スカイマークは2026年8月24日、若年層向けの運賃「BonvoYoung(ボンボヤング、U25割)」を、搭乗者情報を事前に登録できる「マイページサービス」の利用者限定の運賃に変更すると発表しました。適用は9月8日からです。運賃額そのものは変わりませんが、9月8日以降に予約するには、マイページへの登録とログインが必要になります。冬の帰省や春休みにこの運賃を使う予定の方は、予約の前にひと手間が増えることになります。
何がどう変わるのか
BonvoYoungは、満12歳以上25歳以下を対象とした運賃です。搭乗日の45日前までの予約時に利用でき、価格は路線や時期によって変わりますが、2026年度冬ダイヤでは4,100円から9,600円に設定されています。別途、国内線旅客施設使用料がかかります。
9月8日からの変更点は次のとおりです。
- 予約時にマイページへのログインが必要になる
- 空席照会画面では、9月8日以降も未ログインの状態で運賃額が表示される
- 9月1日付でマイページの利用規約が改定される
- 規約改定前に予約・発券したBonvoYoungの航空券は、マイページ登録のない人もそのまま利用できる
つまり、運賃を「見る」ことは今までどおりできますが、「買う」段階でログインが求められるようになります。9月7日までに予約と発券を済ませた分については、これまでどおり使えます。
マイページサービスは、搭乗者の氏名や生年月日などの情報を事前に登録しておける仕組みです。登録しておけば予約のたびに情報を入力する手間が省けますが、これまでBonvoYoungを使うための必須条件ではありませんでした。
なぜ登録者限定にするのか
この変更には、いくつかの狙いが重なっていると考えられます。
もっとも直接的なのは、年齢確認の効率化でしょう。BonvoYoungは満12歳以上25歳以下という年齢制限つきの運賃です。年齢を条件にする運賃は、搭乗時に年齢を証明する書類の確認が必要になります。空港のカウンターや保安検査場でこれを行うと、時間もかかりますし、確認漏れも起こりえます。生年月日を含む搭乗者情報を事前に登録させておけば、確認の作業を予約の段階に前倒しできます。年齢を偽った予約も抑えられます。
もうひとつ、より大きな狙いとして考えられるのが、会員基盤の構築です。
スカイマークは、ANAやJALのようなマイレージプログラムを持っていません。運賃の安さと使いやすさで選ばれてきた会社で、利用者を囲い込む仕組みは薄いままでした。裏を返せば、誰がどれくらい乗っているのかを継続的に把握する手段が乏しいということでもあります。
マイページは、その入口になります。個人を特定できる形で情報を持てれば、路線ごとの利用傾向を年齢層別に分析できますし、運賃の設定や販売の打ち方も精密になります。将来的に会員向けの施策を打つ土台にもなります。そのきっかけとして、若年層向けの安い運賃を選んだという点が重要です。BonvoYoungを使う12歳から25歳の層は、これから何十年も飛行機に乗る可能性のある人たちです。この年代の情報を早い段階で押さえられるなら、登録という手間をかけさせる価値は十分にあります。
さらに、販売チャネルの観点も無視できません。マイページを経由した予約は、スカイマークの自社サイトでの直接販売です。旅行代理店を経由する販売と比べて手数料の負担が軽くなります。安い運賃ほど手数料の比率は重くなるため、低単価の運賃を自社チャネルに寄せるのは収益上の意味があります。
値上げの中で据え置かれている運賃
この変更を理解するには、スカイマークが同時期に打っている他の施策と並べて見る必要があります。
スカイマークは2026年8月21日に2026年度冬ダイヤの内容を発表し、10月25日搭乗分から大人普通運賃を全23路線で3%から7%引き上げると明らかにしました。値上げ幅は繁忙期で800円から3,400円、通常期で600円から3,700円です。一方で、BonvoYoungは4,100円から9,600円で継続し、小児運賃は値下げされます。
つまり、値上げの対象は大人の普通運賃に絞られています。普通運賃は出張や急な移動で使われることが多く、価格が上がっても移動そのものをやめにくい層が中心です。対して、若者や子ども連れは価格に敏感で、高くなれば夜行バスや鉄道、あるいは旅行そのものの取りやめに流れます。この層には手をつけない、という判断がはっきり出ています。
同社の直近の業績を見ると、この選別の意味がわかります。2027年3月期第1四半期(2026年4月から6月)の事業収益は249億9,600万円で前年同期比6.0%増と第1四半期として過去最高でしたが、営業損益は33億2,900万円の赤字でした。前年同期の16億3,000万円の赤字から倍以上に膨らんでいます。2026年7月の座席利用率は82.3%と高い水準です。席は埋まっているのに利益が出ていない状態で、原油高と円安が効いています。
こういう局面で、安い運賃を廃止するのではなく条件を付けて残すという選択は、需要そのものを手放したくないという意思の表れです。座席を空で飛ばすくらいなら4,100円でも埋めたい。ただし、埋める相手が誰なのかは把握しておきたい。今回の変更は、そういう考え方に沿ったものだと読めます。
利用者はどうすればいいか
もっとも重要なのは、予約の直前ではなく事前にマイページ登録を済ませておくことです。
BonvoYoungは搭乗日の45日前までの予約でしか使えません。安い座席は数に限りがあるため、発売直後や条件のよい便から埋まっていきます。予約しようとした段階で登録を始めると、その間に席がなくなる可能性があります。9月8日以降に使う予定があるなら、いま登録を済ませておくのが確実です。
日程の逆算もしておいてください。9月8日に予約する場合、45日後は10月23日です。年末年始の帰省に使いたいなら、12月下旬の搭乗に対して11月上旬までには予約する必要があります。春休みの旅行も同様で、3月下旬の搭乗なら2月上旬が目安です。マイページ登録は、その前に済ませておくことになります。
9月7日までに予約と発券を済ませた航空券については、マイページ登録がなくてもそのまま使えます。すでに予約済みの分について、慌てて登録し直す必要はありません。
空席照会は9月8日以降も未ログインでできます。運賃を調べるだけならこれまでどおりですが、そのまま予約に進もうとするとログインが求められます。比較検討の段階では気づきにくいので、実際に買う前に登録状態を確認しておいてください。
対象年齢は満12歳以上25歳以下です。搭乗時点の年齢が基準になるため、予約時に25歳でも搭乗日に26歳になっている場合は対象外です。誕生日をまたぐ日程を組む方は注意してください。
また、BonvoYoungの表示価格には国内線旅客施設使用料が含まれていません。他社のLCCと比較する際は、この分を加えた総額で見てください。
まとめ
今回の変更は、運賃の値上げでも廃止でもなく、条件の追加です。4,100円からという価格は据え置かれたまま、買うためにマイページ登録が必要になります。年齢確認を確実にするという実務上の理由に加えて、マイレージプログラムを持たないスカイマークが会員基盤を作りにいく一歩でもあると考えられます。12歳から25歳でスカイマークを使う予定のある方、あるいはお子さんの帰省に使う予定のある方は、9月8日より前にマイページ登録を済ませておけば、予約のタイミングで慌てずに済みます。


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