くしろ湿原ノロッコ号、最終年度の利用者は前年度比119%の69,589人 JR北海道が運行実績発表

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JR北海道釧路支社は2026年10月30日、観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」の2026年度運行実績を発表しました。4月25日から10月10日のラストランまで140日間・398本を運行し、利用者は69,589人、前年度比119%という結果でした。車両老朽化を理由にした運転終了そのものは2026年8月7日の時点ですでに発表されていましたが、今回の発表であらためてわかったのは、惜別ムードの中で迎えた最終シーズンが、過去と比べても際立って高い利用実績を残していたという事実です。

2026年度の運行実績は140日間・398本で69,589人

今回の発表によると、2026年度の「くしろ湿原ノロッコ号」の実績は次のとおりです。この数字には、区間を延長した「ノロッコ川湯温泉号」、釧路湿原駅で1時間停車する「よくばりノロッコ号」、夕景を楽しむ「夕陽ノロッコ号」、そして10月9日・10日のラストラン運転もすべて含まれています。

項目 2026年度実績 2025年度実績 前年度比
運行日数 140日 130日 108%
運行本数 398本 364本 109%
乗車人数 69,589人 58,465人 119%
1列車あたりの乗車人数 175人 161人 109%

運行日数と運行本数の伸びは108〜109%にとどまっているのに対し、乗車人数だけが119%と突出して伸びています。つまり、単に走った回数が増えたから利用者数が増えたのではなく、1本あたりに乗る人の密度そのものが高まったことが、今回の実績の核心です。

実際、1列車あたりの乗車人数は175人で、前年度の161人から14人増えています。2025年度は観光シーズンの荒天や車両の不具合が重なり、運行日数が130日に落ち込んで前年度比7.2%減という結果に終わっていました。その反動を踏まえても、2026年度の伸び幅は天候要因だけでは説明しづらい水準です。

なぜ最終年度に利用者が増えたのか

JR北海道側の仕掛け

今回の発表資料では、運行期間中の取り組みとして、4月25日の出発式(釧路町産昆布を使った「コンブカット」)、6月20日の「ちびっこ一日駅長」、6月と9月に実施した「ノロッコ川湯温泉号」の延長運行、お盆期間の「よくばりノロッコ号」、9月の「夕陽ノロッコ号」、そして10月9日・10日のラストランセレモニーまで、沿線自治体を巻き込んだ企画が例年以上に細かく並んでいます。標茶町・弟子屈町・釧路町の住民や高校生ガイド、ご当地キャラクターが各駅で出迎えや見送りを行う様子も発表資料に記録されており、単発のイベントではなく、シーズンを通じて「最後の年」であることを繰り返し発信し続けた形です。

これは、最終年度だからこそ沿線自治体との連携企画を前年以上に厚くし、話題性と収益を同時に最大化しようとした結果と考えられます。37年間の歴史に幕を引く列車に対して、JR北海道が最後まで手を抜かずにおもてなしを重ねたこと自体が、結果的に乗客を呼び込む広告塔の役割を果たしたのではないでしょうか。

惜別需要とラストランへの関心の高まり

8月7日の運転終了発表以降、ラストラン当日の指定席は乗車日1か月前の発売開始(10月9日分は9月9日、10月10日分は9月10日の10時発売)から早いペースで埋まったとみられ、当日は沿線や各駅に多くの鉄道ファンが詰めかけました。「もう二度と乗れない」という事実が明確になったことで、鉄道ファンだけでなく、普段は観光列車に乗らない層や道東在住者までもが「最後だから」という動機で乗車に動いたと考えられます。運行日数・運行本数の伸び(108〜109%)を上回る乗車人数の伸び(119%)は、こうした惜別需要が1本ごとの乗車率を底上げした結果と見るのが自然です。

37年間で延べ約235万人を運んできた列車が最後に記録した数字が、過去数年と比べても高水準だったという事実は、引退のタイミングが車両の寿命という物理的な事情に加え、観光列車としての人気がまだ十分にある段階で区切りをつけた決断だったことを示しています。

旅行者への影響と対策

もう乗ることはできません

「くしろ湿原ノロッコ号」は2026年10月10日のラストラン運転をもって運行を終了しました。今後、この車両・この列車名で釧路湿原を走る機会はありません。すでに終わった話ではありますが、これから道東への旅行を計画している方は、情報が古いサイトやガイドブックに惑わされず、現在の時刻表には「くしろ湿原ノロッコ号」が存在しないことを前提に行程を組む必要があります。

次の観光列車は2027年以降、性格は大きく変わります

釧網本線の後継観光列車としては、「赤い星」が2027年4月から7月にかけて釧路〜知床斜里間で、「青い星」が2028年1月から3月にかけて同区間で運行される計画です。ただし、これらはノロッコ号のように指定席料金1,000円を運賃に加えるだけで気軽に乗れる列車ではなく、ランチ付きプランで数万円台、乗車のみでも相応の価格帯になる見込みの、単価の高い商品として設計されています。地元の利用者からは「気軽に乗れる列車ではなくなる」との懸念も出ており、通学や買い物の足としてではなく、観光目的の特別な体験として利用する前提で計画したほうがよいでしょう。

2027年の釧路湿原観光の選択肢

ノロッコ号がなくなったあとも、釧路湿原を楽しむ手段は残っています。釧網本線の普通列車で釧路湿原駅や細岡駅まで行き、駅から徒歩で細岡展望台へ向かえば、湿原を蛇行する釧路川を一望できます。カヌーで釧路川を下るツアーや、釧路市湿原展望台からの散策路も、季節を問わず湿原の雰囲気を味わえる選択肢です。レンタカーであれば、塘路湖や達古武湖など、鉄道の駅から離れたビューポイントにも足を延ばせます。ノロッコ号という「移動しながら車窓を楽しむ」体験はなくなりますが、湿原そのものを楽しむ方法は複数残っていますので、目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

まとめ

「くしろ湿原ノロッコ号」の2026年度運行実績は、140日間・398本の運行で69,589人、前年度比119%という、最終年度にふさわしい記録となりました。1列車あたりの乗車人数が175人まで伸びた背景には、JR北海道と沿線自治体が最後まで続けたおもてなしの積み重ねと、惜別ムードの中で高まった「最後だから乗っておきたい」という需要があったと考えられます。すでに乗車のチャンスは失われましたが、釧路湿原そのものを楽しむ手段はまだ残っています。2027年以降の道東旅行を計画する際は、後継の観光列車の運賃体系や運行区間が以前とは大きく異なることを踏まえて、行程を組み直してみてください。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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