしている状態です。

こうした路線が単独で観光客を呼ぶのは簡単ではありません。伊賀上野〜上野市はわずか片道450円の区間で、この区間の運賃収入だけで採算を語れる規模ではないからです。ところが、JR西日本の広域ネットワークと組み合わせて「京阪神から日帰りで行ける忍者の里」という商品にすれば、大阪や京都からの客を引き込めます。

JR西日本にとっては草津線・関西本線の閑散対策になります

JR西日本の側から見ると、狙いは別のところにあります。草津線や関西本線(加茂〜柘植)は、京阪神の主要路線と比べて利用が少ない区間です。こうした線区に、休日の観光需要を意図的に流し込む仕掛けとして企画きっぷが機能します。

2,000円という価格設定は、収益を上げるためというより、普段は乗られない区間に人を運ぶための呼び水だと考えられます。前述のとおり第三セクター2社の往復運賃を足すだけで1,840円ですから、JR西日本が受け取る取り分はごくわずかです。それでも成立するのは、パス利用者が沿線で飲食や買い物をすることによる地域全体の効果と、リピーターの獲得を見込んでいるからではないでしょうか。

QR化は「窓口を通さずに売る」ための転換です

今回のリニューアルで注目したいのは、販売チャネルをKANSAI MaaSに一本化した点です。従来の「(ICOCAでGO)お茶と忍びの里まるごと満喫パス」という名称からICOCAの文字が消え、QR乗車券に切り替わりました。

企画きっぷを紙で売ると、券面の印刷、窓口や券売機での取り扱い、精算の手間がかかります。利用が限られる商品ほど、この固定的な手間が重くのしかかります。デジタルで完結させれば、発売箇所を増やすコストがほぼゼロになり、細かい条件の商品も気軽に設定できるようになります。19施設という特典の多さも、紙のクーポン束を配る方式では実現しにくいものです。

名称を「にんにんパス」と短く親しみやすく変えたのも、アプリの一覧画面で選ばれることを意識した判断ではないでしょうか。

旅行者への影響と使い方の提案

京阪神から日帰りで出かけるなら、次のような回り方が組めます。信楽高原鐵道で信楽へ入って窯元や陶芸の町並みを歩き、貴生川へ戻ってから草津線・関西本線で伊賀上野へ移動、伊賀鉄道で上野市へ出て伊賀流忍者博物館や上野城を回る、という流れです。信楽駅のレンタサイクルが半額になる特典を使えば、駅から離れた窯元まで足を延ばせます。

注意したいのは、信楽高原鐵道も伊賀鉄道も1往復分しか含まれないことです。同じ区間を2往復するような行程は組めません。行きと帰りで別ルートを取るか、片道は徒歩やバスを使う前提で計画してください。

こども用の設定がない点も、家族連れには影響します。子どもの分は通常の運賃を払うことになるため、人数によっては個別に買ったほうが安くなる場合があります。出発前に、実際に乗る区間の運賃を足して比べておくとよいでしょう。

まとめ

にんにんパスは、京阪神から伊賀・信楽へ日帰りで出かける人に向いたきっぷです。第三セクター2社の往復運賃だけで元が取れる価格設定に加え、19施設の特典が付くため、2つ3つ立ち寄る予定なら確実に得をします。

一方で、KANSAI MaaSでしか買えない、利用日当日15時までの購入が必要、利用できない日がある、という3つの条件があります。出かける前にアプリを入れて、日程が除外日に当たっていないか確認しておいてください。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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