JR四国2026年8月の鉄道営業概況 運輸収入は2カ月ぶり減収も主要3線区の利用者数は増加

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JR四国は2026年9月29日の社長会見で、2026年8月の鉄道営業概況を発表しました。8月の全体収入(運輸取扱収入)は30億2600万円で、前年比99.6%(マイナス1100万円)となり、2026年6月以来2カ月ぶりに前年を下回りました。内訳は普通収入が27億6200万円で前年比99.7%、定期収入が2億6400万円で前年比98.4%です。2026年度累計(4月〜8月)の全体収入は140億8600万円、前年比98.3%となっています。

地域別に見ると、四国内普通収入は9億3500万円で前年比102.0%と、7月に続き2カ月連続で前年を上回りました。一方、本州方面の普通収入は18億2700万円で前年比98.7%となり、2026年5月から4カ月連続の前年割れです。四国内の需要は上向いている一方、本州との間を行き来する需要は伸び悩んでいます。

8月の輸送障害としては、土讃線で人身事故(8月6日)と旭駅の火災(8月9日)が発生しました。前年の2025年8月は土讃線で大雨・倒木による影響が8月10日・12日・14日の3日間続いており、障害の日数自体は前年のほうが多くなっています。

県別・列車別の内訳

四国内普通収入を県別に見ると、香川が2億8800万円で前年比97.3%と唯一のマイナスでした。愛媛は3億2400万円で前年比102.8%、徳島は1億6900万円で前年比103.1%、高知は1億2500万円で前年比105.2%と、いずれも前年を上回っています。四国内と本州方面を合わせた県別計では、香川が12億8700万円で前年比97.3%、愛媛が8億3600万円で前年比100.1%とほぼ横ばい、徳島が2億7500万円で前年比102.3%、高知が3億3100万円で前年比105.2%でした。

1日平均の列車別ご利用人員(上下計)を見ると、収入とは対照的に人数ベースでは多くの区間で増加しています。予讃線「しおかぜ・いしづち」(多度津〜伊予三島)、土讃線「南風・しまんと」(多度津〜阿波池田)、高徳線「うずしお」(高松〜徳島)を合わせた主要3線区の合計は10,627人で前年比101.3%です。内訳は、土讃線の南風・しまんとが2,890人で前年比106.1%と最も伸び、高徳線うずしおは2,141人で前年比100.2%、予讃線しおかぜ・いしづちは5,596人で前年比99.4%とわずかに減少しました。

瀬戸大橋線の特急合計(しおかぜ・南風)は8,469人で前年比101.0%、マリンライナーは15,137人で前年比99.0%、瀬戸大橋線全体では23,606人で前年比99.7%とほぼ横ばいでした。予讃線「宇和海」(松山〜宇和島)、土讃線「あしずり・しまんと」(高知〜窪川)、徳島線「剣山」を合わせたその他3線区の合計は3,202人で前年比101.2%です。

訪日客向けの「ALL SHIKOKU Rail Pass」の発売実績は8月に1,029枚で、前年比76.8%(マイナス310枚)と大きく落ち込みました。7月は1,064枚・前年比106.4%と伸びていただけに、8月の反動は目立ちます。

なぜこの結果になったのか

JR四国は8月の概況について、「前年度に行われた国際的な大型イベントの反動減があったものの、比較的天候に恵まれたことに加え、9月のシルバーウィークのご予約が好調であったことから、前年並みとなった」と説明しています。

ここでいう「国際的な大型イベント」は、2025年に瀬戸内海の島々で開催された瀬戸内国際芸術祭を指すとみられます。JR四国が別途公表したお盆期間(8月13日〜16日)の輸送概況によると、瀬戸大橋線の利用者数は約29万7800人で、芸術祭が開催されていた前年の2025年と比べて2600人(1%)下回りました。一方、予讃線・土讃線・高徳線の主要3線区は約13万8700人で前年比103%と増加し、2020年以降で最多を記録しています。瀬戸大橋線の伸び悩みと主要3線区の好調という構図は、月間の数字とも一致しています。

2025年8月は瀬戸内国際芸術祭の来場者が瀬戸大橋線を経由して直島・豊島などへ向かった分、利用者数・収入ともに押し上げられていたと考えられます。芸術祭は3年に1度の開催で2026年は開催年に当たらないため、2026年8月の瀬戸大橋線の数字は、催事の有無による自然な反動を含んでいるとみるのが妥当です。ALL SHIKOKU Rail Passの発売枚数が前年比76.8%まで落ち込んだ背景にも、同じ要因が働いている可能性があります。芸術祭を目当てに四国入りした訪日客が2025年8月に集中していたのだとすれば、2026年8月はその反動を受けやすい月だったといえます。

一方で、四国内需要は堅調です。四国内普通収入は102.0%、四国内の主要3線区の利用者数は101.3%とどちらも前年を上回りました。JR四国が「比較的天候に恵まれた」と説明する通り、2025年8月は土讃線で大雨・倒木による輸送障害が8月10日・12日・14日の3日間続いていました。2026年8月も土讃線で人身事故と旭駅火災が発生していますが、障害の日数としては前年のほうが多く、悪天候による運休が少なかった分、四国内の移動需要を取りこぼしにくかったとみられます。

もう一つの押し上げ要因が、9月のシルバーウィーク需要の先取りです。2026年は敬老の日(9月21日)と秋分の日(9月23日)の間に挟まれた9月22日が「国民の休日」となり、9月19日から23日までの5連休が成立しました。これは2015年以来11年ぶりの大型連休です。JR四国が8月の概況で「9月のシルバーウィークのご予約が好調」と明言している通り、この11年ぶりの5連休に向けた指定席予約が8月中に前倒しで動いたことが、収入の下支えになったとみられます。

定期収入については、通勤が97.5%、通学が99.7%といずれも前年を下回りました。四国4県は人口減少が続いており、通勤・通学の定期利用者が構造的に増えにくい環境にあります。7月は通学定期が103.5%と伸びていましたが、8月は夏休み期間で通学需要自体が少なく、月による変動の影響も大きいとみられます。

旅行者への影響と対処法

四国旅行を計画している方に向けて、今回の数字から読み取れる実務的なポイントを整理します。

まず、混雑傾向についてです。土讃線の南風・しまんと(多度津〜阿波池田)が前年比106.1%と最も伸びており、高知方面への特急は指定席が埋まりやすくなっていると考えられます。高知や四万十方面への旅行を計画している場合は、繁忙期でなくても早めに指定席を確保しておくと安心です。逆に予讃線のしおかぜ・いしづち(多度津〜伊予三島)は99.4%とわずかに前年を下回っており、松山方面は比較的余裕があります。

次に、10月以降の見通しです。2026年9月19日から23日までのシルバーウィークは、11年ぶりの5連休として大きな移動需要が見込まれます。四国内の特急、とりわけ土讃線や高徳線の指定席は早期に埋まる可能性が高いため、この時期に四国を訪れる予定があるなら、9月中旬までに指定席の予約を済ませておくことをおすすめします。

きっぷの面では、スマえき(しこくスマートえきちゃん)の8月の発売実績が前年比125.7%と伸びています。7月の132.7%に続く高い伸び率で、デジタルきっぷの利用が定着しつつあることがうかがえます。四国内を移動する際は、駅の窓口や券売機で通常運賃を購入する前に、アプリ内の割引商品を確認しておくと、同じ移動でも費用を抑えられる場合があります。

訪日外国人向けのALL SHIKOKU Rail Passは、8月の発売枚数が前年比76.8%と落ち込みました。裏を返せば、瀬戸内国際芸術祭の開催年だった2025年8月ほどには訪日客が集中していないとも考えられ、瀬戸大橋線やマリンライナーの車内は前年と比べて落ち着いている可能性があります。混雑を避けて瀬戸大橋を渡りたい方にとっては、条件の良いタイミングといえます。

JR四国の8月の収入は2カ月ぶりに前年を下回りましたが、要因の多くは2025年の瀬戸内国際芸術祭という一時的な押し上げ要因の反動によるものです。四国内の利用者数や地区別の収入を見る限り、需要そのものは底堅く推移しています。9月のシルバーウィークに向けた予約状況も踏まえると、秋の行楽シーズンの四国旅行は早めの計画と予約が鍵になりそうです。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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