JR東日本新潟支社が、快速「SLばんえつ物語」をけん引する蒸気機関車C57形180号機に、製造80周年を記念した特別塗装を施すと発表しました。実施は2026年8月8日からで、今シーズンの定期運転が終わる日まで続きます。塗装の色は紫です。
C57形180号機が製造されたのは1946年(昭和21年)で、2026年8月8日にちょうど80年を迎えます。人間でいえば傘寿にあたり、傘寿の祝いに使われる色が紫であることから選ばれた色づかいです。この機関車をこの塗装で見られるのは今シーズンに限られる可能性が高く、その理由も含めて整理します。
紫に塗られる場所
塗装されるのは機関車の全体ではなく、限られた部分です。
対象になるのは、機関車の前頭部・後部・側面に取り付けられている形式プレート4枚と、動輪の周りにある主連棒・連結棒・滑り棒です。形式プレートは通常、黒地に白や赤の文字が入る部品で、そこが紫になります。主連棒や連結棒は動輪を結んで前後に動く鋼材で、走行中にもっとも目を引く部分です。
黒い機関車のなかで、動く部分と銘板だけが紫になるという構成です。全身を塗り替えるのではなく、動きのある箇所と機関車の身元を示す箇所に色を入れるという選び方は、蒸気機関車の姿を崩さずに記念性を出すという点でよく考えられています。
実施期間は8月8日から2026年の「SLばんえつ物語」定期運転終了日までで、例年の運転期間からすると12月初旬までとなる見込みです。
合わせて行われる記念企画
紫の特別塗装のほかにも、80周年に合わせた企画が用意されています。
記念弁当の販売は8月8日から始まります。販売場所は新津駅の3番線ホームで、各運転日の9時30分から10時ごろにかけて売られ、なくなり次第終了となります。列車に乗る前に確保する必要があるため、余裕をもって駅へ着いておいたほうがよさそうです。
このほか、限定の音声コンテンツの提供、記念の見送り、限定エキタグを使ったスタンプラリー、新潟市新津鉄道資料館による出張講座が予定されています。エキタグはジェイアール東日本企画が提供する駅のデジタルスタンプアプリで、沿線を巡ってもらう仕掛けとして使われます。
なぜ今シーズン限りの可能性が高いのか
ここが今回いちばん押さえておきたい点です。
C57形180号機は2027年度に大規模な検査を控えています。蒸気機関車はボイラーを含めた全般検査を定期的に受ける必要があり、その間は運転できません。前回の全般検査では2022年秋から2023年夏まで運用が休止され、蒸気機関車としての運転が再開したのは2023年7月29日でした。1年近く走れなくなるということです。
JR東日本はこの検査を前に、C57形180号機の運転回数をすでに減らしています。2026年は7月から9月にかけて、土曜日は「SLばんえつ物語」、日曜日と祝日はディーゼル機関車がけん引する「DLばんえつ物語」という運転パターンに切り替わりました。DL運転は7月5日から始まっており、けん引機はDE10形1700号機、客車は従来と同じ12系「ばんえつ物語」客車7両です。
つまり、機関車を80年使い続けるために、走らせる回数のほうを削っているという状態です。動態保存されている蒸気機関車は、部品が新しく作られていないものも多く、修繕には時間も費用もかかります。走らせれば走らせるほど傷むという当たり前の事実に対して、運転日を絞ることで寿命を延ばすという判断がとられています。
そう考えると、今回の紫の特別塗装は単なる記念企画ではありません。検査に入る前の限られた期間に、この機関車を見に来てもらう機会をつくるという意味合いが強いと考えています。運転回数を減らしたぶん1日あたりの集客を高めたい、という収益面の狙いもあるのではないでしょうか。記念弁当やスタンプラリーが同時に用意されているのも、来訪1回あたりの単価を上げる仕掛けとして自然です。
見に行く・乗りに行くときのポイント
実際に足を運ぶ場合、いくつか押さえておきたいことがあります。
まず運転日です。2026年7月から9月にかけては、土曜日が蒸気機関車のけん引、日曜日と祝日はディーゼル機関車のけん引となります。ただし8月1日の土曜日、8月2日の日曜日、9月21日の祝日はこのパターンから外れます。紫の塗装が始まる8月8日は土曜日で、蒸気機関車が走る日にあたります。10月以降の運転パターンは公式の運転カレンダーで確認してください。
運転区間は磐越西線の新津から会津若松までです。新潟県から福島県へ、阿賀野川に沿って山あいを走る路線で、乗車時間は片道3時間を超えます。座席はリクライニングのできないボックス席です。長時間の乗車になるので、飲み物や軽食は乗る前に用意しておくと快適です。
指定席の確保は早めに動く必要があります。人気のある列車で、乗車日1か月前の10時から発売されます。えきねっとやみどりの窓口で申し込む形になります。運転日が土曜日に絞られている今シーズンは、例年より競争が厳しくなることが予想されます。
撮影が目的の方は、紫になるのが形式プレートと動輪周りのロッド類だという点を頭に入れて構図を決めるとよいでしょう。真横からの流し撮りなら動く紫のロッドが写り、機関車の正面や側面を寄って撮ればプレートが収まります。遠景から狙う場合、紫の部分は小さいので効果が伝わりにくいかもしれません。
ディーゼル機関車の運転日でも、客車は同じ12系「ばんえつ物語」客車です。車内で過ごす体験そのものは変わりませんので、日曜日しか都合がつかないという方も、乗ること自体に価値はあります。
まとめ
C57形180号機の紫の特別塗装は、2026年8月8日から今シーズンの定期運転終了日まで実施されます。形式プレート4枚と主連棒・連結棒・滑り棒という、機関車の身元と動きを示す部分だけを紫にするという構成です。
この機関車は2027年度に大規模な検査を控えており、すでに運転日は土曜日中心に絞られています。1946年製の車両を走らせ続けるための措置ですが、裏を返せば、今シーズンが当分のあいだ最後のまとまった運転機会になる可能性があります。磐越西線の蒸気機関車を見たい方、乗りたい方は、この秋のうちに予定を組んでおくことをおすすめします。


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