ZIPAIR(ジップエア、日本航空グループの長距離LCC)は2026年10月20日、成田~クアラルンプール線に新規就航しました。毎日1往復のデイリー運航で、ZIPAIRが飛ぶ都市は今回で10都市目になります。東南アジア路線としては、バンコク線・シンガポール線に続く3路線目です。
毎日運航、片道3万4900円からの新路線
新路線の便名はZG61(成田発)とZG62(クアラルンプール発)です。ZG61は成田を16時50分に出発し、クアラルンプールに同日23時40分に到着します。折り返しのZG62はクアラルンプールを翌日1時10分に出発し、成田に9時00分に到着する深夜発の便です。
使用機材はボーイング787-8型機で、座席数は合計290席です。横になれるフルフラットシート「ZIP Full-Flat」を18席、エコノミークラス相当の「Standard」を272席備えています。
運賃は、Standardクラスが片道3万4900円から、ZIP Full-Flatクラスが片道9万円からです。6歳未満の子ども向けには「U6 Standard」という5000円の固定運賃も用意されています。燃油サーチャージはかかりません。
ZIPAIRは預け荷物・機内食・座席指定を基本料金に含めず、必要な分だけ追加で購入する料金体系を採用しています。無料で含まれるのは、Wi-Fiと7キログラムまでの機内持ち込み手荷物だけです。預け荷物やシートの指定を希望する場合は、別途オプション料金が必要になります。
なぜ今、クアラルンプールなのか
ZIPAIRのこれまでの路線網は、バンコク、ソウル、ホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコ、バンクーバー、ヒューストンの9都市でした。近年は北米路線の拡大が目立っていましたが、クアラルンプール線の開設は久しぶりのアジア圏への新規就航になります。ZIPAIRの新社長は、クアラルンプールをバンコク・シンガポールに次ぐ成長地点と位置づけていると報じられています。
成田・羽田とクアラルンプールを結ぶ直行便は、ZIPAIRの参入前から5社がすでに運航していました。羽田からはANAが週14便、マレーシアのエアアジアXが週7便、成田からはJALが週7便、マレーシア航空が週14便を飛ばしており、新興のバティックエア・マレーシアも就航済みです。ZIPAIRの参入で、この路線は6社体制になります。
一見すると競合の多い路線に見えますが、需要の伸びを見るとZIPAIRが新規参入する理由が見えてきます。2025年のマレーシアから日本への旅行者数は63万人を超え、新型コロナウイルス流行前の水準をすでに上回りました。これに対して、ZIPAIRが先に進出したタイやシンガポールからの旅行者数は、まだコロナ前の水準に戻りきっていません。つまりクアラルンプール線は、ZIPAIRにとって既存路線よりも需要の回復・成長ペースが速い市場だということになります。
既存5社の大半はフルサービスの航空会社で、エアアジアXのみがLCCです。ZIPAIRはここに、安い基本運賃とフルフラットシートを両立させた形で参入しました。長時間のフライトでも横になって休みたいが、エコノミー料金に近い価格で済ませたいという層に向けて、既存のLCCにはない選択肢を提示した形です。単に需要があるから飛ばすというだけでなく、価格帯と座席のすき間を突いた参入と言えます。
旅行者への影響と対処法
成田からクアラルンプールへの移動手段が増えたことで、価格や時間帯を比較しやすくなりました。ZIPAIRの運賃は基本料金こそ安いものの、預け荷物や座席指定、機内食を追加すると、合計額が既存の航空会社の料金に近づく場合があります。実際に利用する前に、自分が必要なサービスを一つずつ積み上げて、他社の運賃と比較してから選ぶことをおすすめします。
復路のZG62は深夜1時10分発という時間帯なので、クアラルンプール側での待ち時間の過ごし方や、成田到着後の国内移動の計画も事前に考えておく必要があります。早朝9時に成田へ着くため、その日のうちに自宅や目的地へ移動する場合は始発電車の時刻を確認しておくと安心です。
6歳未満の子どもを連れて旅行する場合は、U6 Standardの固定運賃5000円が使えるかどうかを予約時に確認してください。家族旅行の総額を抑えられる可能性があります。デイリー運航のため、日程の融通が利きやすい点もメリットです。繁忙期は年末年始や春休みシーズンに向けて早めに席が埋まることも予想されるので、旅行の計画が決まったら早めに予約することをおすすめします。


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