JAL 2026年度下期の路線計画|伊丹〜帯広を新設、JTAが19年ぶり伊丹へ、欧州線は16%増席

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JALグループは2026年8月18日、2026年度下期(冬ダイヤ)の路線便数計画の一部変更を発表しました。冬ダイヤの期間は2026年10月25日から2027年3月27日までです。

国内線では大阪/伊丹発着の北海道路線を大きく広げ、伊丹〜帯広線を新規開設します。伊丹〜那覇線の増便分は日本トランスオーシャン航空(JTA)が担い、19年ぶりに伊丹へ乗り入れます。国際線は欧州直行便の提供座席数を前年同期比16%増やす一方、羽田〜ドーハ線は下期を通じて運休が続きます。

国内線は伊丹発着の北海道路線が一気に広がる

今回の変更で最も動きが大きいのが伊丹空港です。これまで夏季を中心とした季節運航だった路線が通年化し、新規路線も加わります。

路線 変更内容 開始時期
伊丹〜旭川 1日1往復(季節運航から通年運航へ) 2026年10月25日
伊丹〜帯広 1日1往復(新規開設) 2026年12月1日
伊丹〜女満別 1日1往復(季節運航から通年運航へ) 2027年2月1日
伊丹〜札幌(新千歳) 1日5往復から6〜9往復へ増便 2026年10月25日
伊丹〜那覇 1日2往復から4〜6往復へ増便(うち2往復はJTA運航) 2026年10月25日

伊丹〜那覇線でJTAが運航を担うのは2007年以来です。JTAは沖縄を拠点とする航空会社で、19年ぶりの伊丹乗り入れになります。

幹線も増便されます。羽田〜福岡線は1日17往復から18往復へ、羽田〜那覇線は1日13往復から14往復へ、それぞれ冬ダイヤ初日から増えます。

春休みの羽田〜宮古線は787-8でファーストクラスが増える

2027年3月19日から27日にかけて、羽田〜宮古線にボーイング787-8型機の国内線仕様機が投入されます。3クラス291席の構成で、内訳はファーストクラス6席、クラスJ 58席、普通席227席です。春休みの需要に合わせてファーストクラス設定便を増やす狙いです。

また、鹿児島空港を拠点とする日本エアコミューター(JAC)は、ATR72-600型機(1クラス70席)を2機追加導入します。運航開始は2027年2月からの見通しです。同クラスのジェット機と比べて燃料消費量とCO2排出量が約45%少ない機材です。

羽田〜岡山線ではANAとダイヤを調整する

冬ダイヤの羽田〜岡山線では、ANAと出発時刻を調整します。両社の便が近接していた時間帯をずらし、利用者が選べる時間帯を広げる取り組みで、国内線でのダイヤ調整は両社にとって初めてです。この内容は別途詳しくまとめています。

国際線は欧州に機材を集中させる

国際線では、欧州直行便の提供座席数が前年同期比16%増となります。中心になるのはフラッグシップ機のエアバスA350-1000型機です。

羽田〜ロンドン線は週14往復(1日2往復)の全便にA350-1000が入ります。羽田深夜発のJL41/42便と、羽田昼間発のJL43/44便の両方が対象です。羽田〜パリ線はこれまで隔日でA350-1000を投入していましたが、2026年9月以降は毎日この機材で運航します。羽田〜ヘルシンキ線は夏ダイヤの週7往復(1日1往復)を冬ダイヤも継続します。

一方、羽田〜ドーハ線は中東情勢の影響で2026年2月末から欠航が続いており、下期も通期で運休を継続します。自社運航の再開は2027年度を目指すとしています。中東・アフリカ方面の需要には、カタール航空が運航する便とのコードシェアで対応します。

アジアは上海が3空港体制に、那覇〜台北はダブルデイリー化

アジア路線では、成田〜上海/浦東線が冬ダイヤ初日の10月25日から週7往復で復便します。これにより上海線は羽田・成田・関西の3空港から運航する体制になります。羽田〜香港線は春節期間を中心に増便します。

JTAが運航する那覇〜台北/桃園線は、既存の那覇朝発に加えて夕方発の便を新設し、冬ダイヤは週14往復(1日2往復)のダブルデイリーになります。この路線は就航以来、月次の利用率が8割を超えて推移しています。夕方発の便は下期に先駆けて、2026年9月と10月の連休など一部の日程でも運航される予定です。

JALはなぜ伊丹と欧州に資源を寄せるのか

今回の計画には、羽田を軸にした従来の発想とは違う配分が見えます。

伊丹の枠は増えないからこそ、中身の入れ替えで稼ぐ

伊丹空港の発着枠は1日370回で、ジェット枠が200回、プロペラ・低騒音機枠が170回という内訳です。この総枠は1977年に決まって以来変わっていません。2024年度の実績は約13万7000回、1日平均で約376回の発着があり、旅客数は約1545万人でした。枠はすでにほぼ埋まっている状態です。

枠が増えない空港で収益を伸ばすには、1便あたりの単価が高い路線に入れ替えるしかありません。伊丹〜帯広線の新設と旭川・女満別線の通年化は、この入れ替えにあたる動きです。関西から北海道の地方都市へ直行できる便は限られており、乗り継ぎが不要な分だけ高い運賃が通ります。

関西エアポートが運営する3空港のうち、関西空港には国際線とLCCが集まり、伊丹は国内線の基幹空港という役割分担ができています。都心へのアクセスが良い伊丹に、単価の取れる国内路線を寄せるのは自然な流れです。

冬の北海道地方路線は、LCCではなくフルサービスなら成立する

興味深いのは、同じ8月18日にPeachが関西〜釧路線と関西〜女満別線を2026年10月25日から2027年3月27日まで運休すると発表している点です。JALが伊丹〜帯広・女満別を冬に飛ばす一方、LCCは同じ時期の北海道地方路線から撤退します。

これは矛盾ではなく、需要の性質の違いだと考えられます。冬の道東は観光の目的地としては流氷や釧路湿原など明確な魅力がありますが、旅客数そのものは夏ほど積み上がりません。低運賃で座席を埋め切る前提のLCCでは、この時期の需要は薄すぎます。反対に、多少高くても直行で行きたい層と、ビジネス・帰省需要を合わせれば、1日1往復のフルサービス便は成立します。同じ路線でも、需要の量と単価に見合った担い手が変わるということでしょう。

欧州直行はコストが重いが、それでも取りにいく価値がある

ロシア上空を迂回する運航が続くなか、日本〜欧州線は飛行時間が延び、燃料費も人件費も以前より重くなっています。それでも提供座席数を16%増やし、最上位機材をロンドン・パリの全便に投入するのは、この市場で取れる単価が高いからです。

A350-1000型機は個室型のファーストクラスとビジネスクラスを備えた機材です。上位クラスの比率が高い機材を欧州の主要路線に固定投入すれば、1便あたりの収入は目に見えて変わります。長距離で座席の快適さが購入理由になりやすい路線ほど、この投資は回収しやすくなります。

その裏返しが羽田〜ドーハ線の運休継続です。中東情勢の先行きが読めない路線に自社の機材と乗員を置き続けるより、カタール航空のコードシェアに委ねて、その分の資源を欧州直行に回すほうが確実です。同じワンワールド陣営にドーハを本拠とする航空会社がいるからこそ選べる判断で、乗客の乗り継ぎ手段を確保したうえで自社運航だけを畳んでいる形になります。

旅行者への影響と、いま確認しておくこと

関西から北海道へ向かう方にとっては、選択肢が確実に増えます。伊丹〜帯広線は12月1日から、伊丹〜女満別線は2027年2月1日からです。冬の道東を目的地にするなら、これまでのように新千歳での乗り継ぎや関西空港発のLCCに頼らなくても済むようになります。ただしいずれも1日1往復ですので、往復の日程を組みにくい点は変わりません。早めの予約をおすすめします。

伊丹〜那覇線を利用する方は、便によって運航会社がJALかJTAかで分かれます。機内の座席配置やサービス内容が変わる可能性があるため、予約時に運航会社を確認してください。

羽田〜宮古線でファーストクラスを狙うなら、2027年3月19日から27日が機会です。この期間は787-8の投入でファーストクラス設定便が増えます。

欧州へ行く方は、機材の確認が重要になります。羽田〜ロンドン線は冬ダイヤの全便がA350-1000になり、羽田〜パリ線も9月以降は毎日この機材です。上位クラスの設備を目当てにするなら、これまでのように運航日を選ぶ必要がなくなります。

中東・アフリカ方面へ向かう方は、羽田〜ドーハ線の直行便が下期も飛ばないことを前提に計画してください。JAL便名で予約してもカタール航空の運航便になりますので、手荷物規定やラウンジの扱いは運航会社の基準を確認しておくと安心です。

上海へは成田発が復活し、羽田・成田・関西の3空港から選べるようになります。都内からのアクセスや、地方から乗り継ぐ場合の利便性で選び分けられます。

沖縄から台北へ向かう方、あるいは台湾から沖縄へ入る方は、夕方発が加わることで日程の自由度が上がります。9月と10月の連休には先行して運航される日があります。

まとめ

JALグループの2026年度下期は、国内線が伊丹発着の北海道・沖縄路線の強化、国際線が欧州直行便への機材集中という組み立てになりました。伊丹〜帯広線の新設、JTAの19年ぶりの伊丹乗り入れ、欧州線16%増席、羽田〜ドーハ線の運休継続が主な変更点です。

関西発で北海道の地方都市へ直行したい方、欧州線で上位クラスの設備を重視する方、沖縄と台北を行き来する方にとっては、選択肢が明確に増える内容です。一方、中東方面へ直行便で向かいたい方にとっては、下期も従来どおり乗り継ぎ前提の計画が必要になります。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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