JALグループの中長距離LCC、ZIPAIR(ジップエア・トウキョウ)は2026年9月29日、成田発着の国際線について冬ダイヤの増便と新規発売を発表しました。対象はシンガポール線、ソウル(仁川)線、ヒューストン線の3路線です。
成田〜シンガポール線は12月2日から16日まで、既存のZG53/54便(週7往復、1日1往復)に加えてZG63/64便を週4往復追加します。運航曜日は月・水・土・日で、この期間は1日2往復体制になります。追加便は成田を15時05分に出発してシンガポールに21時40分着、復路はシンガポールを23時10分に出発して翌日6時55分に成田着というスケジュールです。
成田〜ソウル(仁川)線は12月1日から24日まで、既存のZG45/46便(週7往復)に加えてZG43/44便を週3〜4往復追加します。曜日は12月11日までが火・木・金、15日以降は月・火・木・土に変わり、この期間も1日2往復体制です。追加便は成田10時55分発でソウル13時35分着、復路はソウル17時15分発で成田19時40分着です。
成田〜ヒューストン線は、2027年1月搭乗分と3月搭乗分の航空券販売を9月29日から開始しました。運航は週1〜3往復で、1月は1月4日から7日が月・木、11日から25日が月・木・土、3月は3月4日が木のみ、8日から13日が月・土、15日から27日が月・木・土という変則的な設定です。成田を11時10分に出発してヒューストンに現地時間8時10分着、復路はヒューストンを10時10分に出発して翌日15時05分に成田着です(3月15日以降は夏時間の関係で現地発着時刻が変わります)。
運賃は成田発片道で、シンガポール線がStandard 25,000円から、ZIP Full-Flat 88,200円から、6歳以下の定額運賃U6 Standardが5,000円。ソウル線がStandard 12,500円から、ZIP Full-Flat 25,000円から、U6 Standardが3,000円。ヒューストン線がStandard 48,750円から、ZIP Full-Flat 240,500円から、U6 Standardが15,000円です。使用機材はいずれもボーイング787-8で、ZIPAIRは全路線をこの1機種で運航しています。
なぜこのタイミングで増便・新規路線発売か
シンガポール線とソウル線に共通するのは、年末年始を挟む12月という繁忙期に増便日を集中させている点です。シンガポールは日本から見て安定した人気渡航先で、年末の休暇を利用した旅行需要が例年高まります。ZIPAIRは通常週7往復(1日1往復)で運航しているところに、需要が集中する12月前半の特定曜日だけ2便目を重ねる形を取っており、機材やクルーを大きく増やさずに繁忙期のピークだけをすくい取る運航設計になっています。
ソウル線も同様に12月の特定期間に絞った増便です。韓国は日本人にとって近距離渡航先として最も選ばれやすい行き先のひとつで、短い休みでも行きやすいという特性があります。加えて訪日韓国人の需要も大きく、双方向で座席が埋まりやすい路線であることが、期間を絞った積極増便の背景にあると考えられます。
一方でヒューストン線は増便ではなく、先の期間の航空券発売という位置づけです。ヒューストン線は2025年3月に就航した国内LCC最長クラスの路線で、片道14時間前後を飛ぶ長距離便です。この区間はANAがハネダ〜ヒューストンで先行してフルサービスの直行便を運航しており、JALグループとしては直行便を持っていなかった市場に、ZIPAIRが低価格帯の選択肢として参入した形になります。週1〜3往復という控えめな便数設定は、フルサービス便がすでにある市場でLCCとしての需要をどこまで取り込めるか見極めながら路線を育てている段階であることを示しています。ZIPAIRは2027年度以降、上位機材である787-9の導入も予定しており、需要が読めた路線から便数や機材を段階的に引き上げていく方針とみられます。
ZIPAIRは現在、ソウル・マニラ・バンコク・シンガポール・ホノルル・バンクーバー・サンフランシスコ・サンノゼ・ロサンゼルス・ヒューストンの10都市に就航しています。燃油サーチャージを取らない価格体系と、格安のStandardシートからフルフラットシートまで選べる座席バリエーションを武器に、短中距離のアジア路線で稼働率を上げつつ、長距離の北米路線を少しずつ広げていくのがZIPAIRの一貫した戦略です。今回の発表は、需要が固いアジア路線を繁忙期にさらに強化しつつ、伸びしろのある北米長距離路線の販売期間を先に延ばしておくという、両輪の動きを同時に見せたものといえます。
旅行者への影響と対処法
シンガポール線・ソウル線を年末に使いたい人は、増便される具体的な曜日を必ず確認してください。シンガポール線は12月2日から16日の月・水・土・日、ソウル線は12月1日から11日が火・木・金、12月15日から24日が月・火・木・土と、期間の途中で運航曜日が切り替わります。自分の渡航日が増便日に当たるかどうかで午前発・午後発などの選択肢が変わるため、日付だけでなく曜日パターンを見て予約日を決める必要があります。
年末年始は例年ZIPAIRに限らず座席が埋まりやすい時期です。増便の発表があったからといって席に余裕があるとは限らず、特にU6 Standardのような定額の子供運賃やZIP Full-Flatの人気座席は早い段階で埋まる傾向があります。日程が固まっている場合は、発表直後のこのタイミングで早めに予約を済ませておくのが安全です。
ヒューストン線を検討している人は、まず週1〜3往復という運航頻度そのものを前提に日程を組んでください。1月は月・木・土、3月は木・月・土を中心とした変則的な曜日設定で、希望の日に便がない週もあります。現地滞在日数が中途半端にならないよう、往路・復路の運航曜日を先に確認してから旅程全体を決めるのがおすすめです。また片道14時間前後の長時間フライトになるため、Standard運賃で搭乗する場合は座席の快適性(レッグルームや機内食の有無)を事前に公式サイトで確認し、必要に応じて有料オプションを追加するかどうか検討しておくとよいでしょう。米国渡航にあたってはESTAの取得など通常の入国手続きも忘れずに準備してください。
なお、今回の増便はいずれも冬ダイヤの一部期間に限定されたものです。シンガポール線・ソウル線の2便体制は12月中旬から下旬までで終了し、その後は通常の1日1往復に戻ります。年明け以降も同水準の便数が続くわけではない点は押さえておいてください。


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