2026年5月19日搭乗分から、ANAの国内線運賃が大幅にリニューアルされました。これまでの複雑な割引運賃体系が「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3種類に整理されています。SNSでは「シンプル運賃では座席指定が出発24時間前からしかできない」という点が話題になっており、旅行者からは戸惑いの声も上がっています。実は、シンプルには座席指定以外にも知っておきたい制限があります。何が変わったのか、どの運賃を選べばよいのか、旅行者目線で解説します。
なぜ運賃体系が変わったのか
ANAは国内線の予約システムをAmadeusというグローバルな航空予約システムに移行しています。国際線と同じシステムに統一することで、予約・搭乗ルールを世界標準に合わせていく方針です。
これまでの国内線は「旅割28」「旅割55」など、購入タイミングによって多数の割引運賃が存在していました。安く飛べる一方で、仕組みが複雑でわかりにくいという面もありました。今回の3種化は、その複雑さを解消し、選びやすくする狙いもあります。
3種類の運賃、何がどう違うのか
3種類の主な違いをまとめると、下表のとおりです。
| シンプル | スタンダード | フレックス | |
|---|---|---|---|
| 購入期限 | 前日まで | 前日まで | 当日まで |
| 事前座席指定 | 不可(出発24時間前から) | 可 | 可 |
| 無料受託手荷物 | 1個(23kg以下) | 2個(23kg以下) | 2個(23kg以下) |
| 予約変更 | 不可 | 手数料あり | 無料 |
| 取消手数料(出発時まで) | 60% | 30% | 500円 |
| アップグレード申請 | 不可 | 可 | 可 |
| マイル積算率 | 70% | 80% | 100% |
シンプル——価格を抑えたい方向け
最も安い運賃タイプです。前日までの購入が必要です。
座席指定は出発24時間前から
最大の特徴は「事前座席指定ができない」という点で、座席を指定できるのは出発24時間前からのオンラインチェックイン時のみです。その時点で空いている席の中から選ぶことになります。窓側・通路側の選択、家族と隣り合わせで座ること、前方の席を確保すること——これらはシンプル運賃では保証されません。
マイル積算率は70%で、ANA SFCなどの上級会員でも座席指定の優先サービスは適用されません(ただし無料受託手荷物の追加特典は維持されます)。
無料受託手荷物は1個まで
スタンダード・フレックスでは受託手荷物を23kg以内で2個まで無料で預けられますが、シンプルは1個(23kg以下)までです。週末の軽い旅行であれば問題ありませんが、スキーやゴルフ、帰省など荷物が増えるケースでは2個目から追加料金が発生します。荷物の量によっては、スタンダードとの価格差が縮まることもあります。
予約変更はできません
シンプルは予約変更ができません。日程を変えたい場合は、一度取り消して新たに購入し直すことになります。
取消手数料は3種類の中で最も高い
取消手数料はシンプルが最も高く、出発45日前から手数料が発生します。出発時刻までに取り消すと購入額の60%が手数料として差し引かれます(スタンダードは30%、フレックスは500円)。日程が確定していない状態でシンプルを購入すると、急な予定変更で大きな損失になります。
スタンダード——バランス重視の標準タイプ
事前座席指定が可能で、アップグレード申請も使えます。購入は前日まで。予約変更は所定の手数料を払えば対応できます。マイル積算率は80%で、受託手荷物は2個まで無料です。座席を自分で選びたい方にはこちらが実質的な標準運賃になります。
フレックス——当日まで柔軟に対応
当日まで購入でき、当日変更も手数料なしです。空席待ちにも対応しています。事前座席指定も可能で、受託手荷物も2個まで無料です。マイル積算率は100%(搭乗ポイントは400PP)で、ANAマイルを効率よく貯めたい方にも向いています。価格は3種の中で最も高くなります。
旅行者への実際の影響
グループ旅行では座席がバラバラになることがあります
家族や友人と複数名で旅行する場合、全員がシンプル運賃を選んでいると、チェックイン開始の24時間前に隣り合った席が残っていないことがあります。繁忙期のフライトでは特に起こりやすい状況です。一緒に座ることを重視するなら、スタンダードを選ぶほうが確実です。
荷物が多い場合は追加料金が発生します
シンプルの無料受託手荷物は1個(23kg以下)です。スキーやゴルフ、帰省などで荷物が2個になる場合は、2個目から追加料金がかかります。旅の荷物の量もあわせて確認してから運賃を選んでみてください。
日程が変わりやすい旅行はシンプルを避けたほうが安全です
シンプルは予約変更ができず、キャンセルの手数料も高めです。「仕事の都合で日程が流動的」「早めに買っておきたいが変更の可能性がある」という場合、シンプルを選ぶと予定変更のたびに大きな手数料が発生します。日程が確定してから購入するか、フレックスの検討もあわせてどうぞ。
上級会員の「優先座席」はシンプルでは使えません
ANAのプレミアムメンバーやSFC会員の方も、シンプル運賃では座席指定の優先サービスを受けられません。上級会員のメリットを活かしたい場合は、スタンダードまたはフレックスを選ぶ必要があります。
マイルを積極的に貯めているならシンプルは向かない場面もあります
シンプルのマイル積算率は70%です。マイルを重視するならスタンダード(80%)やフレックス(100%)のほうが効率的です。フレックスは搭乗ポイントが400PPと高く、上級会員資格の修行をされている方にも向いています。
運賃の選び方
シンプル
- 一人旅で、席はどこでも気にしない
- 受託手荷物が1個に収まる
- 日程がすでに確定していて、とにかく安く抑えたい
スタンダード
- 窓側・通路側など座席を自分で指定したい
- 受託手荷物が2個になる
- 家族や友人と並んで座りたい
フレックス
- 仕事の都合などで当日まで日程が変わる可能性がある
- ANAマイルを積極的に貯めたい、SFC修行中
まとめ
「シンプル=安い」は事実ですが、「シンプル=全員向け」ではありません。シンプルには以下の制限があります。
- 座席指定は出発24時間前からのみ
- 受託手荷物は1個(23kg以下)まで
- 予約変更は不可
- 取消手数料は3種の中で最も高い(45日前から発生、出発時で60%)
荷物が少なく、日程が確定していて、座席にもこだわりがない一人旅であれば、シンプルで問題ありません。一方、グループ旅行・荷物が多い旅行・日程が変わる可能性がある旅行には、スタンダードかフレックスのほうが結果的に安心です。今後ANAで国内線を予約する際は、価格だけでなくサービス内容もあわせて比較してから選んでみてください。


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