東海道新幹線の静岡駅・豊橋駅にホーム可動柵 工事費約47億円で2029年3月頃までに供用開始

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JR東海は2026年8月7日、東海道新幹線の静岡駅と豊橋駅のホームに可動柵を設置すると発表しました。工事の着手時期などが固まったことによる公表で、工事費は約47億円、2029年3月頃までに順次供用を開始する予定です。「のぞみ」が停まらない駅への本格的な整備が始まることになります。

設置される駅と番線、工事のスケジュール

対象となるのは、静岡駅の5番線・6番線と、豊橋駅の12番線・13番線です。いずれも東海道新幹線のホームにあたります。

駅名 対象番線 工事着手 供用開始
静岡 5・6番線 2026年9月以降、順次 2029年3月頃までに順次
豊橋 12・13番線 2027年2月以降、順次 2029年3月頃までに順次

静岡駅で見ると着手から供用まで2年半近くかかる計算で、営業列車を走らせながらの工事がいかに手間のかかるものかがうかがえます。

工事費は2駅・4番線分で約47億円です。1番線あたりに換算すると約12億円で、在来線のホームドアと比べてかなり大きな金額になります。

東海道新幹線の可動柵整備はどこまで進んできたか

東海道新幹線では、これまで利用者の多い「のぞみ」停車駅を中心に可動柵の整備が進められてきました。JR東海の発表では、品川駅22番線を除く「のぞみ」停車駅が整備の中心だったとされています。

そして2022年、JR東海は新幹線の全ての駅に可動柵を整備する計画を発表し、具体的な検討を進めてきました。今回の静岡駅・豊橋駅は、その計画に基づいて工事着手時期が固まった最初の案件という位置づけになります。JR東海は、静岡駅・豊橋駅以外の可動柵整備についても、工事着手時期などが決まり次第、順次知らせるとしています。

なぜ静岡と豊橋が先なのか

ここで考えたいのは、なぜ「のぞみ」が停まらない静岡駅と豊橋駅が先に選ばれたのか、という点です。

実は、この2駅は東海道新幹線の中でも可動柵の必要性が高い駅にあたります。理由は通過列車の多さです。静岡駅と豊橋駅は「ひかり」と「こだま」が停まる駅で、そこに停車中の「こだま」が、後から来る「のぞみ」に追い越されるという場面が日常的に発生します。東海道新幹線の最高速度は時速285キロですから、ホームに人が立っている真横を、それに近い速度で16両編成が駆け抜けていくことになります。

停車駅としての利用者数だけを見れば、静岡や豊橋は東京や名古屋には及びません。しかし「ホームにいる人が高速で通過する列車にさらされる時間」で見れば、むしろ通過列車の多い駅のほうが危険度は高くなります。「のぞみ」停車駅の整備が一巡した次の段階として、通過列車の多い待避駅を優先したという判断は、安全という目的から見て筋が通っています。

47億円という金額の大きさにも理由があります。新幹線の可動柵は、高速で通過する列車が生む風圧に耐える構造が求められ、ホーム床の補強を伴うことも少なくありません。加えて、営業運転を止めずに夜間の限られた時間で工事を進める必要があり、その分だけ工期も費用も膨らみます。1番線あたり12億円という水準は、単なる柵の設置費用ではなく、ホーム構造そのものへの投資と理解するのが実態に近いでしょう。

そしてもう一つ、この投資はJR東海が旅客収入以外の収益源を広げようとしている動きと表裏の関係にあります。同社は同じ8月7日に、東海道新幹線の荷物輸送サービス「東海道マッハ便」を使った再生医療用の細胞輸送を始めるとも発表しています。安全設備への大型投資を継続するには、それを支える収益基盤が要ります。守りの投資と攻めの事業開発が同じ日に発表されたのは偶然かもしれませんが、両者が同じ経営判断の裏表であることは押さえておいてよいところです。

旅行者にとってどう変わるか

供用が始まれば、静岡駅と豊橋駅のホームで「こだま」の通過待ちをする際の安心感は明確に高まります。特に、大きなスーツケースを持っている人、ベビーカーを押している人、小さな子ども連れの人にとっては、心理的な負担がかなり軽くなるはずです。通過列車の風圧で荷物が動くのではないかという不安から解放されます。

一方で、供用開始は2029年3月頃までと、まだ先の話です。それまでの間はこれまでどおり、黄色い線の内側で列車を待つという基本を守ることになります。特に通過列車が近づくアナウンスがあったときは、ホーム端から十分に離れてください。

工事期間中については、今回の発表では旅客への影響は示されていません。ただ、ホーム上での工事が2年以上続くことになりますので、時期によっては一部の乗車位置や通路の使い方が変わることも考えられます。静岡駅・豊橋駅から新幹線に乗る予定がある方は、当日の駅の案内表示を確認しつつ、少し余裕をもってホームに向かうようにしておくと安心です。

なお、今回の発表は静岡駅・豊橋駅に限ったものです。他の駅についても全駅整備の計画自体は動いていますので、自分がよく使う駅の情報は、JR東海の発表を随時確認しておくとよいでしょう。

まとめ

今回の発表は、「のぞみ」停車駅を中心に進んできた東海道新幹線の可動柵整備が、通過列車の多い待避駅へと広がる段階に入ったことを示しています。約47億円という金額と、着手から供用まで2年半という工期は、新幹線のホームに柵を1つ付けることがいかに大きな工事かを物語ります。実際に恩恵を受けられるのは2029年3月頃までとまだ先ですが、静岡と豊橋のホームは確実に安全な場所へと変わっていきます。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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