デルタ航空は2026年10月30日、日本発航空券に適用する国際線燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)の改定を発表しました。対象となるのは2026年11月2日以降に発券する航空券です。日本〜米国本土・中南米方面は片道55,000円から62,000円に、日本〜ハワイ方面は片道35,800円から38,500円に、それぞれ引き上げられます。改定理由は燃油価格の上昇で、デルタ航空は日本発着の全路線を対象に、燃油サーチャージをおおむね2か月ごとに見直す方針を続けています。なお、同時期に話題になった「デルタ・ワン」刷新や羽田発着での日本酒提供開始の発表とは別のトピックで、今回はあくまで燃油サーチャージ額の改定です。
新しい燃油サーチャージの金額
デルタ航空が公表した改定額(片道・1人あたり)は以下の通りです。
| 方面 | 現行(〜11月1日発券分) | 改定後(11月2日発券分〜) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 米国本土・中南米 | 55,000円 | 62,000円 | +7,000円 |
| ハワイ | 35,800円 | 38,500円 | +2,700円 |
往復で見ると、米国本土・中南米方面は124,000円、ハワイ方面は77,000円になります。本土・中南米方面は往復で14,000円の負担増、ハワイ方面は往復で5,400円の負担増です。デルタ航空は羽田・成田からロサンゼルス、ニューヨーク、ホノルルなどへ路線網を持っており、これらの路線を利用する場合はいずれも今回の改定の対象になります。
なぜ今、燃油サーチャージを引き上げるのか
燃油特別付加運賃は、国土交通省の認可を受けたうえで、直近2か月間のシンガポールケロシン市況価格の平均と、同期間の平均為替レートを掛け合わせて算出する仕組みです。この算定方式は日系のANA・JALだけでなく、デルタ航空を含む外国航空会社にも共通して適用されています。基準となる市況価格と為替レートが同じであれば、どの航空会社でも算出される金額は近い水準にそろうことになります。
実際、ANA・JALも2026年11月1日から12月31日までの発券分で燃油サーチャージを引き上げており、北米・欧州方面は片道62,000円、ハワイ方面は片道38,500円です。デルタ航空の新料金と金額がほぼ一致しているのは偶然ではなく、同じ算定基準を参照した結果と考えられます。デルタ航空とANAは太平洋路線での共同事業(ジョイントベンチャー)関係にはなく、デルタの提携は大韓航空との間で結ばれていますが、それでも金額がそろうのは、燃油サーチャージの算定が各社の経営判断ではなく、共通の公的な算定ルールに基づいているためです。
ケロシン価格が上昇した背景には、中東情勢の緊張が影響しています。2026年10月は米国によるイラン攻撃の可能性が意識され、WTI原油価格が複数営業日にわたって続伸する場面がありました。中東からの原油供給に対する懸念が市場価格を押し上げ、航空燃料の指標となるシンガポールケロシン価格にも波及した形です。
なお、ANA・JALの燃油サーチャージは2026年9月から10月の発券分でいったん引き下げられていました。これは中東情勢の悪化を踏まえた政府の緊急的な激変緩和措置により、燃料コストの一部を国が補助していたためです。それでも11月発券分で再び引き上げに転じたということは、補助があってもなお吸収しきれないほどケロシン価格の上昇が進んだことを示しています。デルタ航空の今回の増額も、同じ市況環境の変化を反映したものとみてよいでしょう。
利用者への影響と対処法
今回の改定は発券日を基準に適用されるため、2026年11月1日までに発券できれば現行の料金(米国本土・中南米55,000円、ハワイ35,800円)のままで購入できます。年末年始の渡米・ハワイ旅行を計画している場合、発券を11月2日より前に済ませられるかどうかで、1人あたり米国本土・中南米方面は7,000円、ハワイ方面は2,700円の差が生まれます。往復であればそれぞれ2倍の14,000円、5,400円の差になるため、複数人数での旅行ほど差額の影響は大きくなります。
購入方法によって燃油サーチャージの扱いが異なる点も押さえておく必要があります。デルタ航空のマイレージプログラム「スカイマイル」では、特典航空券を発券する際に燃油サーチャージが課されません。これはANA・JALのマイルを使った特典航空券とは異なる点で、マイルをすでに保有している場合は、現金で航空券を購入するよりも燃油サーチャージの増額の影響を受けずに済みます。マイルの保有状況によっては、特典航空券での発券を優先的に検討する価値があります。
一方で、燃油サーチャージだけを見て総額を判断しないことも大切です。燃油サーチャージが上がっても、時期によっては航空券本体の運賃が下がっていて総額としては変わらない、またはむしろ安くなるケースもあります。予約サイトや公式サイトで表示される総額を確認し、燃油サーチャージ単体の増減だけで発券タイミングを決めないようにしましょう。燃油サーチャージは今後も2か月ごとに見直される見込みのため、原油価格や中東情勢の動向次第では、2027年以降も改定が続くと考えられます。


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