京成電鉄が32年ぶり運賃改定を申請 初乗り170円へ、スカイライナーは一足先に値上げ

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京成電鉄は2026年11月6日、鉄道旅客運賃の変更認可を国土交通大臣に申請したと発表しました。実施予定は2028年3月で、消費税率の変更に伴う改定を除けば1995年9月以来32年ぶりの本格的な運賃改定になります。平均改定率は14.1%、増収率は12.2%です。京成本線の初乗り運賃は150円から170円に、成田空港へのアクセス路線である成田空港線(成田スカイアクセス線)は210円から230円になります。さらに、スカイライナーの特急料金はこれより一足早い2027年3月13日に改定される予定です。成田空港の行き来にスカイライナーや京成線を使う人にとっては、運賃本体の改定時期と特急料金の改定時期がずれている点を混同しないことが大切です。この記事では改定の具体的な内容と、事業者がこのタイミングで値上げに踏み切る背景、そして旅行者が知っておきたい影響と対策を整理します。

運賃本体は2028年3月、スカイライナー特急料金は2027年3月に改定

まず押さえておきたいのは、今回発表された改定が「運賃本体」と「スカイライナーの特急料金」という性格の異なる2つの改定からなり、実施時期も1年ずれているという点です。

路線 現行初乗り運賃 改定後
京成本線等(京成本線・押上線・金町線・千葉線・松戸線・千原線) 150円(IC146円) 170円(IC167円)
成田空港線(成田スカイアクセス線) 210円(IC210円) 230円(IC229円)

現行、京成電鉄の運賃制度は「京成本線等」「千原線」「松戸線(旧新京成線区間)」「成田空港線」の4種類に分かれています。改定後はこれを「京成本線等」と「成田空港線」の2種類に整理し、千原線と松戸線は原則として京成本線等の運賃体系に統合されます。あわせて、現在京成本線など6路線で1乗車あたり10円が加算されている「鉄道駅バリアフリー料金」(2024年3月16日導入)は、今回の改定にあわせて基本運賃に整理統合される形で廃止されます。

スカイライナー特急料金は大人200円・小児100円の引き上げ

スカイライナーの特急料金は運賃本体とは別に、2027年3月13日に改定されます。引き上げ幅は大人一律200円、小児一律100円で、距離にかかわらず同額です。

区間 現行特急料金 改定後
京成上野・日暮里 ⇔ 空港第2ビル・成田空港 1,300円 1,500円
青砥 ⇔ 空港第2ビル・成田空港 1,050円 1,250円
新鎌ヶ谷 ⇔ 空港第2ビル・成田空港 800円 1,000円

京成上野から成田空港までスカイライナーを利用する場合、現行は乗車券1,270円と特急料金1,300円を合わせた2,570円です。2027年3月13日以降は特急料金だけが先に1,500円になるため、合計は2,770円に上がります。乗車券部分の運賃が改定されるのは2028年3月なので、そこでさらにもう一段の値上げが発生する計算です。運賃本体とスカイライナー特急料金は別々のタイミングで上がる、という点を覚えておく必要があります。

運賃制度の統合で一部区間は値下げに

千原線と松戸線が京成本線等に統合されることで、路線をまたぐ際に発生していた運賃の合算(併算運賃)が廃止されます。例えば、ちはら台から京成船橋までは、現行は千原線330円と京成本線等380円を合算した710円ですが、改定後は520円になり、190円の値下げです。松戸線については6kmを超える利用の場合に京成本線等より低い運賃となる特例が設けられ、松戸から京成津田沼までの通し利用は現行280円から330円に抑えられます。全体としては値上げの改定でありながら、制度を整理した結果として一部区間が値下げになる、というねじれが生じている点は見逃せません。

なぜ今、32年ぶりの値上げに踏み切るのか

京成電鉄が最後に本格的な運賃改定を行ったのは1995年9月です。それ以降30年以上、消費税率の変更に伴う転嫁分を除けば運賃を据え置いてきました。長らく値上げを避けてこられた背景には、成田空港利用者の増加や沿線開発による増収、競合する他の鉄道・高速バスとの価格競争力の維持があったと考えられます。

今回、京成電鉄はコスト構造の変化を改定理由として挙げています。2020年度と2025年度を比較すると、電力料金は33.3%、資材費は21.9%上昇しているということです。加えてテレワークの定着による定期利用者の減少や、中東情勢の悪化に伴う燃料・資材コストの増加も、収益を圧迫する要因として説明されています。これまで企業努力で吸収してきたコスト上昇が、ついにその範囲を超えたというのが実情に近いのではないでしょうか。

今回の改定で確保する増収は、今後の投資計画に充てられます。京成電鉄は改定後の2028年度から2030年度までの3年間で、総額約1,670億円規模の設備投資を計画しており、連続立体交差事業による踏切の解消、地震や水害への対策、そしてホームドア整備の前倒しを含むバリアフリー化の加速が柱です。運賃を上げて終わりではなく、安全対策とバリアフリー化という具体的な使途が示されている点は、値上げの説明として筋が通っています。

もう一つ注目したいのが、改定率に差がつけられている点です。普通運賃の改定率は14.3%、通勤定期は16.9%である一方、通学定期は改定率マイナス11.5%、増収率もマイナス7.2%で、実質的に値下げになります。通勤利用者により重い負担を求め、子育て世帯の家計に直結する通学定期は据え置きどころか引き下げる、という設計からは、沿線人口の維持につながる子育て・通学世帯への配慮がうかがえます。

電力・資材コストの上昇は京成電鉄に固有の事情ではありません。2026年3月14日には、JR東日本が普通運賃7.8%・通勤定期12.0%の値上げを実施したほか、西武鉄道が10.7%、つくばエクスプレスが12.2%の運賃改定を同時期に行っています。首都圏の鉄道各社が同じ時期に相次いで運賃改定に踏み切っている以上、今回の京成電鉄の申請も、業界全体が直面している構造的なコスト上昇への対応という大きな流れの一つとして見るのが自然です。

旅行者への影響と対策

今すぐ旅行計画を変える必要はない

運賃本体の改定は2028年3月、スカイライナー特急料金の改定は2027年3月13日です。どちらも発表時点から1年以上先の話なので、今年・来年に成田空港を利用する旅行であれば、今回の発表によって費用が変わることはありません。

スカイライナーは2027年3月13日を境に特急料金だけ先に上がる

2027年3月13日以降にスカイライナーを利用する予定がある人は、特急料金が一律200円(小児100円)上がることを踏まえて予算を見ておくとよいでしょう。京成上野・日暮里発着であれば、合計運賃は現行2,570円から2,770円になります。2028年3月にはさらに乗車券部分の運賃改定も加わるため、同じ区間でも年によって合計額が変わっていく点に注意が必要です。

回数券という節約策はすでに使えない

鉄道運賃の改定前によく使われる対策に、回数券や企画乗車券の先行購入がありますが、京成電鉄は交通系ICカードの普及を理由に、普通回数乗車券や成田スカイアクセス回数券を含む回数乗車券等の発売を2024年2月29日で終了しています。障害者割引や通学用の回数券は継続していますが、一般の旅行者が今回の改定に備えて回数券を買いだめするという手段は、制度自体がすでに存在しません。

通勤定期は負担増、通学定期は負担減

通勤定期の改定率は16.9%と、普通運賃の14.3%より上げ幅が大きく設定されています。一方、通学定期は改定率マイナス11.5%で、現行より安くなる見込みです。子どもの通学で京成線の定期券を使っている家庭にとっては、今回の改定はむしろ負担減につながります。通勤で定期券を使う人は、具体的な経過措置が今後発表され次第、購入タイミングを検討する必要があります。

まとめ

京成電鉄は2028年3月に平均14.1%の運賃改定を実施し、スカイライナーの特急料金はそれより1年早い2027年3月13日に一律値上げされます。背景には、電力・資材費の上昇と、ホームドア整備や防災対策など約1,670億円規模の投資計画があります。成田空港へのアクセスでスカイライナーや京成線を使う旅行者にとって、今すぐ何かを変える必要がある話ではありませんが、2027年3月以降にスカイライナーを使う予定がある人と、京成線沿線に通勤定期で通う人は、改定の時期と内容を頭に入れておくとよいでしょう。逆に通学定期を使う家庭には、今回の改定はプラスに働く見込みです。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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