黒部峡谷鉄道トロッコ電車、2026年10月1日に全線運転再開 地震から2年9か月ぶり

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黒部峡谷鉄道トロッコ電車が全線運転再開

富山県の黒部峡谷を走る観光鉄道「黒部峡谷鉄道トロッコ電車」が、2026年10月1日の始発列車から宇奈月駅〜欅平駅間20.1kmの全線で運転を再開しました。2024年1月1日の能登半島地震で主要な橋梁「鐘釣橋」が落石によって損傷してから、2年9か月ぶりの全線復旧です。

地震発生後、黒部峡谷鉄道は安全確認のため宇奈月〜猫又間に区間を短縮して営業を続けてきました。本来、猫又駅は一般旅客が乗降できない駅ですが、折り返し運転の約2年間だけ特別にホームへ降りられる扱いが続いており、この臨時的な乗降も9月30日の運行をもって終了しています。

10月1日から11月30日までは宇奈月〜欅平間での運行となり、停車駅も宇奈月・黒薙・鐘釣・欅平の4駅に整理されました。運賃は宇奈月〜黒薙が片道大人830円・子供420円、宇奈月〜鐘釣が片道大人1,780円・子供890円、宇奈月〜欅平までの全線は片道大人2,480円・子供1,240円です。

なぜ今、全線再開にこだわったのか

黒部峡谷鉄道は1926年に黒部川の電源開発資材を運ぶ軌道として敷設が始まり、1953年に関西電力が地方鉄道業法の許可を得て旅客営業を開始した、もともと工事用トロッコが前身の路線です。1971年に鉄道専業の黒部峡谷鉄道株式会社が設立されてからは観光輸送が本業となり、記録が残る1974年から2024年までの累計輸送人員は約2,298万人にのぼります。年間の利用者数は2023年時点で53万5千人、2024年度のインバウンド比率は約16.5%です。

この規模の観光鉄道にとって、欅平まで行けない状態が2度の秋、つまり2024年・2025年と続いたことの損失は小さくありません。欅平は峡谷観光のハイライトである奥鐘橋や猿飛峡への入口であり、宇奈月〜猫又間だけの折り返し運転では、黒部峡谷の最大の見どころを観光客に提供できていなかったことになります。

鐘釣橋の復旧は一時「最短で2026年9月」という見通しも報じられていましたが、結果として紅葉シーズンの開幕とほぼ同時となる10月1日に全線再開がそろいました。黒部峡谷のトロッコ電車にとって紅葉期の10〜11月は1年で最も稼ぎ時のシーズンであり、ここに全線再開を合わせられるかどうかは、2年半分の遅れをどれだけ早く取り戻せるかを左右する分水嶺だったと考えられます。実際、9月1日時点で10月・11月分の予約はすでに前年を上回るペースで入っており、紅葉本番に向けてさらに伸びると見込まれています。

同じ黒部峡谷では、関西電力の専用保守ルートだった「黒部宇奈月キャニオンルート」も2026年の一般公開に向けて準備が進められています。両ルートはともに2024年の地震被害からの復旧という共通の背景を抱えており、宇奈月温泉を起点とする黒部峡谷観光が、トロッコ電車とキャニオンルートという2つの柱でほぼ同時期に本格復活する形になった点も見逃せません。宇奈月温泉の宿泊業にとっては、秋の集客を支える目玉が同時に戻ってきたことになります。

旅行者への影響と予約のポイント

欅平まで行けるようになった一方で、欅平駅周辺は駅舎とビジターセンター以外への立入が当面制限されています。これまで多くの観光客が歩いていた奥鐘橋や猿飛峡方面の遊歩道は、復旧工事の状況次第で引き続き利用できない可能性があるため、訪問前に黒部峡谷鉄道の公式サイトで最新の立入可否を確認してください。

欅平駅行きの乗車は、安全確保と混雑緩和のため受付数に制限が設けられています。乗車日の3か月前から予約が可能で、宇奈月〜黒薙・鐘釣間はインターネットと電話の両方、宇奈月〜欅平間は電話のみの受付です。紅葉のピークとなる10月下旬〜11月上旬は希望が集中しやすいため、欅平まで行きたい場合は早めに電話予約を済ませておくことをおすすめします。

宇奈月温泉で宿泊とセットで楽しむ場合、全線再開初年度ということもあり宿泊施設も混み合うことが見込まれます。紅葉シーズンの旅行を計画している方は、トロッコの乗車区間をどこまでにするかと宿泊先を早めに固めておくと安心です。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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