JR西日本は2026年8月18日、山陰線の2つの区間で集中工事を実施すると発表しました。米子駅〜西出雲駅では夜間に、小串駅〜下関駅では昼間に、それぞれ列車を運休させて線路設備の改良工事を行います。どちらも2026年9月中の実施です。
米子駅〜西出雲駅では特急「やくも」の一部も運休しますが、この特急に対する代行輸送は行われません。山陰方面へ列車で向かう予定のある方は、日程と時間帯を確認しておく必要があります。
米子〜西出雲は夜と早朝、4日ずつの運休
米子駅〜西出雲駅で実施されるのは夜間時間帯の集中工事です。実施日は運休する列車によって2通りに分かれます。
| 対象 | 実施日 |
|---|---|
| 普通列車・特急「やくも29号」 | 2026年9月14日〜17日 |
| 特急「やくも2号」 | 2026年9月15日〜18日 |
特急「やくも」は岡山駅と出雲市駅を結ぶ列車です。29号は夜遅い下り、2号は早朝の上りにあたり、工事の時間帯にかかる前後の便が対象になっています。
運休する普通列車にはバスによる代行輸送が用意されます。ただし、特急「やくも」に対する代行輸送は行われません。29号や2号を予定していた方は、他の列車に振り替えるか、移動そのものの時間帯を変える必要があります。
代行バスは、乗降時にJRの乗車券類を提示して利用します。運休列車の時刻・代行バスの時刻・のりばの詳細は、リリースの別紙に掲載されています。一部の列車には時刻の変更も設定されています。
小串〜下関は9月15日の日中に運休
もう一方の小串駅〜下関駅は、昼間時間帯の集中工事です。実施日は2026年9月15日の1日だけで、この時間帯に運休する列車には代行バスが運転されます。こちらも乗降時にJRの乗車券類を提示する方式です。
小串駅〜下関駅は山陰線の西端にあたり、下関駅で山陽線と接続します。萩・長門方面から下関へ抜ける行程を組んでいる場合、この日は昼間の移動時間に余裕を見ておいたほうがよいでしょう。
JR西日本はこの区間について、普段は夜間に実施している工事を日中時間帯に集中的に行うと明記しています。夜の作業を昼に移したという位置づけです。
夜の工事を昼に移す動きが広がっている
同じ日、JR四国も予讃線・高徳線・土讃線の5区間で日中時間帯の集中工事を行うと発表しました。理由として挙げられている内容は、両社でほぼ重なっています。
JR西日本が挙げているのは、労働人口の減少と線路保守を担う建設業界における働き方改革の進展によって保守作業員の確保が困難になっていること、そして作業員の働き方改革・効率的なメンテナンス・作業の安全性向上を進める必要があることです。
夜間に作業できる時間はもともと短い
夜間工事は終電後に線路へ立ち入り、始発前に撤収を終えなければなりません。準備と後片付けを差し引くと、実際に線路上で手を動かせるのは2時間から3時間程度です。同じ工事量をこなすには日数を重ねるしかなく、そのたびに人を集める必要があります。
作業員が確保しにくい状況でこれを続ければ、工事そのものが計画どおりに進まなくなります。1日あたりの作業時間を伸ばして日数を圧縮するほうが、限られた人数で老朽設備の改良を回し切るには現実的です。
深夜作業のままでは人が集まらない
保線の担い手不足は、賃金だけの問題ではありません。深夜に働いて日中に眠る生活が前提の職種は、他業種と労働条件を比較されたときに不利になります。建設業界全体で時間外労働の上限規制など働き方改革が進むなか、鉄道の保守だけが従来の夜間シフトを維持し続けるのは難しくなってきました。
日中に工事を移せば、作業員は日勤で働けます。運休という代償を払ってでも昼に移すのは、担い手を確保し続けるための投資という側面が強いのではないでしょうか。
運休を選びやすい区間から手を付けている
今回の2区間の利用状況を見ると、判断の背景が見えてきます。JR西日本が2026年8月6日に公表した2025年度の区間別平均通過人員(輸送密度)では、山陰線の米子駅〜出雲市駅が5,192人/日、小串駅〜幡生駅が2,121人/日でした。前年度はそれぞれ5,245人/日、2,084人/日ですので、大きな増減はありません。
米子駅〜出雲市駅は山陰線のなかでは利用の多い区間ですが、それでも都市部の通勤路線とは桁が違います。だからこそ、米子駅〜西出雲駅では夜間と早朝という利用の薄い時間帯に絞り、小串駅〜下関駅では日中に踏み切るという使い分けが成り立ちます。影響が大きい昼の幹線区間ではなく、時間帯と区間を選んで運休を配置している点に、収入への打撃を抑えながら工事量を確保しようとする意図が読み取れます。
旅行者はどう備えればよいか
まず、2026年9月14日から18日にかけて山陰線の米子〜出雲市方面を利用する予定がある方は、乗る予定の列車が対象かどうかを確認してください。夜遅い下りと早朝の上りが中心なので、日中に移動する分には影響を受けません。
「やくも29号」で夜のうちに出雲市方面へ入る計画だった場合は、代行輸送がないため、それより早い便に変更するか、米子で1泊して翌朝に移動する形に組み替えるのが確実です。「やくも2号」で早朝に出雲市を発つ計画も同様で、後続の便に移すか、前日のうちに米子まで出ておく方法があります。出雲大社への参拝を朝一番に予定していた方は、逆方向なので影響は限られます。
普通列車を利用する方は代行バスが走りますが、バスは所要時間が読みにくく、遅延した場合の乗り継ぎも保証されません。接続する列車がある行程なら、1本余裕を持たせてください。
小串駅〜下関駅を9月15日に利用する予定の方は、日中の便が代行バスに置き換わります。萩・長門市方面から下関を経由して九州へ抜けるルートを取る場合、この区間での時間の読み違いが後の行程全体に響きます。時間に余裕がなければ、下関までのルートを新山口経由の山陽線に振り替える選択肢もあります。
具体的な運休列車名・時刻・のりばはリリースの別紙に掲載されていますので、日程が重なる方は必ず確認してください。
まとめ
JR西日本は2026年9月、山陰線の米子駅〜西出雲駅で夜間の集中工事を4日間ずつ、小串駅〜下関駅で昼間の集中工事を1日実施します。普通列車には代行バスが運転されますが、特急「やくも」については代行輸送がありません。
背景にあるのは保線作業員の確保難と働き方改革で、同じ日にJR四国も同種の発表をしています。夜間工事を前提にした従来の運用が各社で限界を迎えつつある表れと言えます。
山陰方面への旅行を計画している方、とくに夜遅い時間や早朝に移動を入れている方は、日程の重なりを確認してください。日中に移動する行程であれば、米子〜西出雲については心配は要りません。


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