「飛鳥・藤原の宮都」世界遺産登録が濃厚に——ICOMOSが登録勧告、7月正式決定へ

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2026年6月6日未明(日本時間)、ユネスコの諮問機関「ICOMOS(国際記念物遺跡会議)」が、奈良県の「飛鳥・藤原の宮都」について世界遺産登録を勧告したと発表しました。登録勧告はICOMOSが下す4段階の評価のうち最もポジティブな結果で、7月の世界遺産委員会での正式登録がほぼ確実な段階に入りました。

登録が実現すれば、国内の文化遺産としては2024年の「佐渡島の金山」(新潟県)に続く22件目となり、自然遺産を含めた国内世界遺産の通算27件目になります。

なぜ「登録勧告」が重要なのか

ICOMOSによる評価には次の4段階があります。

  • 記載(登録を勧告)
  • 情報照会(追加情報を求めて継続審査)
  • 記載延期(大幅な見直しが必要)
  • 不記載(登録に値しないと判断)

今回の「記載」は最上位の評価です。世界遺産委員会がICOMOSの勧告を覆すケースは歴史的にも非常にまれで、7月の委員会での正式決定をほぼ確実視してよい段階です。

「飛鳥・藤原の宮都」は2025年2月に日本政府が推薦書をユネスコへ提出し、同年9月にICOMOSの現地調査を受けました。今回の勧告はその評価の最終結果にあたります。7月19日〜29日に韓国・釜山で開催される第48回ユネスコ世界遺産委員会で正式決定される予定です。

「飛鳥・藤原の宮都」とはどんな遺産か

「飛鳥・藤原の宮都」は6世紀末から8世紀初頭(飛鳥時代)にかけて、奈良盆地の南部に栄えた宮都の遺跡群です。奈良県明日香村・桜井市・橿原市の1村2市に計19の構成資産が分布しています。

ユネスコへの推薦書は「東アジアの古代国家形成期において中央集権体制が誕生・成立した過程を、2つの連続する宮都の変遷から示す唯一無二の遺産」として評価の根拠を説明しています。飛鳥時代の日本が中国大陸・朝鮮半島との活発な交流を通じて律令国家へと変貌する過程を、宮殿跡・寺院跡・墳墓が地中に残す形で証明している——それがこの資産群の強みです。

主な構成資産

飛鳥宮跡(奈良県明日香村)

「大化の改新」が起きた皇極天皇の時代(645年)から天武・持統天皇の時代(7世紀末)まで、複数の天皇が宮を置いた政治の中心地です。地下には異なる時代の宮殿が重なって眠っており、発掘調査を通じて奈良時代以前の宮廷文化の実態が少しずつ解明されてきました。

藤原宮跡(奈良県橿原市)

持統天皇が694年に遷都した日本初の本格的都城「藤原京」の中心部です。中国・唐の長安をモデルにした碁盤目状の街づくり(条坊制)が初めて実現した場所で、710年に元明天皇が平城京へ遷都するまでの16年間、国の首都として機能しました。奈良の平城宮跡は世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産ですが、その先駆けとなった都城がここ藤原京です。

キトラ古墳(奈良県明日香村)

石室の壁に四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)と精緻な天文図が描かれた古墳で、7世紀末から8世紀初頭に築かれたと考えられています。特に天文図は世界でも類例のない精密さで、当時の日本が大陸の科学・天文知識を高度なレベルで取り入れていたことを示しています。

高松塚古墳(奈良県明日香村)

1972年の発掘調査で「飛鳥美人」と呼ばれる極彩色の女性群像壁画が発見されたことで全国的に有名になった古墳です。色鮮やかな衣装をまとった女性たちの絵は大陸文化の影響を受けた宮廷の美意識を伝えており、飛鳥時代の芸術水準の高さを示しています。

石舞台古墳(奈良県明日香村)

巨大な花崗岩が露出した横穴式石室が特徴で、蘇我馬子の墓との説が広く知られています。石室内部に入ることができ、古墳時代の墓の構造を間近で体感できます。

登録まで19年——なぜここまで時間がかかったのか

「飛鳥・藤原の宮都」がユネスコの世界遺産暫定リストに記載されたのは2007年のことです。今回の正式登録勧告まで実に19年近くを要しました。

最大の理由は「顕著な普遍的価値(OUV)」を国際基準で立証することの難しさです。推薦書の作成段階では当初案に含まれていた大和三山(香久山・畝傍山・耳成山)が「普遍的価値の立証が困難」として除外されるなど、資産の絞り込みに長い時間がかかりました。また、日本政府がユネスコへ提出できる推薦書は原則として年1件という制約があり、順番待ちの期間も影響しています。

2024年9月に推薦候補として選定され、翌年2月に推薦書が提出された今回の推薦は、19資産という厳選された構成で臨んだものです。その判断がICOMOSから「唯一無二の遺産」として評価される結果につながりました。

旅行者への影響と今すぐ動く理由

世界遺産登録が実現すれば、明日香村・橿原市・桜井市への注目度は国内外で急上昇します。特に外国人観光客の増加が見込まれるため、混雑を避けて静かに訪れたい方は登録前の今が動き時です。

石舞台古墳・高松塚古墳・キトラ古墳・飛鳥宮跡・藤原宮跡はいずれも現在通常どおり見学できます。明日香村内の移動はレンタサイクルが便利で、主要な構成資産を半日程度で巡ることができます。

最寄り駅は近鉄「飛鳥駅」(明日香村へのアクセス)または「橿原神宮前駅」(藤原宮跡への玄関口)です。大阪・阿部野橋(天王寺)から近鉄特急を使えば約1時間で到着できます。正式登録が決定する7月末を前に、この夏の旅行先として検討してみてください。

まとめ

ICOMOSの登録勧告は、「飛鳥・藤原の宮都」の国際的価値が正式に認められた重要な一歩です。7月の世界遺産委員会で登録が確定すれば、奈良の飛鳥エリアは新たな時代を迎えます。石舞台古墳の迫力ある石室、高松塚古墳の鮮やかな壁画、藤原宮跡から見渡す奈良盆地の広がり——世界遺産になる直前のこのタイミングに、ぜひ自分の目で確かめてみてください。

参考リンク

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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