ANAアメックスが初の全面刷新|ゴールド年会費4万2900円へ、利用額ボーナスマイルを新設

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アメリカン・エキスプレスとANAは2026年8月19日、共同で記者発表を行い、提携カードを全面的に刷新すると発表しました。2009年の発行開始以来、初めての全面リニューアルです。一般・ゴールド・プレミアムの3券種すべてが対象で、ANAの尾翼をモチーフにした新しいデザインになります。申し込みの受付は2026年9月2日13時から始まります。中身を見ると、ゴールドとプレミアムは年会費が上がる代わりに特典が増え、一般カードはデザインの変更にとどまるという、はっきりした線引きがされています。

3券種の年会費と主な変更点

まず金額から整理します。

券種 現在の年会費 改定後の年会費
ANAアメリカン・エキスプレス・カード 7,700円 7,700円(据え置き)
ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード 34,100円 42,900円
ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード 165,000円 187,000円

いずれも税込です。家族カードは、ゴールドが17,050円から21,450円に上がります。プレミアムの家族カードは4枚まで無料という条件が続きます。

一般カードは年会費も特典も変わりません。変わるのはカードのデザインだけです。今回の刷新は、実質的にゴールドとプレミアムの2券種を作り直したものと考えてよいでしょう。

新しく加わった利用額ボーナスマイル

ゴールドとプレミアムに新設されたのが、年間のカード利用額に応じたボーナスマイルです。

券種 条件 ボーナスマイル
ゴールド 年間400万円以上の利用 15,000マイル
プレミアム 年間600万円以上の利用 30,000マイル

このほか、カードを継続すると受け取れるマイルがゴールドで2,000マイル、プレミアムで10,000マイルです。ANA便に搭乗したときのボーナスマイルは、一般が10%、ゴールドが25%、プレミアムが50%の上乗せになります。ANAの航空券をカードで購入した場合、ゴールドは100円につき3マイル相当、プレミアムは100円につき4.5マイル相当が貯まります。

アメックス側の説明によれば、プレミアムは年間600万円の利用とカードの継続を組み合わせることで、年間10万マイル以上を貯められる計算になります。

ラウンジとダイニングの特典が増えます

マイル以外の特典も強化されています。ゴールドとプレミアムの両方に共通するのが次の2点です。

ひとつは羽田空港第2ターミナルの「POWER LOUNGE PREMIUM」を無料で利用できることです。回数の制限はなく、同伴者1名まで無料になります。羽田第2ターミナルはANAの国内線が発着するターミナルですので、ANA便を使う人にとっては使う機会の多い場所です。

もうひとつが、レストラン予約サービス「ポケットコンシェルジュ」を通じて利用した際の20%キャッシュバックです。上限はゴールドが年間2万円、プレミアムが年間4万円です。

プレミアムにはさらに、利用回数が無制限のプライオリティ・パスと、ホテルの無料宿泊特典「プレミアム フリー・ステイ・ギフト」が付きます。

海外旅行傷害保険については、旅行代金などをカードで支払うことで適用される利用付帯の扱いです。カードを持っているだけでは保険が付かない形ですので、この点は確認しておいてください。

既存の会員はいつから変わるのでしょうか

すでにカードを持っている方や、9月1日までに入会した方については、新しい特典が適用されるのは2027年1月1日からです。新しい年会費の請求は2026年11月以降、順次始まります。ゴールドの家族カードは、家族カードの年会費請求のタイミングに合わせるため、基本カードとずれる場合があります。

ここは判断が分かれるところですが、9月1日までに駆け込みで申し込んでも、結局は2027年1月に新条件へ移行します。旧条件のまま使い続けられるわけではありません。したがって「値上げ前に入っておく」という発想はあまり意味を持ちません。入会キャンペーンの内容を見て決めるほうが実利があります。

なぜ17年目で作り直したのでしょうか

2009年から続いてきたカードを、いま全面的に作り直した理由を考えてみます。

使う人に厚く、そうでない人には薄くという設計変更です

今回の変更をひとことで言えば、年会費を上げて、たくさん使う人に返す設計に振り直したということです。ゴールドの年会費は8,800円上がりますが、年間400万円を使えば15,000マイルが戻ります。1マイルを2円で見積もれば3万円相当ですので、年会費の増加分をはるかに超えます。

逆に、年間400万円に届かない人にとっては、年会費が8,800円上がるだけで、ボーナスマイルは取れません。年間400万円は月あたり33万円強の決済が必要になる水準で、生活費の大半をこのカードに寄せて、ようやく届くかどうかという金額です。

ただし、この層がまったく損をするとも限りません。羽田のラウンジが同伴者込みで無料になる特典と、ポケットコンシェルジュの20%キャッシュバックは、利用額の条件がありません。羽田第2ターミナルを年に何度か使い、外食で年10万円をポケットコンシェルジュ経由にすれば、キャッシュバックの上限2万円だけで年会費の増加分は回収できます。使い方次第で評価が真逆になる改定だと言えます。

ANAにとってマイルは搭乗前に入ってくる現金です

航空会社の側から見ると、提携カードの意味は明快です。カード会社は会員に付与するマイルを航空会社から買い取ります。つまりANAには、その人が飛行機に乗るずっと前の段階で現金が入ります。しかも貯まったマイルの一部は使われないまま失効します。

この構造があるので、航空会社は「飛行機に乗らない日常の決済」からマイルが貯まる仕組みを厚くしたがります。今回新設されたのが搭乗回数ではなく年間利用額に連動するボーナスだったのは、その延長線上にあると考えられます。搭乗実績ではなく決済額で報いるということは、ANAが取りにいっているのが座席の販売ではなく決済の量だという表れでしょう。

出国者数が戻ってきている局面での投資でもあります

タイミングにも意味がありそうです。日本政府観光局が2026年8月19日に発表した統計によると、2026年1〜7月の日本人出国者数は813万5900人で、前年同期比4.1%増でした。訪日外国人が同期間で1.7%減と前年割れしている一方、日本から海外へ出る人は着実に戻っています。

円安が続くなかでも海外へ出ている層は、旅行にお金をかけられる層です。年会費4万円台・18万円台のカードが狙うのは、この層です。プライオリティ・パスの利用条件が業界全体で厳しくなり、空港ラウンジ特典のコストが上がっているなかで、あえてプレミアムに回数無制限のプライオリティ・パスを付けたのも、上位カードの競争が激しいことの裏返しだと見られます。

一般カードを据え置いたのも一貫しています。マイルを本気で貯める人と、そうでない人を分け、前者に資源を集中させる。全券種を一律に値上げして全員から少しずつ取るより、明快な設計です。

どんな人に向いているのでしょうか

改定後の条件をふまえると、判断の分かれ目ははっきりしています。

年間400万円以上をカードで決済する方は、ゴールドの改定は素直に有利です。400万円を100円につき1マイルで使うと40,000マイル、これに新設の15,000マイルと継続の2,000マイルが加わります。合計57,000マイルは、1マイル2円換算で11万4000円相当です。年会費42,900円を大きく上回ります。

年間400万円には届かないものの、羽田空港を年に数回使い、外食にもお金を使う方は、ラウンジとダイニングのキャッシュバックで年会費の増加分を回収できるか計算してみてください。ポケットコンシェルジュ経由の外食が年10万円あれば、それだけで2万円が戻ります。

カードでの決済額が少なく、羽田もあまり使わない方にとっては、年会費が8,800円上がるだけの改定になります。この場合は一般カードへの切り替えを検討する価値があります。一般カードは年会費7,700円のまま、特典も変わりません。

プレミアムについては、年間600万円という条件を満たせる方でなければ、22,000円の値上げ分をボーナスマイルで取り返すことはできません。ただしプライオリティ・パスの回数無制限とホテルの無料宿泊特典を毎年使い切る前提なら、話は変わります。海外へ年に何度も出る方向けのカードという位置づけがより明確になったと言えます。

まとめ

アメリカン・エキスプレスとANAは2026年8月19日、提携カードを2009年の発行開始以来初めて全面的に刷新すると発表しました。申し込みの受付は9月2日13時からです。年会費は一般が7,700円で据え置き、ゴールドが34,100円から42,900円へ、プレミアムが165,000円から187,000円へ上がります。

新設されたのは年間利用額に応じたボーナスマイルで、ゴールドは400万円以上で15,000マイル、プレミアムは600万円以上で30,000マイルです。羽田空港第2ターミナルのPOWER LOUNGE PREMIUMが回数無制限・同伴者1名まで無料になり、ポケットコンシェルジュ経由の外食には20%のキャッシュバックが付きます。海外旅行傷害保険は利用付帯です。既存会員への新特典適用は2027年1月1日から、新年会費の請求は2026年11月以降になります。

年間400万円以上を決済する方にとっては、年会費の増加分を大きく上回る改定です。決済額が少ない方は、羽田のラウンジと外食のキャッシュバックで回収できるかを確認し、難しければ年会費据え置きの一般カードを検討してください。9月1日までに駆け込みで申し込んでも2027年1月には新条件へ移行しますので、急ぐ理由は入会キャンペーンの内容次第です。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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