発表の概要
JR北海道は2026年9月4日、大雨被害で運転を見合わせていた室蘭本線について、9月10日(木)の始発列車から全線で運転を再開すると発表しました。
被災のきっかけは8月27日夜の大雨です。室蘭本線の静狩~小幌間で路盤流出や複数箇所での土砂流入、線路冠水が発生し、特急北斗の全便運休をはじめとする大規模な運休が続いていました。豊浦~伊達紋別間は9月2日夕方に一足先に運転を再開していましたが、被害が最も大きかった静狩~小幌間は当初「9月7日以降」とされていた復旧見込みがずれ込み、9月4日の発表でようやく完了のめどが立ったかたちです。
全線再開前の9月8日・9日には、通常ルートの代わりに函館本線の山線(小樽・倶知安経由)を経由する臨時特急「ニセコ」が追加運転されます。使用車両は261系5000番台の「ラベンダー」編成で、5両編成・全車指定席・1日1往復、札幌~函館間の所要時間は約5時間半です。9月9日までの時点で、この被災により運休した列車は特急286本・普通列車193本の合計479本にのぼり、影響を受けた利用者は約5万8000人と発表されています。洞爺~長万部間では代行バスによる輸送も行われました。
なぜ迂回に2週間近くかかったのか
室蘭本線は「代わりが利かない」大動脈だから
室蘭本線は、千歳線・函館本線とあわせて札幌と函館を結ぶ「海線」と呼ばれるルートの一部を構成しています。特急北斗をはじめとする道内の優等列車に加え、本州との間を行き来する貨物列車が昼夜を問わず走る、北海道の物流を支える基幹路線です。北海道新聞の報道によれば、この区間の寸断で1日あたり8000トン規模の貨物輸送に影響が生じ、トラックなどによる代替輸送の確保に各社が奔走する事態になりました。
今回、山線経由の臨時特急ニセコが用意されたとはいえ、1日1往復・全車指定席という限られた輸送力にとどまっています。所要時間も通常の特急北斗が約3時間30分であるのに対し、ニセコは約5時間半と、2時間近く余分にかかります。山線は特急北斗クラスの本数・所要時間を代替できるだけの線形や設備を備えておらず、応急的な迂回策以上の役割を果たせないというのが実態です。裏を返せば、それだけ室蘭本線という単一ルートに札幌~函館間の輸送が集中しているということであり、今回の被災は北海道の鉄道ネットワークが特定区間に強く依存している構造をあらためて浮き彫りにしました。
復旧を急いだ背景に貨物と観光シーズンの両方の事情
JR北海道が突貫で復旧を進めた背景には、貨物輸送への影響という経営上の理由に加え、9月中旬から本格化する紅葉シーズンや、10月に控えるシルバーウィーク後の観光需要を見据えたタイミングの事情もあったとみられます。単に旅客の利便性を回復させるというだけでなく、農産物をはじめとする貨物輸送の停滞が長引くほど道内経済への打撃が大きくなるため、被災から2週間弱というスピードでの全線再開にこだわった面があると考えられます。
旅行者への影響と対処法
9月10日始発からは通常ダイヤに戻る見込みですが、発表では「今後の天候による変動の可能性がある」ともされています。9月9日までに札幌~函館間の移動を予定している人は、引き続き臨時特急ニセコ号(1日1往復・全車指定席)を利用するか、新千歳空港・函館空港を使った航空便への切り替えを検討する必要があります。ニセコ号は全車指定席のため、利用する場合はJR北海道の予約サイトやみどりの窓口で早めに座席を確保しておくと安心です。
9月10日以降に室蘭本線経由で移動を予定している人も、大雨被災からの復旧直後であるため、当日の運行状況を出発前にJR北海道の公式サイトや列車運行情報アプリで必ず確認することをおすすめします。特に静狩~小幌間は今回の被災箇所そのものであり、今後大雨が続いた場合には運転規制がかかりやすい区間でもあります。北海道内を鉄道で周遊する旅行を計画している場合は、天候リスクを見込んで移動日に余裕を持たせておくと、万一の運休にも対応しやすくなります。


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