バンコク三大寺院のひとつとして知られるワット・ポー。全長46mの巨大な寝釈迦仏(ねしゃかぶつ)をはじめ、広大な境内に点在する仏塔や回廊、そしてタイ古式マッサージ発祥の地としても有名なお寺です。
王宮・ワットプラケオのすぐ南に位置し、観光の流れで立ち寄りやすい一方で、実は「寝釈迦だけじゃない」見どころの層がとても厚い場所でもあります。この記事では、初訪問でも迷わないように、押さえるべきポイントと注意点をまとめました。
ワット・ポーとは?
ワット・ポーの正式名称はワット・プラチェートゥポン・ウィモンマンカラーラーム。タイ王国における最古級の王室寺院のひとつとして知られています。
一般に使われている「ワット・ポー」という呼び名は略称で、
ワット=寺院、ポー=菩提樹という意味です。
菩提樹(ぼだいじゅ)は、その下でブッダが悟りを開いたとされる、仏教において極めて重要な象徴的存在です。
正式名称である
ワット・プラ・チェートゥポン・ウィモンマンカラーラームを分解すると、
- ワット:寺院
- プラ:ブッダ
- チェートゥポン:祇園精舎
- ウィモン:清らかな
- マンカラーラーム:幸運の寺院
という意味になります。
この名称には、ブッダの悟りと、仏教の学びの原点を象徴する意味が込められており、
この寺院が単なる信仰の場ではなく、学問や医学の中心としての役割を担うことを意図して創建されたことが分かります。
ワット・ポーを創立したのは、タイ王朝初代国王のラーマ1世。
王宮やワット・プラケオとともに、首都バンコクの中枢を構成する施設として、計画的にこの一帯に配置されました。
その後、ラーマ3世の時代に、医学・教育・学問の拠点としての機能が本格的に整備されていきます。
すぐ近くにある王宮内のワット・プラケオが、エメラルド仏を祀る国家の象徴であるのに対し、
ワット・ポーは、修行や学問、知識を民衆へ伝える役割を担っていた寺院でした。
ワット・ポーの大きな特徴は、宗教施設でありながら、
観光・学問・医学(特にタイ古式マッサージ)と深く結びついている点です。
- 巨大な寝釈迦仏を有する代表的な観光名所
- 医学・マッサージ・薬草などの「知」が集約された学びの場
- 観光地でありながら、今も信仰の場として機能している寺院
単なる「お寺=参拝する場所」という枠を超え、
バンコクの文化・歴史・信仰を体感できる場所として、ワット・ポーは今も多くの人を惹きつけています。
ワット・ポーの見どころ
寝釈迦仏

ワット・ポーといえば、やはり巨大な寝釈迦仏が最大の目玉です。
- 全長:約46m
- 高さ:約15m
- 全身が金箔で覆われた圧倒的スケール
実際に目の前に立つと、写真では伝わらない迫力に圧倒されます。寝釈迦は専用の建物の中に安置されているため、入口から入った瞬間のインパクトはかなり強めです。
足の裏にも注目

寝釈迦仏の足の裏には、108の螺鈿(らでん)模様が施されています。これは仏陀が持つ108の吉祥文様を表すとされ、きらびやかで細密。人間の煩悩の数が108で、それを超越した完全な悟りという意味になります。除夜の鐘が108回なのと同じ理由です。
人が多いと流れ作業で通り過ぎがちですが、ここはぜひ立ち止まって見てほしいポイントです。
ワット・ポーは、寝釈迦仏だけ見て帰るにはもったいないほど、境内が広く、見どころが点在しています。寝釈迦の建物を出たあとが、本番と言ってもいいくらいです。
四大仏塔(プラ・マハ・チェーディ)

境内には、歴代国王(ラーマ1世〜4世)を祀るとされる巨大な仏塔が並んでいます。
それぞれ色や装飾が異なり、非常に存在感があるため、ワット・ポーの中でも「タイの寺院らしさ」を強く感じられるエリアです。
そもそも仏塔とは、ブッダの遺骨や高僧の遺灰、経典、あるいは聖なる象徴物を納めるための建築物です。
仏塔そのものが、仏の存在や、この世に仏の教えが伝えられていることを象徴しています。
日本の寺院で例えるなら、仏塔は五重塔にあたる建築物です。
実は、ブッダは自分自身を神格化することを好まなかったと伝えられています。
そのため、初期仏教の時代には仏像は作られず、礼拝の対象とされていたのは仏塔でした。仏の姿を直接表すのではなく、教えの存在そのものを象徴するものとして、仏塔が重視されていたのです。
しかし時代が下り、アレクサンドロス大王のインド遠征をきっかけにギリシャ文化が流入すると、写実的な造形技術の影響を受け、ブッダの姿をかたちとして表した仏像が作られるようになっていきました。
現在の日本では、仏像の方が重要視されることが多いですが、歴史的には仏塔の方がはるかに古い存在です。
このように仏塔は、初期仏教の時代から大切にされてきた、仏教の原点とも言える存在なのです。
ワット・ポーに並ぶ仏塔群は、単なる装飾的な建築ではなく、仏教の成り立ちや思想の歴史を静かに伝えてくれる、非常に重要な見どころと言えるでしょう。
回廊に並ぶ仏像群

境内には多数の仏像が並ぶ回廊があり、静かに歩くだけでも雰囲気があります。観光客が比較的少ないタイミングだと、落ち着いて鑑賞しやすいです。
寝釈迦の迫力と、境内の静けさ。このコントラストも、ワット・ポーの面白さです。
タイ古式マッサージの総本山

ワット・ポーは、タイ古式マッサージ発祥の地としても知られています。
境内には、マッサージや医学に関する知識を刻んだ石板が数多く残されており、寺院でありながら、長く「学びの場」としての役割を担ってきました。
ここには、マッサージ理論や人体構造、薬草などに関する知識が体系的にまとめられており、ワット・ポーは「知の寺院」とも言える存在です。
現在でも、境内にはワット・ポー公認のマッサージスクールがあり、本格的にタイ古式マッサージを学ぶことができます。世界的にも評価が高く、国内外から多くの人が学びに訪れています。
また、観光客向けにタイマッサージを受けられる施設も併設されており、見学だけでなく体験することも可能です。
時間や予算に余裕があれば、ワット・ポー公認のタイ古式マッサージを実際に体験してみるのもおすすめです。
寺院としての歴史や文化に触えるだけでなく、体を通して学びを感じられることで、「寺院観光+体験」という形になり、満足度が一気に高まるでしょう。がります。
本堂

ワット・ポーといえば、まず思い浮かぶのが巨大な涅槃仏です。多くの人が最初に訪れるため、あの涅槃仏の建物が本堂だと思われがちですが、実際の本堂(ウボーソット)は別の場所にあります。
本堂の本尊仏は「プラ・ブッダ・テーワ・パティマコーン」。この仏像は、タイ王朝初代国王であるラーマ1世によって安置されたもので、タイ国内における仏教の基準となる仏像とされています。
この本堂は、現在も僧侶による正式な儀式が執り行われる、非常に重要で神聖な空間です。
観光で気軽に立ち寄れる場所でありながら、同時に“生きた信仰の場”でもあります。
そのような貴重な場所を実際に見学できることに感謝しつつ、
中では私語を控え、静かで謙虚な気持ちでお参りしたいところです。
ワット・ポー観光の注意点
服装規定あり
王宮エリアに近い寺院のため、服装チェックは比較的しっかりしています。以下は避けるのが無難です。
- ノースリーブ
- 短パン
- ミニスカート
見学時間は余裕をもって
所要時間の目安は以下です。
- サクッと主要ポイントだけ:約1時間
- 境内散策・写真もしっかり:1.5〜2時間
「王宮→ワット・ポー→ワット・アルン」とセットで回る人が多いので、時間配分はかなり重要。ワット・ポーは思った以上に広いので、余裕を見ておくと安心です。
実際私が訪れた際は、王宮とワットポーで時間を使いすぎたため、ワットアルンは後日訪れることとなりました。
アクセス
MRT
MRT(地下鉄)で行く場合、ブルーラインのSanam Chai駅で下車し徒歩5分ほどで到着します。ブルーラインはバンコクの主要地点を通っており、多くの場所から乗り換えなしで行くことができます。一番簡単な行き方です。ブルーラインではVISA、Masterカードのタッチ決済も利用できます。
船
チャオプラヤー川を運行している船で行くことも可能です。バンコクは古くから船での交通が盛んでした。歴史や文化を感じられる点や、川沿いの景色を楽しめる点でおすすめです。
チャオプラヤーエクスプレスのオレンジラインに乗船し、船着場で下船してください。オレンジライン以外はTha Changに泊まらないので注意してください。運賃は均一で16バーツです。
営業時間・料金
営業時間:8:00~18:30
料金:300バーツ
実際に訪れた体験記はこちら
まとめ|ワット・ポーはバンコク観光の理解を深める寺院
ワット・ポーは、巨大寝釈迦仏のインパクトだけでなく、王室寺院としての格、境内の仏塔や回廊の美しさ、そしてタイ古式マッサージの文化まで、さまざまな要素が詰まったバンコクを象徴する寺院です。
「大きい寝釈迦を見た!」で終わらせず、境内全体を歩きながら、なぜここが今も大切にされているのかを感じてみると、バンコク観光の解像度が一段上がります。


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