JR九州「36ぷらす3」が9月6日に車内体験を刷新 和紙・発酵食品の新メニューと運休の現状

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JR九州が2026年8月17日、D&S列車「36ぷらす3」の車内体験メニューを9月6日から刷新すると発表しました。金曜日ルートに「九州の発酵食品体験」、月曜日ルートに「九州の和紙体験」が加わり、6号車のプレミアムランチプランでは持ち帰りできるオリジナルの箸が提供されます。ただし同じ発表の後半には、令和8年熊本地震にともなう運休情報も並んでいます。新メニューが発表されたルートの一方は、現在予約を受け付けられない状態です。乗車を検討している方は、両方をセットで把握しておく必要があります。

新しく加わる2つの車内体験

追加されるのは、金曜日ルート「黒の路」(鹿児島中央〜宮崎)の九州の発酵食品体験と、月曜日ルート「金の路」(博多〜佐世保の往復)の九州の和紙体験です。どちらも4号車のマルチカーで行われ、参加は最大14名、当日車内での受付になります。

発酵食品体験は、鹿児島県福山町の黒酢と地元野菜を使ったピクルスの試食に加え、ピクルス液と鹿児島の醤油・菜種油を使ったドレッシングづくりを行う内容です。実施は14時20分ごろから、料金は1,500円。パートナーは鹿児島県鹿屋市のCOTO COTOです。

和紙体験は、佐賀県名尾地区に伝わる名尾和紙を使ったしおりづくりです。名尾和紙は原料となる梶の木の栽培から手掛けており、その背景を知りながら自分の作品を仕上げる形になります。実施は14時50分ごろから、料金は1,000円。パートナーは佐賀市の名尾手すき和紙です。

これで5ルートすべてに車内体験が揃います。

ルート 体験名 料金(税込)
木曜日「赤の路」 九州のお茶体験 2,500円
金曜日「黒の路」 九州の発酵食品体験 1,500円
土曜日「緑の路」 九州の梅体験 梅酒2,000円/梅シロップ1,500円
日曜日「青の路」 金平糖体験 無料
日曜日「青の路」 小倉織 風呂敷包み体験 2,600円
月曜日「金の路」 九州の和紙体験 1,000円

6号車のランチプランには持ち帰れる竹の箸が付く

6号車のプレミアムランチプランでは、使い捨てではなく持ち帰りできるオリジナルデザインの箸が用意されます。制作は熊本県玉名郡南関町のヤマチクで、半世紀以上にわたり純国産の天然竹で竹の箸だけを作り続けている会社です。

ビュッフェの商品も増えます。運行開始当初から車内体験やオリジナル商品の企画に関わってきた煎茶堂東京が、九州7県の茶葉をブレンドしたオリジナルティーバッグ「九州まるごと7種ブレンド」を新発売します。このほかオリジナルタンブラーやエコバッグも加わります。

この刷新は、6号車のリニューアルと同じ9月6日にそろえられています。6号車は運行開始以来、畳敷きのグリーン席でしたが、1〜2名用の個室10室に生まれ変わります。個室と通路を仕切るパーテーションはガラス張りで、床はフローリングになります。3号車の6室と合わせて個室は16室になる計算です。なお、これに伴い「座席ランチプラン」は2026年5月11日の運行をもって終了しています。

JR九州が体験メニューに手を入れる理由

車内体験は1,000〜2,600円の有料オプションで、しかも定員は最大14名です。収入への直接的な効果はごく限られています。それでもJR九州がここに手を入れ続けるのは、別の狙いがあるからでしょう。

一つは客単価の設計です。今回の刷新は6号車の個室化と同じ日に実施されます。畳敷きの座席をやめて1〜2名用の個室に置き換えれば、1人あたりの旅行商品代は上がります。実際、比較的手に取りやすかった「座席ランチプラン」は5月11日で終了しています。単価を上げるからには、乗客が「その値段を払う理由」を車内に用意しなければなりません。体験メニューと持ち帰れる品物は、その理由づけにあたります。

二つ目は、持ち帰れるものを増やしている点です。今回加わったのは、しおり、箸、ティーバッグ、タンブラーです。既存メニューでも風呂敷は持ち帰れます。乗車後も手元に残る品物は、日常のなかで乗車体験を思い出させ、周囲への話題になり、再乗車や口コミにつながります。運行本数が限られる観光列車にとって、広告費をかけずに認知を保つ手段として効率が良いはずです。

三つ目が地域事業者との接点づくりです。今回のパートナーは鹿屋のCOTO COTO、佐賀の名尾手すき和紙、南関町のヤマチクと、いずれも小規模な地域の作り手です。JR九州にとっては大量調達の必要がなく仕入れコストを抑えられ、事業者側にとっては新しい販路と露出が得られます。「走る九州」というコンセプトを、車両のデザインではなく積み荷の中身で表現しているとも言えます。安定した収益源というより、沿線の事業者を巻き込みながらブランドを維持する仕組みだと見るのが妥当ではないでしょうか。

熊本地震で2ルートが長期停止、予約受付も止まっている

ここからが、乗車を考えている方にとって最も重要な部分です。2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震の影響で、九州新幹線の熊本〜新水俣間は今も不通です。「36ぷらす3」も9月以降の運行計画に大きな影響を受けています。

まず、以下の運転日は全区間で運休が決まっています。

  • 9月3日・10日・17日・24日(木)赤の路 博多→鹿児島中央
  • 9月4日・11日・18日・25日(金)黒の路 鹿児島中央→宮崎
  • 9月5日(土)緑の路 宮崎空港→別府

さらに深刻なのは、赤の路(木曜)と黒の路(金曜)について10月以降の運行計画が未定で、2027年2月までの全運転日で新規予約の受付が一旦停止されている点です。今回発表された発酵食品体験は黒の路のメニューですから、8月17日時点で予約受付が停止中と発表資料にも明記されています。新メニューが用意されても、当面は乗ること自体ができません。

一方、緑の路(土曜)は9月12日から運転を再開し、青の路(日曜)と金の路(月曜)は9月6日から通常運行に戻ります。5ルートのうち3ルートは動き、鹿児島・熊本を経由する2ルートが止まる形です。

乗車を検討している方への実務的なアドバイス

9月以降に「36ぷらす3」へ乗るなら、現実的な選択肢は青の路(日曜・大分/別府〜小倉/博多)、金の路(月曜・博多〜佐世保の往復)、そして9月12日以降の緑の路(土曜・宮崎空港/宮崎〜大分/別府)の3つです。新しい和紙体験を目当てにするなら月曜の金の路、リニューアルした6号車の個室を試すなら9月6日以降の運転日を狙う形になります。

赤の路・黒の路を待つ場合は、2027年3月以降が再開の目安になりますが、これも確定ではありません。運転再開の時期は決まり次第、専用ホームページの新着情報で知らされます。旅行の日程を先に固めてしまうと動きが取れなくなるので、この2ルートについては再開の発表を待ってから宿と航空券を押さえるのが安全です。

もう一点、JR九州は今後の運行状況によって、予約時にホームページで表示されていた進行方向と実際の運行時の進行方向が異なる場合があるとしています。海側・山側といった景色を基準に座席を選ぶ方は、この点を理解したうえで予約してください。車内体験はいずれも当日車内での受付なので、参加したい場合は乗車後に早めに申し込むことをおすすめします。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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