JALが福岡〜鹿児島の臨時便を8月31日まで設定 新幹線が分断された九州で空が引き受ける迂回路

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JALが、福岡〜鹿児島線の臨時便を8月19日から31日まで追加設定しました。令和8年熊本地震の影響で九州新幹線の熊本〜新水俣が不通のままとなっており、博多と鹿児島中央を新幹線で直通できない状態が続いているためです。平常時であれば新幹線が圧倒的に強いこの区間に、JALは7月末から3週間以上にわたって飛行機を飛ばし続けていることになります。

1日最大2往復、朝と夜に集中したダイヤ

追加設定された臨時便のダイヤは次のとおりです。期間中の便数は50便規模になります。

  • JAL3701便 福岡7時30分発 → 鹿児島8時15分着(8月19日〜31日)
  • JAL3989便 福岡20時50分発 → 鹿児島21時40分着(8月19日〜31日)
  • JAL3988便 鹿児島19時15分発 → 福岡20時15分着(8月19日〜31日)
  • JAL3708便 鹿児島19時05分発 → 福岡19時55分着(8月19日〜21日・26日・27日)
  • JAL3708便 鹿児島19時40分発 → 福岡20時30分着(8月22日)
  • JAL3708便 鹿児島20時10分発 → 福岡21時00分着(8月23日〜25日・28日〜30日)

使用機材はエンブラエルE170型機、またはATR42-600型機です。どちらも小型機で、大型のジェット機を張り付ける運航ではありません。

JALがこの区間に臨時便を設定したのは今回が初めてではありません。地震発生翌日の7月29日から運航を始めており、8月9日から19日までにも80便を設定していました。お盆最終日にあたる8月16日の便が満席になったため、この日はボーイング737-800型機の国際線仕様機を投入しています。

九州新幹線はまだ博多と鹿児島中央がつながっていません

前提となる鉄道の状況を整理しておきます。令和8年熊本地震は2026年7月28日16時27分に発生し、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1、宇城市と八代郡氷川町で最大震度7を観測しました。

九州新幹線は博多〜熊本が7月31日に、新水俣〜鹿児島中央が8月7日に運転を再開しました。しかし熊本〜新水俣は復旧作業が続いており、8月中の再開は難しい状況です。JR九州は、被害の全容を確認したうえで全線再開の見通しを8月中に示すとしています。新水俣〜鹿児島中央は8月17日から1日14往復に増え、再開直後の6往復から本数が戻ってきていますが、博多から鹿児島中央まで新幹線1本で行くことは依然としてできません。

在来線も万全ではありません。鹿児島本線の宇土〜小川では8月19日からバス代行が始まります。

道路は改善しました。九州自動車道の松橋IC〜えびのICは8月14日午前6時に上下線とも通行止めが解除され、九州道は全線で一般車両が通行できるようになっています。ただし宮原SA〜八代IC間にある川田橋では、地震で上り線の橋桁が大きく変形したため桁の一部を交換する必要があり、下り線を使った対面通行規制が約1.5kmにわたって続いています。

新幹線に勝てないはずの区間に、なぜ飛ばし続けるのか

平常時の博多〜鹿児島中央は、新幹線「みずほ」の最速で1時間16分、普通車指定席が片道10,640円です。福岡空港も鹿児島空港も市街地から離れており、空港までの移動と保安検査の時間を足せば、飛行機がこの区間で鉄道に勝つのは簡単ではありません。だからこそ、この区間に日常的な大量の航空便は設定されてきませんでした。地震はその前提を崩したわけです。

注目したいのは、JALの供給の作り方が一貫して慎重である点です。今回投入されるE170型機とATR42-600型機はいずれも小型機で、座席数は数十席規模にとどまります。737-800型機を持ってきたのは、お盆最終日で満席が確実だった8月16日だけでした。災害対応の臨時便は、需要がいつまで、どの程度続くかを読み切れません。大型機を張り付ければ座席が余ったときの損失が大きくなります。小型機で細かく刻み、満席が見えた日だけ大きな機材を回すという運び方は、被災地支援を掲げつつも採算の綱を離していない運航だと考えられます。

時間帯の置き方も、この便が誰に向けたものかを物語っています。福岡発は朝7時30分と夜20時50分、鹿児島発は19時台から20時台です。観光客が使いやすい昼間の便はほとんどありません。朝一番に福岡から鹿児島へ入り、夜に鹿児島から福岡へ戻るという流れは、日帰りの業務移動や復旧関連の往来、そして分断された九州の南北を行き来せざるを得ない人の動きに合わせた形です。行楽需要を取りにいく便ではなく、生活と仕事の足を確保する便として設計されています。

そして期間を8月31日で区切っている点も、JR九州が全線再開の見通しを8月中に示すとしていることと符合します。鉄道の復旧時期が見えるまでのつなぎとして期間を短く切り、必要ならまた延長する。7月29日以降、JALは実際にこの延長を何度も繰り返してきました。先の見えない災害対応で長期間の運航を約束せず、10日から2週間程度の単位で更新していく進め方は、現実的な対応だと言えます。

九州を南北に移動する人が確認しておくべきこと

福岡と鹿児島の間を移動する予定がある人は、まず座席数の少なさを頭に入れてください。1日最大2往復、しかも小型機です。日程が決まっているなら早めに押さえたほうが安全です。予約はJALのウェブサイトから行えます。

昼間に移動したい場合、空路の選択肢は事実上ありません。その時間帯は陸路を検討することになります。九州道が全線で通行できるようになったため、高速バスやレンタカーの現実味は8月14日を境にはっきり上がりました。ただし川田橋付近の対面通行規制で流れが悪くなるため、通常より時間に余裕を持った計画にしてください。

鉄道を使う場合は、博多〜熊本と新水俣〜鹿児島中央がそれぞれ動いている一方、熊本〜新水俣は不通のままである点を前提に組み立てる必要があります。8月19日からは鹿児島本線の宇土〜小川でバス代行も始まります。所要時間は平常時とは別物になると考えたほうがよいでしょう。

9月以降の旅行を計画している人は、JR九州が8月中に示すとしている全線再開の見通しを待ってから宿や移動を確定させることをおすすめします。今の段階で9月の新幹線直通を前提に旅程を固めるのは避けたほうが無難です。

まとめ

この臨時便は、九州の南北輸送が鉄道に大きく依存してきたことを裏側から示しています。新幹線が1本つながらなくなっただけで、平常時なら成立しない航空路線が3週間以上も必要とされる状態が生まれました。8月末までに福岡と鹿児島を行き来する予定がある人、特に朝早く出て夜に戻る移動を考えている人にとっては、有力な選択肢になります。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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