京急が9月12日深夜に泉岳寺〜品川間の下り線を仮線へ切替 地平化工事が本格化

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京浜急行電鉄は2026年8月26日、泉岳寺駅から品川駅までの下り線を、9月12日(土)の終列車後に仮線へ切り替えると発表しました。荒天などで中止になった場合は翌日に実施します。切替にともなうダイヤ改正はなく、品川駅構内の動線や踏切の通行にも影響はありません。

一夜のうちに線路が移動する工事ですが、利用者から見える変化はほとんどありません。それでも、この切替は羽田空港へのアクセスを担う京急にとって節目にあたる作業です。何が起きるのか、そして完成後に何が変わるのかを整理します。

一晩で下り線が東側の仮線へ移ります

切り替わるのは、横浜・羽田空港方面へ向かう下り列車が走る線路です。仮線は現在の線路より東側に設けられており、9月12日の終列車が走り終えた後に接続作業を行い、翌13日の初列車から新しい線路での運行が始まります。

工事計画では、下り線を仮線へ移した後、既存の高架橋を撤去します。さらに、現在の上下線の間にある引上線2線も仮下り線側へ移設する予定です。つまり今回の切替は、既存構造物を壊すための場所を空ける作業にあたります。

京急は、この切替による所要時間の変更や列車の運転取りやめは発生しないとしています。9月13日以降に品川から羽田空港や横浜方面へ向かう予定がある方も、時刻表を確認し直す必要はありません。

事業の目的は「踏切の除却」と「品川駅の容量拡大」です

この工事は、京急本線の泉岳寺駅から新馬場駅までの約1.7kmを対象とする連続立体交差事業の一部です。事業主体は東京都で、道路整備の一環として進められています。事業費は1247億円、事業期間は2020年度から2029年度までとされています。

東京都の目的は踏切をなくすことです

東京都がこの事業を進める直接の目的は、「品川第一踏切道」など3か所の踏切を取り除くことにあります。北品川駅付近を高架化することで、道路と鉄道を立体交差させ、渋滞の解消と踏切事故の防止を図る計画です。

ここで独特なのは、高架化と地平化が同時に進む点です。北品川駅付近は高架に上げる一方で、現在は高架駅である品川駅は地平駅へ降ろします。連続立体交差事業といえば線路を高く上げる工事という印象がありますが、この区間では線路の高さを全体として整えるために、駅ごとに逆方向の工事が行われます。

京急の狙いは羽田アクセスの処理能力です

一方、京急の側から見た価値は別のところにあります。地平化にあわせて、品川駅の設備が現在の2面3線から2面4線へ増強されるためです。ホームと発着可能な線路が1本増えれば、同じ時間帯に折り返せる列車の本数が増え、ダイヤを組む自由度が上がります。

数字で見ると、その必要性がはっきりします。京急品川駅の1日平均乗降人員は2024年度で24万1688人と、京急線全体で2位の規模です。羽田空港第1・第2ターミナル駅は11万1697人で全線5位、京急線全体の1日平均乗降人員は2025年度で251万7838人にのぼります。品川駅は、この巨大な流動が空港方面と都心方面に分岐する結節点にあたります。

さらに、地平化後は改札口とコンコースがJR線と同じ2階に設けられます。現在の京急品川駅は高架にホームがあり、JR線との乗り換えには階段やエスカレーターでの上下移動が必要ですが、これが同一階での移動に変わります。空港利用者が大きな荷物を持って移動する動線としては、この差は小さくありません。

なぜ2029年度なのでしょうか

事業の完了予定が2029年度に設定されている点も注目に値します。同じ時期に、リニア中央新幹線の品川駅開業が予定されているためです。品川がリニアの起点になれば、名古屋方面からの流動が新たに加わります。その流動の一部は当然、羽田空港へ向かいます。

つまり京急にとってこの工事は、今ある需要をさばくための改良にとどまりません。リニア開業後に生まれる新しい乗り換え需要を取り込むための投資でもあると考えられます。1247億円という事業費と10年という工期は、その先の数十年の収益を見込んだうえでの判断ではないでしょうか。

旅行者への影響と、当日の注意点

繰り返しになりますが、今回の切替でダイヤは変わりません。9月12日の深夜から13日の未明にかけては通常どおり終列車まで運転され、翌朝の初列車から新しい線路での運行になります。羽田空港を早朝便で利用する方も、通常どおりの時刻で移動できます。

ただし、当日の深夜は工事の関係で作業車両や作業員の出入りが増えます。泉岳寺駅から品川駅の周辺で撮影を考えている方は、線路や工事区域に近づかないよう注意してください。

工事期間中に品川駅を使う旅行者が意識しておくとよいのは、これから数年にわたって駅の構造が段階的に変わっていくという点です。切替のたびにホームの位置や通路の経路が変わる可能性があります。品川駅で乗り換える予定があるときは、時間に余裕を持ち、駅の案内表示を確認しながら移動するのが確実です。

まとめ

9月12日の仮線切替は、利用者から見れば何も変わらない工事です。それでも、品川駅を地平に降ろして2面4線に増強するという大きな計画の中では、既存高架橋を撤去するための場所を空ける重要な一歩にあたります。

2029年度の完成後、京急品川駅はJR線と同じ階に改札を持つ駅に生まれ変わります。羽田空港を頻繁に使う方にとっては、乗り換えの上下移動が減るという実利のある変化です。工事による多少の不便は、その先の使いやすさへの投資と考えてよいでしょう。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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