JR北海道は2026年9月15日、在来線の普通車自由席が乗り降り自由になるフリーきっぷ「JR北海道 どこ行く? 平日パス」(愛称:どこパス)を発売すると発表しました。1日用が5000円、連続する2日用が8000円で、あらかじめ座席指定を受ければ特急列車の普通車指定席も追加料金なしで利用できるという、価格のわりに使い勝手のよい内容になっています。利用できるのは10月26日から11月20日までの平日限定です。紅葉シーズンが一段落し、雪のシーズンにはまだ早いこの時期に、なぜJR北海道はこのきっぷを出すのでしょうか。
どこパスの内容と使い方
どこパスは、JR北海道の在来線全線の普通車自由席が乗り降り自由になるフリーきっぷです。価格は1日用が5000円、連続する2日用が8000円で、こども用の設定はなく大人料金のみとなっています。
最大の特徴は、特急列車の普通車指定席にも追加料金なしで乗車できる点です。あらかじめ座席指定を受けることが条件で、利用できる回数は1日用が2回まで、2日用が4回までと決まっています。この回数を超えて特急列車を利用する場合は、別途特急料金などが必要です。新幹線(北海道新幹線)は対象外なので、新青森〜新函館北斗間の移動には使えません。
利用できる期間は2026年10月26日から11月20日までの平日に限られます。2日用を使う場合は、利用する2日間がともに平日である必要があります。発売期間は1日用が9月26日から11月6日まで、2日用が9月26日から11月5日までで、利用開始日の1か月前から14日前までに購入する仕組みです。購入は「えきねっと」のウェブサイト限定で、えきねっとチケットレスアプリでは扱っていません。購入後はJR北海道管内の指定席券売機などでの受け取りが必要になるため、利用当日に慌てないよう、事前に受け取りまで済ませておくのがおすすめです。
なぜこの時期・平日限定で売り出すのか
どこパスの利用期間である10月26日から11月20日は、北海道観光のカレンダーで見るとちょうど谷間にあたる時期です。多くの地域で紅葉が見頃を終えて落ち葉のシーズンに移り、かといって主要スキー場の本格オープンにはまだ早く、観光需要が1年でもっとも落ち込みやすい期間といえます。さらに対象を平日に絞ることで、行楽需要が集中しやすい土日祝日の運賃はこれまでどおり据え置いたまま、平日の空いている座席だけを安価に開放する形になっています。
この背景には、JR北海道の厳しい経営状況があります。JR北海道が2026年7月に発表した2025年度の線区別収支では、全20区間の合計で561億68百万円の営業損失を計上しており、前年度からの縮小幅はわずか20億44百万円にとどまりました。札幌圏こそ新千歳空港利用や北海道ボールパークへのアクセス需要に支えられて2014年度の公表開始以来はじめて通年黒字になったものの、宗谷線名寄〜稚内や花咲線(根室線釧路〜根室)などのローカル線区は依然として赤字が拡大しています。特急列車も含めて閑散期・平日の座席は放っておけば空気を運ぶだけになりやすく、それを埋める分の収入はたとえ大幅な割引運賃であっても、まったく売れないよりはるかに経営の助けになります。
似た趣旨のきっぷとしては「北海道&東日本パス」がありますが、こちらは26歳未満または65歳以上という年齢制限があり、普通列車限定で特急列車には別途料金が必要です。それに対してどこパスは年齢を問わず誰でも使え、特急指定席も回数内なら料金込みという点で、より幅広い層の平日旅行需要を取り込む狙いがうかがえます。稚内・網走・釧路といった遠方の都市も、特急を使えば1日の移動時間を大きく圧縮できるため、平日に休みを取れる社会人や、学校行事のない平日に動ける層にとっては使い勝手のよい選択肢になりそうです。
旅行者への影響と活用のポイント
このきっぷを使う予定がある方は、まず自分の旅程が平日だけで完結できるかを確認してください。2日用は両日とも平日である必要があるため、土日をまたぐ旅程では使えません。稚内・網走・釧路・函館など特急でのアクセスが前提になる目的地を組み合わせる場合は、指定席の残席状況によっては希望の時間帯を確保できないこともあるため、早めに座席指定の手続きを済ませておくと安心です。
購入から利用までの流れにも注意が必要です。えきねっとでの購入後、実際にJR北海道管内の指定席券売機などで受け取る手続きが別途必要になります。出発当日に空港や駅に着いてから初めて受け取り操作をすると、乗りたい列車に間に合わなくなるおそれがあるため、事前に最寄りの指定席券売機で受け取りを済ませておくとよいでしょう。
新千歳空港からの周遊旅行を計画している方にとっても、このきっぷは選択肢の一つになります。ただし北海道新幹線は対象外なので、道南から本州方面への移動を組み込む旅程では、新函館北斗〜新青森間の運賃は別途必要になる点を忘れないようにしてください。10月下旬から11月にかけて平日に休みが取れる方は、通常より安く道内周遊を楽しめる機会として検討する価値があります。


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