JR九州は2026年10月15日、「Harry Potter×JR九州〜Magical Journey〜」と題したハリー・ポッターのコラボ企画を発表しました。期間は2026年11月14日から2027年6月30日までの約7カ月半で、885系・787系のラッピング列車運行に加え、長崎・大分・宮崎・鹿児島・福岡・熊本の6カ所で開催するイベント「Hogwarts Hour」、九州7県21駅を巡るスタンプラリー、ポップアップストアの出店までを組み合わせた大型企画です。権利表記は「All characters and elements © & ™ Warner Bros. Entertainment Inc. Publishing Rights © JKR.」で、ワーナーブラザース グローバル・コンシューマープロダクツとの共同企画になります。
ラッピング列車は885系と787系、運行区間と期間
885系のラッピング列車は2026年11月14日から2027年6月ごろまで、特急「ソニック」(博多〜中津・大分・佐伯)、「きらめき」(博多〜小倉・門司港)、「リレーかもめ」(博多〜武雄温泉)、「みどり」(博多〜武雄温泉・佐世保)、「かささぎ」(博多〜肥前鹿島)で運行されます。
787系(6両編成)のラッピング列車は2027年1月16日から2027年6月ごろまで、特急「にちりんシーガイア」(博多〜宮崎空港)、「にちりん」(大分〜南宮崎・宮崎空港)、「きらめき」(博多〜小倉・行橋)、「かささぎ」(門司港・小倉・博多〜佐賀・肥前鹿島)、「かいおう」(博多〜直方)、「ひゅうが」(延岡〜宮崎空港)で運行されます。いずれも通常の特急ダイヤにそのまま組み込まれるため、追加料金なしで乗車できます。
臨時列車「マジカルジャーニー号」は11月14日に博多発大分行き
初日の2026年11月14日には、特別臨時列車「マジカルジャーニー号」が博多〜大分間で1本だけ運転されます。全車指定席で、博多駅9時41分ごろ入線、大分駅には12時15分ごろ到着する予定です。指定席券は2026年10月16日午前9時からJR九州インターネット列車予約とみどりの窓口で発売が始まります。
同日の9時から9時45分ごろには博多駅2番のりばで出発式も行われます。式には抽選で選ばれた11歳の小学生4名が参加する予定で、応募期間は2026年10月16日9時から10月30日18時までです。式典自体を見に行きたい場合は、応募の有無にかかわらず当日の博多駅2番のりば付近が混み合うことを想定しておいたほうがよいです。
長崎・大分・宮崎など6カ所で「Hogwarts Hour」、ポップアップストアも
駅前広場での特別イベント「Hogwarts Hour」は、長崎県アミュプラザ長崎かもめ広場(12月12日〜13日)、大分県大分駅前広場(2027年1月16日〜17日)、宮崎県宮崎駅西口駅前アミュひろば(2月13日〜14日)、鹿児島県アミュプラザ鹿児島AMU広場(3月20日〜21日)、福岡県JR博多駅前広場(4月17日〜18日)、熊本県JR熊本駅白川口駅前広場(5月15日〜16日)の順に開催されます。クィディッチをモチーフにした体験やトレーディングカードゲーム体験、ワークショップ、グッズ販売が予定されています。
ポップアップストアはアミュプラザ長崎新館2階で12月12日から12月27日まで、アミュプラザおおいた1階で2027年1月16日から2月7日まで開催されます。それ以降の会場は後日発表予定です。限定オリジナルグッズに加え、「ハリー・ポッター マホウドコロ」の限定商品も販売されます。
このほか、博多・門司港・佐賀・長崎・大分・熊本・鹿児島中央・宮崎の8駅では、11月14日から2027年6月30日まで駅装飾とフォトブースが設置されます。博多駅の5連エレベーター前ガラス面では、11月6日から12月14日ごろまで約5700枚のステッカーを使ったピールオフ広告も展開され、はがしていくとラッピング列車のデザインが完成する仕掛けになっています。
スタンプラリーは九州7県21駅、景品は後日発表
スタンプラリーは魔法生物と魔法道具をモチーフにしたもので、期間は11月14日から2027年6月30日までです。対象は福岡県の博多・門司港・直方、佐賀県の佐賀・新鳥栖・肥前鹿島、長崎県の長崎・諫早・佐世保、大分県の大分・佐伯・豊後竹田、熊本県の熊本・新八代・肥後大津、鹿児島県の鹿児島中央・指宿・国分、宮崎県の宮崎・延岡・都城と、各県3駅ずつ合計21駅に設置されます。駅で配布されるパンフレット形式のスタンプ台紙に、改札内のスタンプ台で押印する形式です。改札内に入るには、乗車券や入場券が必要になります。景品の内容や応募方法は、後日特設サイトで発表される予定です。
なぜJR九州はハリー・ポッターとコラボするのか
今回の企画が目を引くのは、期間の長さと展開エリアの広さです。7カ月半という長期にわたり、福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・鹿児島・宮崎の7県すべてにイベントやスタンプラリーの対象駅を配置しています。JR九州は過去にも「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」とのコラボでラッピング列車を走らせていますが、これらは特定の特急・区間を中心にした数カ月単位の企画でした。今回は路線・県境をまたいでコンテンツを巡回させる設計になっている点が異なります。
この広域展開には、インバウンド需要を九州内でどう分散させるかという課題が背景にあると考えられます。九州を訪れる外国人旅行者の宿泊は福岡県に集中する傾向が強く、県境をまたいだ周遊はまだ限定的とされています。Hogwarts Hourの開催地を長崎→大分→宮崎→鹿児島→福岡→熊本の順に半年かけて巡らせ、スタンプラリーの対象駅も7県に均等に3駅ずつ割り振っているのは、福岡一極集中型の動線から旅行者を他県へ誘導する仕掛けとして機能するのではないでしょうか。
もう一つ参考になるのが、鉄道会社としてのハリー・ポッター活用の先例です。西武鉄道は2023年からワーナー ブラザース スタジオツアー東京への誘客を目的に、自社線(池袋〜豊島園、新宿線・拝島線など)でラッピング列車「スタジオツアー東京 エクスプレス」を走らせています。西武の場合は、沿線に実在するスタジオツアー施設への送客という明確な目的地が企画の軸にあります。これに対し、JR九州の沿線にはハリー・ポッターの常設施設は存在しません。目的地への送客ではなく、コンテンツそのものを使って九州全域への周遊行動を作り出そうとする設計だと見るのが実態に近いといえます。
また、11月14日限定の臨時列車や出発式、はがして楽しむピールオフ広告といった仕掛けは、メディア露出や話題性を生みやすい低コストな施策でもあります。7カ月半という長期の本編企画と並行して、こうした話題作りの単発企画を組み合わせている点からは、鬼滅の刃や呪術廻戦で蓄積したキャラクターコラボの手法を、より規模の大きいグローバルIPに適用して効果を検証しているという側面もありそうです。
旅行者への影響と対処法
ラッピング列車自体は通常の特急ダイヤに組み込まれて走るため、特別料金なしで誰でも乗車できます。乗りたい車両を指定することはできないので、確実に体験したい場合は、JR九州の特設サイト(jrkyushu.co.jp内)で運行予定を確認してから行程を組んだほうがよいです。
初日の「マジカルジャーニー号」に乗りたい場合は、2026年10月16日午前9時の発売開始にあわせてJR九州インターネット列車予約で確保するのが確実です。全車指定席で1日1本しか運転されないため、発表から乗車日までの期間が短いこともあり、早めに埋まる可能性があります。
Hogwarts Hourとポップアップストアは、開催期間が土日中心の2日間に限られています。長崎(12月12日〜13日)、大分(2027年1月16日〜17日)は特に、ポップアップストアの開催期間とHogwarts Hourの初日が重なっており、周辺が混み合うことが見込まれます。グッズ購入を目的にするなら、開催初日の午前中に向かうよりも、多少時間をずらすか、長崎は12月27日まで、大分は2月7日まで続くポップアップストア単独の期間に訪れるほうが落ち着いて見られます。
スタンプラリーは九州7県21駅のどこからでも始められるので、普段の旅程に無理なく組み込めます。ただし改札内のスタンプ台に押印するには乗車券か入場券が必要になるため、スタンプだけを目的に駅へ立ち寄る場合は入場券を購入する必要がある点を覚えておいてください。一部駅では新幹線と在来線のどちらか一方の改札にしか設置されないとされているので、訪問前に特設サイトで設置場所を確認すると行き違いを防げます。
景品の応募方法はまだ発表されていないため、スタンプを集めている方は特設サイトの更新を定期的に確認する必要があります。長期間の企画である分、無理に初日や開催初週に駆け込む必要はなく、九州旅行の計画に合わせて立ち寄るタイミングを選べる企画だといえます。


コメント