5月の佐渡島2泊3日旅行記|レンタカーで金山・たらい船・大野亀のトビシマカンゾウを巡る

国内旅行

はじめに

5月後半、新潟からフェリーに乗って佐渡島へ向かいました。「金・トキ・たらい船」という佐渡の定番イメージは知っていたものの、実際に足を運ぶのは初めてです。2泊3日でレンタカーを借り、島の南から北まで一周してきました。

佐渡島は、江戸時代を通じて幕府直轄の天領として管理され続けた島です。その理由は、ひとえに金と銀でした。慶長6年(1601年)に開山した佐渡金山は17世紀には世界最大の金生産地となり、江戸幕府の財政を長年にわたって支えました。幕府は1603年に相川へ佐渡奉行所を設置し、外様大名には決して渡さず直轄統治を続けました。この金山は2024年7月、ユネスコ世界文化遺産に登録されています。

同じ時代、佐渡は北前船の重要な寄港地でもありました。北前船とは、日本海を航行して北海道から西日本へと物資を運ぶ廻船のことです。北海道のニシンや昆布が大坂へ、西日本の米や塩が北の港へ——その流通の大動脈の中継点として佐渡の港は栄え、船主たちが財を成しました。2日目に訪れた宿根木の石畳の路地や板張りの家屋は、その時代の豊かさが今も形として残ったものです。

今回、日程を組んだ大きな理由のひとつが、大野亀に咲くトビシマカンゾウです。5月下旬から6月初旬が見頃という黄色い花の群生を見てみたくて旅程に組み込みました。結果として、これが旅のハイライトになりました。

旅程ダイジェスト

日程主な行程
1日目新幹線とき → 新潟港 → 佐渡汽船フェリー → 両津港 → 湖畔の宿 吉田屋(泊)
2日目佐渡西三川ゴールドパーク → 長浜荘(昼食・海鮮丼)→ 矢島(たらい船)→ 宿根木 → トキの森公園 → ホテル大佐渡(泊)
3日目佐渡金山(宗太夫坑)→ 尖閣湾 → 大野亀(トビシマカンゾウ)→ 二ッ亀 → 両津港 → ジェットフォイル → 新潟港 → 帰宅

1日目:フェリーで海を渡る

新幹線とき → 新潟港

東京から新幹線「とき」で新潟駅へ向かいます。新潟駅から佐渡汽船のターミナルがある新潟港まで、今回は路線バスを利用しました。所要時間は約15分、料金は210円です。荷物が多い場合はタクシー(約10分・1,000〜1,200円)の方が楽ですが、身軽な場合はシェアサイクルも有力な選択肢です。新潟駅周辺では「シェアサイクル」(30分198円)が使え、信濃川沿いを走って約20分でターミナルに着きます。ドコモバイクシェアのアプリから簡単に利用できます。天気が良ければ乗船前のひと漕ぎとしてちょうどいい距離です。

佐渡汽船フェリーで両津港へ

新潟港から両津港へは佐渡汽船のカーフェリーを利用しました。片道運賃は大人3,290円、所要時間は約2時間30分です。

出航してしばらくはターミナルの建物が遠ざかっていくだけですが、デッキに出て潮風を浴びながら待つと、1時間ほどで佐渡島の山並みがぼんやりと見えてきます。「島に渡っている」という感覚が一気にリアルになる瞬間です。

堤防から出ると波が高くなる。

帰路ではジェットフォイル(高速船・7,060円)も使いました。約3,800円の差をどう見るかは人それぞれですが、時間より船旅の雰囲気を楽しみたい場合はフェリーの方がおすすめです。

佐渡の両津港に到着

湖畔の宿 吉田屋

両津港から車で数分のところにある加茂湖のほとりに「湖畔の宿 吉田屋」があります。加茂湖は佐渡最大の湖で、カキの養殖が盛んな汽水湖です。夕方、湖面に映るオレンジ色の空を眺めながら、温泉につかることができました。

夕食はカニや舟盛りもありとても豪華でおいしかった。
加茂湖

2日目:島の南エリアをレンタカーで巡る

翌朝、港周辺のニコニコレンタカーでレンタカーを手配し、島の南側を中心に回りました。

佐渡西三川ゴールドパーク

最初に向かったのは佐渡南端に近い「佐渡西三川ゴールドパーク」。実はここ、文献上は日本で最初に金が発見されたとされる西三川砂金山の跡地に作られた体験施設です。

目当てはもちろん砂金採り体験です。「ゆり板」と呼ばれる丸い皿状の道具を水槽の中でゆっくりと回し、砂の中から砂金を探します。料金は大人2,500円(5〜8月)で、砂金採り体験がセットになっています。

スタッフの方にコツを教わりながらやってみると、数分後に皿の端にキラリと光る粒が現れました。取り出してみると、爪の先ほどの小さな金粒です。これが本物の砂金かと思うと、手が止まらなくなります。採れた砂金はカプセルに封入してもらって持ち帰ることができます。

砂金を探している。比重を利用しうまく砂をどかすのはコツがいる。
4つほど砂金を見つけることができや。

施設内の展示室では、江戸時代に幕府の財政を支えた佐渡金銀山の歴史も学べます。砂金採りの楽しさとセットで訪れる価値のある場所です。

施設情報
項目内容
営業時間(5〜8月)8:30〜17:30
入館料(大人・5〜8月)2,500円(砂金採り体験込み)

長浜荘 魚道場(昼食)

昼食は小木エリアの「長浜荘 魚道場」へ。佐渡で海鮮丼といえばここ、と地元の方にも観光情報にも名前が挙がるお店です。

海鮮丼は並(1,400円)・上(2,000円)・特上(2,700円)の3種類。マグロ・ブリ・甘エビ・イカなど、佐渡産の魚介がたっぷりと丼に乗っています。店内には活魚の水槽があり、40年以上のキャリアを持つ大将がその日に仕入れた魚を提供しています。

スーパーの鮮魚コーナーで「佐渡産」と書かれた切り身を目にしたことがある人も多いと思います。佐渡近海がよい漁場になっているのには理由があります。佐渡の北側には対馬海流(暖流)が流れ込み、マグロやブリ・ヒラマサなど回遊魚が集まります。一方、北からはリマン海流(寒流)も流れており、この暖流と寒流がぶつかる「潮目」が形成されます。潮目はプランクトンが豊富に発生する場所で、小魚が集まり、それを追って大型魚も集まる——という食物連鎖の起点になります。寒暖両方の魚種が狭いエリアに集まるため、ブリ・マグロ・ノドグロ・アワビ・サザエ・甘エビと、これほど多様な魚介が一島で揃う漁場は珍しいのです。産地で食べると、それとは別ものの味がします。

店舗情報
店名長浜荘 魚道場
住所新潟県佐渡市大須1021-1
電話0259-55-2511
営業時間11:00〜14:00(L.O. 13:30)※夜は予約制の場合あり
定休日不定休
駐車場あり(約30〜50台・無料)
アクセス両津港から車で約40分/小木港から車で約40分
公式サイトhttp://nagahama.skr.jp/
特徴民宿併設の食事処。生け簀の活魚を使った海鮮丼・寿司が名物

矢島・たらい船体験

昼食後は「矢島体験交流館」でたらい船体験へ。直径120cmほどの大きなたらいに乗り、「おけさ棒」と呼ばれる一本の棒を使って操る佐渡の名物体験です。

体験乗り場の目の前に浮かぶのが、矢島と経島(きょうじま)という2つの小島です。矢島は良質な矢竹の産地として知られ、平家物語に登場する源頼政が「鵺(ぬえ)」退治に使った矢もここの竹だという伝説が残っています。経島の名前の由来は鎌倉時代にさかのぼり、日蓮の弟子・日朗が赦免状を携えて佐渡へ渡る途中、嵐に遭ってこの島で一夜を過ごした際、一晩中お経を唱え続けたことによるとされています。現在は2島を結ぶ朱色のアーチ橋が架かっており、緑の島・朱の橋・エメラルドグリーンの入り江という景色の中でたらい船に乗ることができます。

たらい船は、もともとは磯場でサザエやアワビを獲る漁師の女性たちが使っていた道具で、狭い岩場を小回りよく動ける点が重宝されていました。現在はその文化が観光体験として残っています。

料金は大人700円。乗船定員は大人3名まで。棒の使い方を説明してもらって乗ってみると、思っていたより安定しています。海の透明度が高く、たらいの縁から水面をのぞくと底まではっきり見えました。うまく動かそうとすればするほど思い通りにならず、その不思議な乗り心地が楽しくて、あっという間に時間が過ぎました。

施設情報
項目内容
営業時間8:00〜17:00(受付は16:30まで)
料金(大人)700円
料金(4歳以上小人)400円

宿根木

たらい船の乗り場から車で数分の「宿根木」に立ち寄りました。1991年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された、廻船業で栄えた小さな集落です。

江戸から明治にかけて、北前船の船主たちが財を成したこの地には、当時のまま残る家屋が106棟あります。外壁は板張りの質素な造りですが、内部には漆塗りの大黒柱や彫刻の施された仏壇が残り、往時の豊かさがうかがえます。

路地は軽自動車も入れないほど狭く、石畳の町並みを歩いているとタイムスリップしたような気持ちになります。「三角家」は三角形の土地にぴったり合わせて建てられた家で、限られた土地を使い切った先人の工夫に思わず立ち止まりました。

高台から集落を見下ろす

トキの森公園

2日目の最後は「トキの森公園」。両津から新穂地区へ向かう途中にあり、トキの生態や保護活動の歴史を知ることができます。

トキは1981年に野生での最後の個体が捕獲されたあと、中国から提供を受けた個体をもとに人工繁殖が進められました。2008年から野生への放鳥が始まり、現在は佐渡島で500羽を超えるトキが野生で生活しています。

「トキふれあいプラザ」では飼育されているトキをガラス越しに間近で観察できます。図鑑やニュースで見るよりひと回り大きく、白とオレンジ色が混じった羽根の美しさが印象的でした。

別の種類のトキも飼育されている。
双眼鏡もおかれている。子育てをするトキを双眼鏡越しで撮影。
トキの郵便ポストも。
施設情報
項目内容
開館時間8:30〜17:00(入館締切16:30)
料金(大人)500円
休館日毎週月曜(3〜11月は無休)

3日目:島の北へ、トビシマカンゾウを求めて

最終日は早めに宿を出て、前日に行けなかった島の北部へ向かいました。

佐渡金山(宗太夫坑)

最初に「史跡 佐渡金山」の宗太夫坑を見学しました。江戸時代初期に開坑した坑道を歩きながら、当時の採掘の様子を等身大の人形で再現した展示を見られます。

坑道の中は夏でもひんやりとしており、半袖では少し肌寒いくらいです。薄暗い坑内に続く人形の列は、当時の労働がどれほど過酷だったかを言葉より先に伝えてきます。当時「佐渡の金山この世の地獄」と謳われた労働環境で、江戸の無宿者が強制的に送り込まれていた歴史も展示で触れられています。

佐渡金山が歴史に登場するのは慶長6年(1601年)です。金脈が発見されると徳川家康はすぐさま佐渡を幕府直轄の天領とし、大規模な採掘を開始しました。17世紀前半の最盛期には年間400kgを超える金と37.5トンもの銀を産出し、ここで精錬された金銀がそのまま慶長小判の材料となりました。私たちが教科書で習う江戸幕府の財政基盤は、相当の部分をこの島に支えられていたことになります。そこで掘り出された金が慶長小判になり、参勤交代の費用を賄い、天下泰平を支えた——坑道を歩きながら、その連鎖をぼんやりと考えていました。

坑道を出たあと、周辺を散策しました。採掘は昭和64年(1989年)まで続き、388年間の総産出量は金78トン・銀2330トンにのぼります。その規模がどれほどのものか、歩いていると実感できる場所があります。山肌がV字型に大きく割れた「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」です。頂上部の幅は約30m、深さは約74m。金脈を露天掘りで掘り進めた結果、山そのものが真っ二つに割れた形になったもので、江戸時代から近代にかけて削り続けた痕跡がそのまま残っています。これが人の手によるものと知ると、スケールの大きさに言葉が出ません。

施設情報
項目内容
営業時間(4〜10月)8:00〜17:30
料金(大人)1,500円〜

尖閣湾

金山から北上し、尖閣湾に立ち寄りました。急峻な断崖が続く海岸線が続く景勝地で、遊覧船体験もありますが、今回は時間の都合で外から眺めるだけにしました。透き通った水の色と切り立つ岩壁のコントラストは十分に目に残るものがあります。訪問時間に余裕があれば、遊覧船で崖の間を抜けるルートも試してみる価値があると思いました。

大野亀とトビシマカンゾウ

この旅で最も印象に残ったのが、大野亀のトビシマカンゾウです。

大野亀は外海府海岸にそびえる高さ167mの一枚岩で、その周囲の斜面が5月下旬から6月初旬にかけて黄色とオレンジの花で覆われます。トビシマカンゾウは山形県飛島と佐渡島にしか自生しない多年草で、国内この2か所にしか群生地がありません。大野亀の斜面には50万株・100万本ものカンゾウが咲くといわれています。

トビシマカンゾウという名前はなじみが薄いかもしれませんが、高山植物として知られるニッコウキスゲの仲間、と聞くと少しイメージが湧くでしょうか。分類上はワスレグサ属の植物で、DNA解析によってニッコウキスゲの中で分化した変種であることが確認されています。違いは大きさで、ニッコウキスゲは1本の花茎に花が数個つくのに対し、トビシマカンゾウは10個以上つきます。草丈も高く、花期もやや早い。島という隔離された環境の中で独自に大型化したと考えられており、佐渡と飛島以外では見ることができない花です。

実際に目の前に広がった景色は、写真で何度も見ていたにもかかわらず声が出ませんでした。緑の斜面を黄色が埋め尽くし、その向こうに青い日本海が広がっています。ここまで来てでも見る価値がある景色です。

「佐渡カンゾウWEEK」の期間中は地元の郷土芸能の披露もあり、両津港から大野亀への直通ライナーバスも運行されます。レンタカーがなくても訪問できるので、開花状況と合わせて確認してみてください。

二ッ亀

大野亀から少し北へ走ると「二ッ亀」があります。2つの岩礁が海に浮かぶ景観で、潮の満ち引きによって陸続きになったり離れたりします。大野亀の余韻がまだ残っている中でしたが、こちらも日本海らしい荒々しさと穏やかさが同居した場所でした。

ジェットフォイルで帰路へ

両津港に戻り、帰りはジェットフォイルを利用しました。ジェットフォイルとは、航空機メーカーのボーイング社が開発した高速船で、船底に取り付けた水中翼で船体を水面から浮かせて走ります。波の影響を受けにくく、揺れが少ないのが特徴です。

所要時間は約65分で、往路のフェリー(約2時間30分)と比べると1時間以上短縮できます。料金は大人片道7,060円とフェリーより約3,800円高くなりますが、速さと安定した乗り心地は往路のフェリーとはまた違う体験でした。最終日の帰路として、一度は乗ってみる価値があります。

カーフェリーとすれ違う。

交通・料金まとめ

区間・手段料金(大人片道)所要時間
佐渡汽船フェリー(新潟〜両津)3,290円約2時間30分
佐渡汽船ジェットフォイル(両津〜新潟)7,060円約65分
佐渡西三川ゴールドパーク入館料(大人・5〜8月)2,500円
矢島たらい船(大人)700円
トキの森公園(大人)500円
佐渡金山 宗太夫坑(大人)1,500円〜

レンタカーは両津港周辺の営業所で借りると効率的です。2日目から島を一周する場合、1日あたり5,000〜8,000円程度が目安です。

大野亀のトビシマカンゾウの見頃は5月下旬〜6月初旬。この時期に合わせて日程を組むことを強くおすすめします。カンゾウWEEK期間中はライナーバスも出るため、「レンタカーなしの日」に大野亀だけ乗り継ぎを使うという手もあります。

佐渡島は新潟からフェリーに乗るだけでアクセスできる離島で、2泊3日でレンタカーを使えば主要スポットをほぼカバーできます。金山・砂金採り・たらい船・トキ・宿根木・そして初夏のトビシマカンゾウと、見どころが広い範囲に散らばっているぶん、レンタカーは必須です。ぜひ5月後半の旅先候補に加えてみてください。

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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