JR九州「クレカ乗車」92駅に拡大 9月18日開始 なぜ鹿児島・別府ではなく福岡に集中投資するのか

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JR九州は2026年9月8日、クレジットカードなどのタッチ決済で改札を通れる「クレカ乗車」の対象エリアを、2026年9月18日の初列車から拡大すると発表しました。福北ゆたか線・香椎線・若松線が新たに加わり、対応駅は合計92駅になります。切符売り場に並ばず、手持ちのクレジットカードやスマートフォンをかざすだけで乗車できるサービスが、福岡都市圏でさらに広がる形です。

発表内容の詳細

拡大後にクレカ乗車が使えるのは、鹿児島本線(門司港〜久留米間・49駅)、福北ゆたか線(折尾〜博多間・27駅)、香椎線(西戸崎〜宇美間・16駅)、若松線(若松〜折尾間・6駅)の4路線・計92駅です。対応ブランドはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯の7種類で、入場・出場のどちらも自動改札機か専用端末にカードやスマートフォンをタッチするだけで完了します。交通系ICカード(SUGOCA等)を持っていなくても、普段使っているクレジットカード1枚で乗車できる点が特徴です。

このサービスはJR九州が2022年7月に鹿児島本線の香椎〜博多間5駅でJRグループ初の実証実験として始めたもので、その後も段階的に対象区間を広げてきました。2026年4月には実証実験を終えて正式サービスに切り替わっていますが、この際にエリア構成が大きく見直されています。

なぜ今、福岡都市圏に集中投資するのか

鹿児島・別府の観光路線は正式サービス化で対象から外れた

実は、2026年3月31日をもって、実証実験の対象だった指宿枕崎線(鹿児島中央〜指宿間)と、日豊本線・久大本線の別府〜由布院間ではクレカ乗車の提供が終了しました。指宿枕崎線は観光列車「指宿のたまて箱」が走る人気の観光路線で、別府〜由布院間も由布院温泉・別府温泉を結ぶ屈指のインバウンド観光ルートです。訪日客の比率が高いこれらの路線から撤退し、通勤・通学利用が中心の福岡都市圏4路線に絞り込んだ判断は、一見すると意外に映ります。

しかし、クレカ乗車のような改札インフラは、観光シーズンに利用が集中する路線よりも、平日を含めて年間を通じて安定した利用がある路線のほうが、1台あたりの改札機やシステムの稼働率が高くなり、投資回収の効率が良くなります。指宿枕崎線・由布院方面は本数自体が少なく、観光列車利用者は事前予約制のきっぷを使うケースも多いため、タッチ決済改札の使用頻度が伸びにくい構造でした。一方、鹿児島本線・福北ゆたか線・香椎線・若松線は福岡市とその近郊を結ぶ通勤路線で、平日の利用者数が桁違いに多く、9月18日の拡大で対応駅がまとまって92駅に達することで、乗り換え駅を含めた面としてのカバー率も高まります。

福岡空港・博多駅という「最初の入口」を押さえる狙い

福岡都市圏には九州最大の玄関口である福岡空港と博多駅があり、訪日客の多くがここから九州各地へ移動を始めます。JR九州がクレカ乗車の拠点を福岡に集中させているのは、観光地そのものより先に、旅行者が最初に鉄道に触れる場所での体験を整える狙いがあると考えられます。持参したクレジットカードでそのまま福岡都市圏の移動が完結すれば、SUGOCAのような交通系ICカードを別途購入する手間を省け、九州旅行の最初のハードルを下げることができます。個別の観光路線ごとに薄く広げるより、玄関口となる福岡で確実に使える状態を作るほうが、限られた投資で得られる効果は大きいという判断です。

旅行者への影響と対処法

9月18日以降、福北ゆたか線・香椎線・若松線を利用する旅行者は、SUGOCAなどのICカードを持っていなくても、普段使っているVisaやMastercard等のタッチ決済対応カード(クレジット・デビット・プリペイド)で改札を通過できるようになります。訪日旅行者であれば、日本国内で交通系ICカードを新たに購入・チャージする手間が省けるのが大きなメリットです。

一方で、指宿枕崎線や由布院方面のように観光需要の高い路線ではクレカ乗車が使えない状態が続いています。鹿児島・大分方面を旅行する場合は、引き続きSUGOCA等のICカードか、紙のきっぷを用意しておく必要があります。福岡都市圏でクレカ乗車を使った後、そのまま特急やローカル線で県外の観光地に向かう予定がある人は、乗り換え時点で決済方法が切り替わることを念頭に置いておくとスムーズです。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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