関西空港の旅客が8か月連続で前年割れ 7月は中国客63%減、中部空港は4か月ぶりに前年超え

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関西エアポートと中部国際空港が2026年8月26日までに、それぞれ7月の運営実績を明らかにしました。関西空港の総旅客数は248万2,521人で前年同月比11パーセント減となり、前年割れは8か月連続です。中国方面の外国人旅客は63パーセント減、中国便の発着回数は72パーセント減という数字が並びました。一方、中部空港の総旅客数は94万2,117人で1パーセント増と、4か月ぶりに前年を上回っています。同じ7月でありながら、二つの空港で対照的な結果が出ました。何が起きているのかを整理します。

関西空港の7月実績

関西空港の主な数字は次のとおりです。

項目 2026年7月 前年同月比
総旅客数 248万2,521人 11パーセント減
国際線旅客 197万1,467人 12パーセント減
国際線の外国人旅客 151万7,413人 15パーセント減
国際線の日本人旅客 44万3,214人 微増
通過旅客 1万840人 13パーセント減
国内線旅客 51万1,054人 7パーセント減

発着回数も大きく減りました。総発着回数は1万5,440回で17パーセント減、うち国際線が1万1,823回で21パーセント減です。国際線の内訳を見ると、旅客便が1万116回で24パーセント減、貨物便が1,636回で5パーセント増となっています。国内線は3,617回で4パーセント減でした。

貨物は好調です。国際貨物は7万2,292トンで6パーセント増、国内貨物は1,241トンで75パーセント増となりました。旅客便が減っているのに国際貨物が増えているという状況は、この空港の現状を象徴しています。

数字を動かしているのは中国路線

減少の中身を分解すると、原因はほぼ一点に絞られます。

中国方面の外国人旅客は29万4,000人で、前年同月比63パーセント減でした。訪日客に占める中国の割合は、前年同月の36パーセントから15パーセントへ下がっています。中国便の発着回数は1,425回で72パーセント減です。

国際線の外国人旅客全体は15パーセント減ですから、中国以外の方面は概ね持ちこたえていることになります。日本人旅客にいたっては微増です。つまり関西空港は、中国路線という一本の柱が折れたことで、空港全体の数字を落としているという構図です。

この状況の起点は、2025年11月14日に中国政府が自国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかけたことです。2026年1月には春節期間についても改めて自粛が呼びかけられ、中国の大手航空各社は日本路線の航空券について変更・キャンセル料を無料とする措置を延長しました。前年割れが8か月連続という期間は、この呼びかけからの経過とほぼ一致します。

関西空港はなぜ中国路線に大きく依存していたのか

同じ日本の空港でも、影響の出方には差があります。関西空港が特に大きく影響を受けたのは、この空港の成り立ちと関係があると考えられます。

関西空港は、成田・羽田と比べて中国・韓国・台湾といった近距離の国際線が占める割合の高い空港でした。24時間運用ができ、発着枠にも比較的余裕があったため、中国のLCCや中堅キャリアが日本へ乗り入れる際の受け皿になってきた経緯があります。関西・大阪の観光地が中国からの団体旅行の定番だったことも重なり、路線数と便数が積み上がりました。

この構造は、需要があるうちは強みです。近距離路線は機材の回転が速く、便数を積み上げやすいので、旅客数という指標では伸びやすくなります。ただし、一つの国からの需要に対する依存度が高いということでもあります。今回のように国家間の事情で渡航が止まると、その分だけ落ち込みも大きくなります。

7月の中国便の発着回数が72パーセント減という数字は、単なる搭乗率の低下ではありません。便そのものが消えたということです。航空会社は搭乗率が下がれば減便し、それでも回復が見えなければ運休します。72パーセント減は、その判断がすでに広く行われた結果を示しています。

国際貨物が6パーセント増えている意味

見落とされやすいのが、国際貨物の伸びです。旅客便が24パーセント減っているのに、貨物便は5パーセント増、国際貨物量は6パーセント増となりました。

旅客便の腹部にも貨物は積まれます。旅客便が減れば、その分の貨物搭載能力も失われるはずです。それでも貨物量が増えているということは、専用の貨物便が旅客便の減少分を補って余りあるということになります。

関西空港は関西圏の製造業の輸出入拠点であり、半導体製造装置や電子部品といった高付加価値の貨物を扱ってきました。この需要は旅行需要とは連動しません。旅客が減っても貨物が伸びるという状況は、この空港が旅客と貨物という二つの事業を持っていることを示しています。空港の収支という点では、旅客の落ち込みを一定程度和らげる材料になります。

中部空港は国内線が支えて前年超え

一方、中部空港の7月は総旅客数94万2,117人で1パーセント増となり、4か月ぶりに前年を上回りました。

項目 2026年7月 前年同月比
総旅客数 94万2,117人 1パーセント増
国際線旅客 38万9,000人 2パーセント減
国際線の日本人旅客 14万4,500人 4パーセント減
国際線の外国人旅客 24万3,700人 2パーセント減
国内線旅客 55万3,117人 4パーセント増

国際線は4か月連続の前年割れですが、減少幅は2パーセントにとどまります。関西空港の12パーセント減と比べると、落ち込みは限定的です。そのうえで国内線が4パーセント増と5か月連続で前年を上回り、全体を押し上げました。

発着回数は総数7,627回で7パーセント減、国際線が2,673回で19パーセント減、国内線は4,954回で前年同月並みです。国際貨物は1万2,148トンで12パーセント増、国内貨物は957トンで15パーセント増となりました。給油量は3万8,759キロリットルで1パーセント減、構内営業売上高は24億4,300万円で5パーセント減です。

二つの空港の差はどこから来るのか

同じ月に、関西空港は11パーセント減、中部空港は1パーセント増となりました。この差を生んだのは、旅客構成の違いだと考えられます。

中部空港は関西空港と比べて国内線の比率が高い空港です。7月の実績で見ると、中部空港の総旅客に占める国内線の割合は約59パーセントですが、関西空港では約21パーセントにとどまります。国内線は中国政府の呼びかけの影響を受けません。国内線の比重が大きい空港ほど、今回の局面では数字が安定します。

もうひとつは、国際線の中身です。中部空港の国際線は、もともと関西空港ほど中国路線に偏っていませんでした。名古屋圏は製造業の集積地で、東南アジアやアジア各地とのビジネス往来が国際線需要の土台になっています。観光の団体需要に依存する度合いが低いぶん、渡航自粛の影響を受けにくかったという見方ができます。

ただし、中部空港も国際線は4か月連続の前年割れです。国内線が支えているという構図であって、国際線が回復しているわけではありません。国際線の発着回数が19パーセント減という数字は、路線が削られていることを示しています。この点は関西空港と同じ方向の変化です。

旅行者への影響と、いま使える機会

数字の話に見えますが、旅行者にとっては具体的な機会と注意点があります。

まず、関西空港発着の国際線は、以前より取りやすくなっている可能性があります。座席の供給は減っていますが、それ以上に需要が減っている路線があるためです。特に中国方面は、便数が減った一方で運賃も下がっている状況が考えられます。上海・北京・台北といった近距離路線を検討している方は、価格を確認してみる価値があります。

次に、空港そのものの混雑です。国際線の発着回数が21パーセント減っているということは、保安検査や入国審査の混雑も以前より緩和されているはずです。関西空港は繁忙期の保安検査の行列が課題とされてきた空港ですが、この夏は状況が違います。乗り継ぎ時間の設定に余裕を見込みすぎる必要はないかもしれません。

一方で、注意しておきたい点もあります。中国路線の減便は、単に中国へ行きにくくなるだけではありません。中国系の航空会社は、中国国内の都市を経由して東南アジアや欧州へ向かう乗り継ぎ便を安く販売してきました。関西発でこの経路を使ってきた方は、選択肢が狭まっています。欧州や東南アジアへ向かう際は、韓国・台湾・香港経由や、直行便との比較を含めて経路を組み直す必要があります。

中部空港を使う方には、国内線の便利さが数字にも表れています。国内線が5か月連続で前年を上回っているということは、路線・便数が維持されているということです。名古屋圏から国内各地への移動手段としては、安定した選択肢が続いていると見てよさそうです。

そして、関西空港の中国路線がいつ戻るかという点は、旅行計画に関わります。中国政府の呼びかけが続く限り、航空会社は増便に踏み切りにくい状況です。2027年以降に中国方面への旅行を考えている方は、便数が限られる前提でスケジュールを組んでおくのが現実的です。

まとめ

関西空港の7月の数字は、中国路線への依存という一点が空港全体の実績を左右することを示しました。国際線の外国人旅客が15パーセント減となるなかで、日本人旅客は微増、国際貨物は6パーセント増です。落ちているのは中国路線であって、それ以外は概ね持ちこたえています。

中部空港が前年を上回ったのは、国内線の比重が大きく、国際線も中国路線への偏りが小さかったためだと考えられます。ただし国際線は4か月連続の前年割れで、こちらも回復局面には入っていません。

旅行者から見れば、関西空港は混雑が緩んで運賃も落ち着いている時期にあたります。中国方面へ行く予定がある方、関西空港から国際線を使う予定がある方は、この状況を織り込んで計画を立ててみてください。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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