JR九州、博多駅で顔認証改札の実証実験へ 11月から社員対象に検証開始

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JR九州は2026年10月16日、博多駅の改札口で顔認証改札の実証実験を実施すると発表しました。実施期間は2026年11月から12月を予定しており、まずは同社社員を対象に、博多駅構内5通路の既存改札機へ顔認証用カメラを設置して検証を進めます。切符やICカード、スマートフォンすら出さずに改札を通過できる「手ぶら乗車」の実現に向けた、技術的な第一歩という位置づけです。

対象となるのは、中央改札口の入場2号機・出場9号機、北改札口の入場2号機・出場8号機、アミュプラザ改札口の出場4号機の計5通路です。歩行中の顔の特徴点をどれだけ正確に検出できるか、マスク着用時や照度が変わったときの認証精度、改札を通過する際の応答速度などを確認します。顔認証技術は日本電気(NEC)、改札機や判定システムは日本信号、登録システムはJR九州システムソリューションズ、導入工事はJR九州エンジニアリングがそれぞれ担当しています。取得した画像データは検証目的にのみ使用し、実証実験終了後は速やかに削除するとしています。

なぜ今、顔認証改札なのか

QRチケレスの先にある「手ぶら化」の次の一手

JR九州は2024年9月に、スマートフォンでQRコードを表示して改札機にかざすだけで乗車できる「QRチケレス」を導入しました。2025年7月にはすべての在来線特急と観光列車「D&S列車」まで対象を広げ、360駅以上で利用できるようになっています。2026年4月には近距離向けの「チケレスプラス」も始まり、切符を買う手間を段階的に減らす取り組みを積み重ねてきました。今回の顔認証改札は、この延長線上にある次の段階です。QRチケレスでは「スマートフォンを取り出してかざす」動作がまだ必要ですが、顔認証が実用化されればその動作自体が不要になります。みどりの窓口や券売機の待機列を減らしてきた流れを、改札を通る瞬間の体験そのものにまで広げようとしていると考えられます。

JR東日本・JR西日本に続く3社目の参入

顔認証改札の実証実験はJR九州が最初ではありません。JR東日本は2025年11月から上越新幹線の長岡駅・新潟駅間で、新幹線定期券利用者を対象にした実証実験を進めており、長岡駅はパナソニックコネクト製、新潟駅はNEC製の技術を採用しています。JR西日本も2026年3月から大阪駅・新大阪駅で、既存の交通系ICカード改札機を改造した新型の顔認証改札機の検証を始めています。JR九州の今回の実証実験は、こうした大手2社の後を追う形での参入です。先行する2社の検証結果や課題を踏まえつつ、自社の博多駅という九州最大のターミナルでどこまで精度と速度を確保できるかを確かめる段階に入ったと見ることができます。

社員限定という段階的な進め方

今回の実証実験は、一般の利用者ではなくJR九州の社員のみを対象としています。顔認証という技術は、精度が不十分なまま一般利用者に開放すると、誤認証によるトラブルや個人情報の取り扱いへの不安に直結しやすい分野です。社内の限られた人数でまず技術的な課題を洗い出し、改札機器やシステムの安定性を確認したうえで、今後のサービス展開を検討するという段取りを踏んでいます。発表文でも「実証実験で得られた結果や課題をもとにシステムの検証・改善を行い、今後のサービス展開について検討を進める」としており、2026年中に一般利用者が体験できるようになる段階ではありません。

旅行者への影響と対処法

現時点では社員限定の実証実験であるため、博多駅を利用する一般の旅行者がこの顔認証改札を実際に使う機会はまだありません。対象の5通路にはカメラ設置と撮影に関する案内表示が掲出される予定なので、博多駅の中央改札口・北改札口・アミュプラザ改札口を利用する際に見慣れない掲示を見かけても、実証実験によるものだと理解しておくと戸惑いません。

今後実用化が進んだ場合、旅行者にとって最も大きな変化は、きっぷ・ICカード・スマートフォンのいずれも取り出さずに改札を通過できるようになる点です。大きな荷物を持った旅行時や、両手がふさがっている場面でも改札がスムーズになるほか、言葉の壁に関係なく通過できる仕組みのため、訪日外国人にとっても使いやすいサービスになり得ます。博多駅を頻繁に利用する予定がある方は、今後JR九州から発表される実用化の時期や対象範囲について、公式サイトの発表を定期的に確認しておくとよいでしょう。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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