JR西日本・JR東海・JR九州・JR四国の4社が2026年8月21日、秋の臨時列車の運転計画を一斉に発表しました。対象期間はいずれも10月1日から11月30日までの61日間です。今年の秋でまず押さえておきたいのは、10月と11月の三連休に東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が全席指定席として運転される日があることです。自由席で乗るつもりだった方は、行程の組み方から見直す必要があります。
JR西日本は臨時列車4,027本、三連休は1日最大85本
JR西日本は秋の期間中に、山陽新幹線で2,086本、北陸新幹線で985本、在来線特急で956本の臨時列車を運転します。合計すると4,027本です。
定期列車と臨時列車を合わせた1日あたりの運転本数は次のとおりです。
| 区分 | 三連休期間 | 期間計 | うち定期列車 |
|---|---|---|---|
| 山陽新幹線 | 315本/日 | 284本/日 | 248本/日 |
| 北陸新幹線 | 132本/日 | 121本/日 | 105本/日 |
| 在来線特急 | 409本/日 | 402本/日 | 387本/日 |
山陽新幹線は三連休期間だけで計536本、1日最大85本の臨時列車が入ります。そのうえで、10月10日から12日と11月21日から23日は、すべての「のぞみ」を全席指定席として運転します。JR西日本によると、通常の「のぞみ」は1号車と2号車に自由席が設定されていますが、この6日間はその自由席がなくなります。
JR東海は1日平均415本、11月20日に過去最多の504本
JR東海は秋の61日間に、1日平均415本の新幹線を運転します。利用が集中する日の一部時間帯には、1時間あたり最大13本の「のぞみ」を走らせます。特筆すべきは11月20日(金)で、この日は過去最多となる504本の列車を運転します。
在来線では、松本・長野方面への臨時特急「しなの」を計24本、下呂・高山方面への臨時特急「ひだ」を計48本、熊野・紀伊勝浦方面への臨時特急「南紀」を計12本、いずれも連休を中心に運転します。このほか、京都6時03分発の上り臨時「のぞみ」を土曜日と月曜日を中心に、岐阜羽島6時30分発の上り臨時「こだま」を毎日運転します。
あわせて、10月1日からグリーン車より上位の設備を備えた個室「Supreme Class Cabin」を搭載した列車の運転が始まります。10月1日時点の搭載列車は、下りが「のぞみ」15号・35号・45号・59号、「ひかり」633号、「こだま」833号の6本、上りが「のぞみ」10号・20号・34号・62号、「ひかり」648号、「こだま」854号の6本です。発売は9月15日(火)午前5時30分から始まり、エクスプレス予約とスマートEXでのみ購入できます。
JR九州は808本、九州新幹線は不通区間を抱えたまま
JR九州は秋季(10月〜11月)に臨時列車を合計808本運転します。内訳は九州新幹線141本(予定)、西九州新幹線265本、在来線特急402本です。
ただし九州新幹線は、令和8年熊本地震の影響で熊本〜新水俣間の運転を見合わせたままです。JR九州は復旧作業を進めていますが、秋の臨時列車についても運休や行先・時刻の変更がありうるとして、詳細が決まり次第あらためて知らせるとしています。
西九州新幹線「かもめ」と特急「リレーかもめ」は、博多〜長崎で下り132本・上り133本を運転します。武雄温泉駅で同一ホーム乗り換えができるため、乗り継ぎの手間はほとんどありません。このほか、土日と三連休を中心に臨時「ハウステンボス」を増発します。D&S列車では、熊本〜宮地間で「あそぼーい!」に加えて「かわせみ やませみ」を臨時運転し、1往復を増発します。
JR四国はトロッコ列車と「サンライズ瀬戸」の琴平延長
JR四国の秋の臨時列車は、観光列車が中心です。
「瀬戸大橋アンパンマントロッコ」は高松〜岡山と琴平〜岡山でそれぞれ1日1往復、のべ88本を運転します。全車グリーン車指定席で定員は48名です。徳島では「藍よしのがわトロッコ」に加えて、土讃線の大歩危駅まで足を延ばす「藍よしのがわ大歩危トロッコ」を運転します。四万十川沿いでは「しまんトロッコ」が走ります。
観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」は琴平駅まで運転します。さらに、東京駅発の寝台特急「サンライズ瀬戸」を琴平駅まで延長運転し、金刀比羅宮への参拝に合わせた行程が組めるようにします。徳島〜阿波池田間の特急には「ゆうゆうアンパンマンカー」を増結します。10月と11月の三連休期間には、利用の多い特急「しおかぜ」を全編成岡山行で運転します。
なぜ三連休の「のぞみ」から自由席をなくすのか
JR東海とJR西日本が、スポーツの日と勤労感謝の日を含む2つの三連休に限って「のぞみ」の自由席をなくすのは、単に混雑がひどいからという理由だけではありません。
第一に、収入の面で確実性が高まります。自由席は乗ってみるまで何人乗るかわからず、満席になっても料金は指定席より安いままです。全席指定席にすれば、最需要日の座席を確実に売り切れる商品に振り替えられます。年に数回しかない稼ぎ時に、価格の低い席を残しておく理由が乏しいという判断です。
第二に、輸送の質を守る狙いがあります。三連休の自由席はデッキに立つ人が出るほど混み合い、乗り降りに時間がかかって停車時間が延びます。東海道新幹線は1時間あたり最大13本という、線路の容量にかなり近い密度で走らせており、1本の遅れが後続に波及します。座れる人しか乗せないという運用は、ダイヤを守るための措置でもあるのではないでしょうか。
第三に、増発の余地がすでに乏しいという事情があります。JR西日本の山陽新幹線は、期間全体では1日284本なのに対し、三連休は315本です。1割ほどしか増やせていません。JR東海が11月20日に過去最多の504本を運転するのも、三連休そのものではなく前日の金曜日です。連休初日の混雑を避けて金曜に前乗りする行動が定着し、鉄道側もそこに輸送力を寄せています。本数を増やす余地がなくなった以上、1本あたりの座席をどう売るかで勝負するしかない、という段階に入ったと見るのが自然です。
JR九州の事情は少し異なります。九州新幹線の141本という数字に「予定」と留保が付いているのは、熊本〜新水俣間の復旧時期が読めないためです。その一方で、西九州新幹線265本と在来線特急402本という、鹿児島方面以外での本数はしっかり確保しています。鹿児島中央方面の穴を、長崎・佐世保・大分方面の需要で埋める構図になっています。
JR四国の臨時列車が観光列車ばかりなのも、意図がはっきりしています。四国は沿線人口が少なく、普通の特急を増発しても座席が埋まりません。瀬戸大橋アンパンマントロッコは定員48名の全車グリーン車で、1人あたりの単価が高い商品です。「サンライズ瀬戸」の琴平延長も、金刀比羅宮という明確な目的地とセットにすることで、乗ること自体を目的にした客を呼び込む設計になっています。輸送量ではなく単価で稼ぐという方針が、臨時列車の顔ぶれにそのまま表れています。
旅行者が今やっておくべきこと
指定席券は、いずれの会社も運転日の1か月前の午前10時から発売されます。JR九州だけは例外があり、10月31日に運転する列車の指定席券は10月1日午前10時からの発売です。
三連休に東海道・山陽新幹線を使う予定がある方は、10月10日〜12日と11月21日〜23日に自由席がないことを前提に予定を組んでください。当日に駅へ行って空いている列車に飛び乗る、という動き方はこの6日間には通用しません。
1か月前の午前10時にパソコンの前で待機するのが難しい場合は、エクスプレス予約かスマートEXを使うのが現実的です。この2つのサービスなら最大1年先まで指定席を予約できます(座席数や商品には限りがあります)。「Supreme Class Cabin」に乗ってみたい方は、9月15日午前5時30分の発売開始に合わせて動く必要があります。こちらもエクスプレス予約とスマートEXでしか買えません。
九州方面へ行く方は、熊本〜新水俣間の不通が続いている点に注意してください。鹿児島中央や新水俣を含む行程は、直前までJR九州の公式発表を確認したほうがよいです。長崎方面であれば西九州新幹線の臨時列車が多数設定されているので、日程の自由度は高くなっています。
混雑そのものを避けたいのであれば、三連休をずらすのがもっとも効きます。山陽新幹線の運転本数は三連休で315本、期間全体で284本ですから、増発しても1割ほどしか輸送力は増えていません。平日に1日ずらせるなら、その効果は増発された臨時列車よりはるかに大きいです。
まとめ
秋の臨時列車は本数が多く、一見すると「たくさん走るから何とかなる」と思いがちです。しかし今年の実態は、三連休の座席を指定席に集約し、前日の金曜に輸送力を寄せる方向へ動いています。連休に新幹線で移動する予定がある方、九州新幹線の不通区間をまたぐ旅行を考えている方、四国の観光列車に乗りたい方は、1か月前の発売開始に合わせて早めに押さえておくのが確実です。逆に日程を動かせる方は、三連休を外すだけで移動の快適さが大きく変わります。


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