2026年3月14日、JRグループ全体で運賃制度が大きく改定されました。なかでも旅行者への影響が大きいのが、「往復乗車券」「連続乗車券」の廃止と、それに連動した「往復割引」の取り扱い終了です。長距離移動のたびに当然のように使っていた制度が一気に消え、利用できる割引きっぷも顔ぶれが変わりました。改定から約2か月が経った2026年5月時点で、何がどう変わったか整理するとともに、今使えるお得な手段をご紹介します。
廃止された制度の全容
まず「何が終わったか」を整理します。
往復乗車券は、同じ区間を往復する場合に1枚の券として発売されていたきっぷです。そのうち片道の営業キロが601km以上になる区間では「往復割引」が適用され、往路・復路それぞれの運賃が1割引になっていました。東京〜博多(約1069km)、東京〜広島(約894km)といった長距離移動で自動的に効いていた制度です。
連続乗車券は行きと帰りで経路が異なる周遊旅行に対応したきっぷで、週末のぐるり旅や乗り鉄的な利用でよく使われていました。
これらが2026年3月13日(金)の利用分をもって発売終了となり、往復割引も同日で取り扱いが終わりました。あわせてJR西日本の「おとなびWEB早特」「eきっぷ(J-WESTカード会員向け)」、東海道・山陽新幹線の「e特急券」なども廃止されています。
なぜ廃止されたのか
JRグループが廃止理由として挙げているのは、ICカードの全国的な普及とインターネット予約の一般化です。かつては紙のきっぷで長距離移動する旅行者が大半でしたが、「スマートEX」「えきねっと」などのネット予約サービスの利用者が急増したことで、往復乗車券の発行枚数は大幅に落ち込んでいました。
もう一つの背景として、ネット予約専用の割引商品が往復乗車券の「1割引」という水準を実質的に超えるケースが増えていたことがあります。窓口に並んで往復乗車券を買うより、スマートフォンでEX早特21を予約したほうが安い、という状況が常態化していたのです。
現在利用できる主な割引
現在利用できる主な割引は次の通りです。
- EX早特21(エクスプレス予約会員向け、21日前までの予約):1枚12,980円
- EX早特7(同、7日前まで予約、1名でも利用可):1枚12,490円
- えきねっとトクだ値(JR東日本発行、列車・席数・区間限定):正規価格から5〜30%引き
繁忙期や長距離移動での現実的な選択肢
早特が使えない時期の長距離旅行では、「新幹線+宿泊のパック商品」が有力な選択肢になります。JR各社や旅行会社が販売するパックは、バラで手配するより安くなるケースが多く、とくに大阪・京都・広島・福岡方面は選択肢も豊富です。
えきねっとのトクだ値は期間や列車を選べば高い割引率になりますが、席数が限られているため早期に売り切れることも多く、旅行日が決まったらすぐ確認する習慣が必要です。
連続乗車券が廃止されたことで、周遊旅行の場合は区間ごとに片道きっぷを組み合わせる形になりました。複雑なルートを組む際は、各区間の早特対応状況を個別に確認してください。
学割・ジパング倶楽部はどうなったか
学生割引(学割)とジパング倶楽部については、制度は継続していますが条件が変更されています。ジパング倶楽部は割引条件が「片道101km以上のJR線利用」に改められ、1回の手続きで最大2枚の片道乗車券を購入できるようになりました。往復乗車券が廃止された以上、実質的には往復分をまとめて1回で購入できる形に変わっています。
学割については引き続き利用可能ですが、往復分をまとめる場合は片道2枚として手続きが必要になります。
2026年5月時点での旅行者の心がまえ
今回の制度改定で影響を受けた割引の多くは、ネット予約の割引商品が代替として機能しています。重要なのは、「早めに計画して早めに予約する」という姿勢です。EX早特21であれば21日前、えきねっとのトクだ値は早ければ1か月以上前から発売されます。
繁忙期の旅行は早特が使えない分、パック商品の比較に時間をかける価値があります。往復乗車券・往復割引が存在しなくなったこと自体は変えられませんが、代替手段を押さえておけば従来と同水準以下のコストで長距離移動することは十分に可能です。

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