日本航空(JAL)は2026年9月14日、国際線のファーストクラスとビジネスクラスで提供するアメニティを刷新すると発表しました。ファーストクラスでは、これまで男性用・女性用に分かれていたコスメキットをJALとして初めてユニセックス仕様に統一し、コスメデコルテとザ・ギンザの製品を採用します。ビジネスクラスでは、岩手県花巻市発のアート企業ヘラルボニーとのコラボレーションデザインを約2年ぶりに刷新します。ファーストクラスは2026年9月中旬から国際線全路線で順次提供が始まり、ビジネスクラスは9月下旬からヨーロッパ、アメリカ(ハワイ・グアム線を除く)、カナダ、オーストラリア線で提供が始まります。
刷新の内容
ファーストクラス、コスメキットをユニセックス仕様に統一
これまでのJAL国際線ファーストクラスのコスメキットは、女性用に資生堂の「クレ・ド・ポー ボーテ」、男性用に「資生堂メン」を用意する構成でした。今回の刷新では男女別の分け方をやめ、日本発便・海外発便ともに性別を問わず使えるスキンケアセットに統一します。
日本発便では、コスメデコルテの製品3点を提供します。12mlのリポソーム アドバンスト リペア セラム、18mlのAQ ミリオリティ リペア エマルジョン n、18mlのAQ ミリオリティ リペア ローション nという組み合わせです。海外発便では、ザ・ギンザの製品を提供します。25mlのハイブリッド ジェル オイル n、トリートメント フェイシャル マスク n1枚、オリジナルポーチという構成です。
対象は国際線ファーストクラスの全路線で、開始時期は2026年9月中旬からとなっています。
ビジネスクラス、ヘラルボニーとのアートコラボを刷新
ビジネスクラスのアメニティでは、知的障害のある作家のアートを扱う企業ヘラルボニーとの共創デザインを約2年ぶりに一新します。これまでは日本人の契約作家の作品が中心でしたが、今回から海外出身の契約作家の作品も新たに加わりました。
日本発便のアメニティには、ポーチに加えてブックカバーとペンケースが新たに付属します。海外発便のアメニティには、ポーチに加えてバゲージタグとパスポートカバーが新たに付属します。いずれも複数のデザインパターンが用意され、契約作家ごとに異なるアート作品があしらわれます。
対象路線はヨーロッパ、アメリカ(ハワイ・グアム線を除く)、カナダ、オーストラリア線で、開始時期は2026年9月下旬からです。JALとヘラルボニーの提携は2023年10月に始まり、これまでに約30名の契約作家による40点以上の作品が機内食パッケージやアメニティなどの機内サービスに採用されてきました。
背景にある事業者の意図
なぜ今ジェンダーレスキットなのか
JALは今回の刷新の狙いについて、長距離移動や環境の変化で敏感になりやすい肌をケアすること、そして価値観の多様化とスキンケアニーズの変化に対応することを挙げています。化粧品を性別で分けて提供するやり方は、利用者の好みや使いたい製品と一致しないケースが出やすく、航空業界に限らず化粧品業界全体でジェンダーニュートラルな製品展開が進んでいます。
国内の航空会社では、ANAがすでに2024年4月から国際線ファーストクラス・ビジネスクラスのアメニティキットを、年齢や性別を問わず使えるスキンケア製品に切り替えています。中東系ではエティハド航空がラネージュのスキンケア製品を採用し、保湿マスクやリップケアなど性別を問わず使えるアイテムを揃えています。JALの今回の刷新は、こうした業界内の流れを追う形といえます。
プレミアムクラスのアメニティは、座席や食事と並んで各社が差別化を図る要素の一つです。男女別に2種類のキットを用意するよりも、ユニセックスの1種類に統一するほうが調達や在庫管理はシンプルになります。多様な利用者への対応と運用の効率化を同時に進められる点も、このタイミングでの刷新を後押ししていると考えられます。
なぜヘラルボニーと組むのか
ヘラルボニーは2018年設立の企業で、知的障害のある作家とアートライセンス契約を結び、その作品を企業の商品やプロジェクトに展開する事業を手がけています。創業者は岩手県出身の双子の兄弟で、重度の知的障害がある4歳上の兄の存在が起業のきっかけになったといわれます。契約作家は150名を超え、作品が商品化された際は売上の一部が作家に還元される仕組みを取っています。
JALとヘラルボニーの提携は2023年10月に始まり、国際線エコノミークラスの機内食パッケージデザイン、ビジネスクラスアメニティポーチへのアート採用、障害のある利用者向けの搭乗ガイドブック「Beyond Guide」の制作など、複数の取り組みを積み重ねてきました。今回のビジネスクラスアメニティの刷新は、その延長線上にある取り組みです。
航空会社にとって、アート企業との継続的な協業は、単発のキャンペーンでは築きにくい一貫したブランドイメージを作る手段になります。プレミアムクラスの利用者に向けて、価格や快適性だけでなく、企業としての姿勢を伝える機会にもなります。海外出身の契約作家の作品を加えたのも、国際線という利用シーンに合わせてコラボレーションの幅を広げる狙いがあると見られます。プレミアムクラスの差別化競争が座席や食事だけでなく、ブランドが誰と組んでいるかという点にも広がっていることを示す事例です。
利用者への影響と注意点
いつから変わるのか、路線によって違う
ファーストクラスのコスメキットは9月中旬から国際線全路線で順次切り替わります。切り替えは順次進むため、搭乗日によっては従来のキットが提供される便も残る可能性があります。確実に新しいキットを受け取りたい場合は、9月下旬以降の便を選ぶほうが確実です。
ビジネスクラスのヘラルボニーデザインアメニティは、9月下旬からヨーロッパ、アメリカ(ハワイ・グアム線を除く)、カナダ、オーストラリア線で順次提供されます。ハワイ線・グアム線はこの対象から外れているため、同じビジネスクラスでも路線によってアメニティの内容が異なる状態がしばらく続きます。JALはハワイ線・グアム線を除外した理由を発表の中で明らかにしていませんが、これらの路線はもともと歯磨きセットやモイスチャーマスクなど、ヨーロッパ・アメリカ線とは別の構成のアメニティを採用しており、以前から独立した仕様で運用されてきた路線です。今回の刷新もこの区分けを踏襲した可能性があります。
具体的に何を確認すべきか
複数の路線を乗り継いでビジネスクラスを利用する場合、出発地によって受け取るアイテムが異なる点に注意が必要です。日本発便ではブックカバーとペンケースが付属し、海外発便ではバゲージタグとパスポートカバーが付属します。往路と復路で出発地が違えば、もらえるアイテムも変わります。
ファーストクラスの利用者は、出発地によってコスメブランドが変わる点も押さえておくとよいでしょう。日本発はコスメデコルテ、海外発はザ・ギンザという構成のため、特定のブランドの製品を目当てにしている場合は出発地を確認しておくと安心です。従来のクレ・ド・ポー ボーテや資生堂メンのキットを継続して使いたい利用者にとっては、切り替え後は同じ便で受け取れなくなる点も踏まえておく必要があります。
なお、今回の刷新はアメニティキットの中身とデザインの変更にとどまり、ファーストクラス・ビジネスクラスの座席仕様や運賃、予約方法には影響しません。搭乗クラスの選び方自体を見直す必要はなく、アメニティの内容が路線や出発地によって異なることだけを頭に入れておけば十分です。


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