新幹線に「年齢だけで安くなるきっぷ」が登場します。JR東海・JR西日本・JR九州は2026年8月6日、18歳から22歳を対象にした「EX U22割」と、65歳以上を対象にした「EX 65+割」を発売すると発表しました。発売開始は9月15日、利用開始は10月1日です。同じ日にJR西日本も、e5489で買える「【WESTER会員限定】U22割」「【WESTER会員限定】65+割」を発表しています。
どちらもマイナンバーカードを使った本人確認が前提になっています。これまで年齢確認が必要な割引は駅の窓口でしか買えませんでしたが、その制約が外れました。
EX U22割・EX 65+割の中身
EXサービス(エクスプレス予約・スマートEX)で、年齢を利用条件とした割引商品が発売されるのは今回が初めてです。
対象は、EX U22割が乗車日時点で18歳以上22歳以下の人、EX 65+割が乗車日時点で65歳以上の人です。乗車券と特急券が一体になったチケットレス商品で、席数限定での発売になります。列車ごとに使える席数に限りがあるため、早めに押さえたほうがよさそうです。
対象の設備はグリーン車と普通車指定席です。価格例として、東京〜新大阪が12,930円、新大阪〜熊本が18,000円と示されています。東京〜新大阪の通常のきっぷ代は14,720円ですから、1,790円ほど安くなる計算です。
発売期間は2026年9月15日午前5時30分から2027年3月31日午後11時30分まで、利用期間は2026年10月1日から2027年3月31日までです。EX 65+割については、この期間内でも対象日が設定されています。購入には、マイナンバーカードやマイナポータルから取得した氏名・住所・生年月日・性別の情報を、EXアプリ上でEX会員情報に登録する操作が事前に必要です。
障がい者割引もネットで買えるようになります
同時に「EX 身体障がい者割引」「EX 知的障がい者割引」も発売されます。これまで駅の窓口などで身体障害者割引や知的障害者割引を適用したきっぷを買っていた人が、ネット予約とチケットレス乗車を使えるようになります。
対象は、身体障害者手帳または療育手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」欄に第1種または第2種の記載がある人です。第1種の人とその介護者が使える商品も用意されます。価格例は東京〜新大阪10,060円、新大阪〜熊本14,470円です。こちらは利用期間が2026年10月1日から通年で、対象設備にSupreme Class・グリーン車・普通車指定席・普通車自由席が含まれます。
JR西日本のWESTER会員限定きっぷ
JR西日本は、e5489で買える年齢別の割引きっぷを別に用意しました。仕組みが少し違います。
対象はJR西日本線の営業キロ(運賃部分)が101キロ以上の区間で、新幹線・特急列車・普通列車(新快速・快速を含む)のグリーン車または普通車指定席を使う場合です。普通列車は自由席でも使えます。割引が適用されるのは運賃部分で、20%引きになります。運賃だけ、料金だけの発売はなく、運賃と料金をセットで買う形です。
発売額の例は、新大阪〜博多が14,060円(所定額16,020円、のぞみ・みずほ利用)、大阪〜金沢が8,440円(所定額9,410円)です。いずれも大人1名・片道・通常期・普通車指定席の場合の金額です。
発売期間は2026年9月1日から2027年3月31日まで(利用日の1か月前から当日まで)、利用期間は2026年10月1日から2027年3月31日までです。きっぷによって使えない期間があります。
購入には、WESTER会員登録(無料)と、WESTER会員サポートページでのマイナンバーカードによる本人確認が必要です。本人確認を済ませた本人だけが購入・利用でき、複数名の同時購入はできません。法人会員は対象外です。
| 項目 | EX U22割・EX 65+割 | 【WESTER会員限定】U22割・65+割 |
|---|---|---|
| 運営 | JR東海・JR西日本・JR九州 | JR西日本 |
| 予約サービス | エクスプレス予約・スマートEX | e5489 |
| 対象路線 | 東海道・山陽・九州新幹線 | JR西日本線の新幹線・特急・普通列車 |
| 割引の形 | 乗車券と特急券が一体の割引商品(席数限定) | 運賃を20%割引(運賃と料金をセットで発売) |
| 距離の条件 | 記載なし | JR西日本線の営業キロ101キロ以上 |
| 対象設備 | グリーン車・普通車指定席 | グリーン車・普通車指定席(普通列車は自由席可) |
| 発売期間 | 2026年9月15日〜2027年3月31日 | 2026年9月1日〜2027年3月31日 |
| 利用期間 | 2026年10月1日〜2027年3月31日 | 2026年10月1日〜2027年3月31日 |
| 価格例 | 東京〜新大阪12,930円、新大阪〜熊本18,000円 | 新大阪〜博多14,060円、大阪〜金沢8,440円 |
なぜJR各社が年齢別の割引に踏み込んだのか
年齢で割り引くきっぷ自体は、JRにとって新しいものではありません。それでも今回の発表が節目になるのは、条件が3つ重なったからだと考えられます。
マイナンバーカードで年齢確認ができるようになりました
いちばん大きいのは技術面の変化です。年齢や資格を条件にした割引は、これまで窓口で証明書を提示する運用が前提でした。学生証や手帳を目視で確認する必要があるため、ネット予約やチケットレス乗車には載せられませんでした。
今回JR西日本は、デジタル庁が提供する「デジタル認証アプリ」を使った本人確認機能をWESTERサービスに実装します。EXサービス側もマイナンバーカードやマイナポータルから取得した情報を使います。窓口に行かずに年齢を証明できる仕組みが整ったことで、これまで実現できなかった商品設計が可能になりました。障がい者割引がネット予約に対応したのも同じ理由です。
みどりの窓口が縮小していく流れの中で、窓口でしか買えない割引が残り続けることは、JR各社にとって負担でした。窓口を減らすほど、割引を必要とする人が不便になるからです。その矛盾を解く手段として、マイナンバーカードの活用に踏み切ったと見るのが自然でしょう。
埋めたい席が、若年層とシニア層で違います
JR東海・JR西日本・JR九州の発表では、EX U22割の対象を「新幹線でのご旅行に慣れ親しんでいただきたい若年層」、EX 65+割の対象を「比較的時間に余裕があるシニア層」と説明しています。この書き分けに、両者へのねらいの違いが出ています。
18歳から22歳という区切りは、大学生・専門学校生の年代とほぼ重なります。この層は高速バスやLCCとの価格差に敏感で、新幹線から離れやすい世代です。ここで「新幹線は思ったほど高くない」という経験をしてもらえば、就職後に出張や帰省で使う客になります。目先の収益より、将来の顧客をつくる投資という色合いが濃い商品です。
一方の65歳以上は、規模がまったく違います。総務省統計局の推計では、2025年9月15日現在の65歳以上人口は3,619万人で、総人口の29.4%を占めます。この層に「比較的時間に余裕がある」と添えている点が重要で、要は平日や閑散期の空席を埋めたいということです。EX 65+割に対象日が設定されているのも、需要が集中する日を外して売る設計だからだと考えられます。席数限定という条件も同じ発想で、満席になる列車では売らずに、空きが出る列車に限って安く出す仕組みです。
ジパング倶楽部では届かない層がいます
シニア向けの割引としては、JR各社に「ジパング倶楽部」があります。ただしこの制度には制約が多く、個人会員の年会費は3,840円、初年度は1〜3回目が20%引きで4回目以降が30%引き、そして「のぞみ」「みずほ」の特急券・グリーン券は割引の対象になりません。加えて4月27日〜5月6日、8月11日〜20日、12月28日〜1月6日は使えません。
年に何度も長距離を移動する人には有利な制度ですが、年に1回か2回しか乗らない人にとっては、年会費を払ってまで入るものではありません。しかも所要時間の短い「のぞみ」「みずほ」を選ぶと割引が消えます。EX 65+割は年会費が不要でチケットレスで完結するため、ジパング倶楽部の外側にいる「たまに乗るシニア層」に届く商品になります。既存制度と食い合うのではなく、これまで拾えていなかった需要を取りに行く設計と考えられます。
2027年3月末までという期限の意味
EX U22割・EX 65+割、WESTER会員限定の2商品とも、利用期間が2027年3月31日までに区切られています。これは恒久的な制度としてではなく、半年間の試験販売として始めるということです。
年齢別の割引は、いったん通年で走らせると、本来なら通常価格で乗っていた客まで安い商品に流れる恐れがあります。どの区間で、どの時間帯に、どれだけ需要が上乗せされたのかを見極めるには、期間を区切って数字を取るのが合理的です。反応がよければ次のシーズンに設定が延び、条件が緩む可能性もあります。逆に、既存客の置き換えが目立つようなら、条件が厳しくなるか、そのまま終了することも考えられます。
旅行者への影響と、いま準備しておくこと
対象年齢に当てはまる人は、まず本人確認の登録から始めることになります。
| やること | 時期 | 場所 |
|---|---|---|
| WESTER会員登録とマイナンバーカードによる本人確認 | 9月1日の発売までに | WESTER会員サポートページの「マイナンバーカードによる本人確認情報の登録・照会」 |
| EX会員情報へのマイナンバーカード情報の登録 | 9月15日の発売までに | EXアプリ |
| デジタル認証アプリの用意 | 上記の前に | デジタル庁が提供 |
登録には「デジタル認証アプリ」が必要になるため、マイナンバーカードと、カードを読み取れるスマートフォンを手元に用意しておいてください。暗証番号を忘れている場合は市区町村の窓口での手続きが要るので、発売日の直前に慌てないよう、早めに確認しておくことをおすすめします。
使い分けの目安もはっきりしています。東海道・山陽・九州新幹線で長距離を移動するならEXサービスの商品、大阪から金沢や城崎温泉といったJR西日本エリアの在来線特急に乗るならWESTER会員限定のきっぷ、という切り分けになります。WESTER会員限定のほうは普通列車の指定席や新快速の自由席にも使えるので、新幹線を使わない旅程でも選択肢に入ります。
注意したいのは、どちらも本人しか使えないという点です。WESTER会員限定のきっぷは複数名の同時購入ができないため、家族旅行でまとめて予約する使い方はできません。対象年齢の家族がいる場合は、その人の分だけ別に手配する形になります。
EX U22割・EX 65+割は席数限定です。人気の時間帯では早く埋まることが予想されるので、日程が決まっているなら発売日の9月15日を意識しておくとよいでしょう。
まとめ
年に数回しか新幹線に乗らない65歳以上の人と、これから旅行の機会が増える18歳から22歳の人にとって、選択肢が増える発表です。年会費のかかる会員制度に入るほどではないけれど、正規料金は高いと感じていた層に、ちょうど当てはまる商品といえます。
一方で、期間が2027年3月末までに区切られていること、席数に限りがあること、本人しか使えないことは押さえておく必要があります。使うつもりなら、9月の発売前にマイナンバーカードによる本人確認を済ませておくのが確実です。


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