京成電鉄は2026年7月10日、2028年度の運行開始を目指す新型有料特急列車の車両形式を「3900形」に決定し、デザインを初公開しました。押上駅と成田空港駅(空港第2ビル駅)を結ぶ新しい特急で、最高速度160km/hで走行し、押上~空港第2ビル間を最速30分台前半で結ぶ計画です。デザインコンセプトは「日本らしい、やわらかな整いと華やぎ」で、春を思わせるピンク色の車体に、桜の花びらをモチーフにしたヘッドライトを組み合わせています。同日から、この新型特急の愛称を一般公募する取り組みも始まりました。
3900形の設備と特徴
3900形の大きな特徴は、全席にACコンセントとUSBポート(Type-C)を備える点です。長時間のフライト前後にスマートフォンやパソコンの充電が切れる心配をせずに乗車できます。加えて、車内には女性専用トイレ、空気清浄機、防犯カメラも設置され、安全性と快適性への配慮が随所に見られます。
1編成につき1両は「特別車」として設定され、座席は2+1列の3列シートになります。一般車と比べてシート幅は30ミリ、シートの前後間隔は180ミリ拡大され、後ろの座席を気にせずリクライニングできるバックシェル構造のシートを採用し、床にはカーペットが敷かれます。従来のスカイライナーにはなかったワンランク上の座席が新設されることになります。
将来的には都営浅草線や京急線への直通運転も計画されています。実現すれば、押上発の新型特急に乗ったまま羽田空港方面へアクセスできるルートが生まれます。
なぜ今、京成は新型特急を投入するのか
インバウンド需要が過去最高水準に達している
成田空港の2025年の外国人旅客数は2390万人で、前年から10%増えて過去最高を更新しました。2025年度も国際線発着回数・外国人旅客数がともに年度として過去最高を記録しています。現行のスカイライナー(3代目AE形)も、2010年のデビューから14年で累計利用者数が5000万人を突破しており、コロナ禍で大きく落ち込んだ利用者数は訪日客の急回復によってコロナ前の水準まで戻りました。新型車両への投資は、この需要回復を前提にした経営判断だと考えられます。
成田と羽田を奪い合う攻防が始まっている
政府は訪日客6000万人時代を見据えており、この需要をどう自社の路線に取り込むかが各社の経営を左右する局面に入っています。京成電鉄と京浜急行電鉄は、2030年代をめどに成田空港と羽田空港を直接結ぶ有料特急の運行を構想しており、新型特急の運行本数も毎時3本から6本へ増やす計画があるとされています。一方でJR東日本も、建設中の羽田空港アクセス線を成田方面へ直通させる検討を進めています。押上発着とし、将来的に都営浅草線・京急線への直通を目指す3900形は、この「成田・羽田争奪戦」における京成側の先行投資と位置づけられます。
速度競争から快適性競争への転換
現行のAE形も最高速度は160km/hで、印旛日本医大~空港第2ビル間で最高速度運転を行っています。日暮里~空港第2ビル間は最速36分、上野~成田空港間の運賃は2580円(ICカード利用時2567円)です。競合の成田エクスプレス(JR東日本)は東京~成田空港間が最速54分、運賃3070円で、速さと安さでは現時点でもスカイライナーが優位に立っています。つまり3900形は、速度そのものを競う車両ではありません。在来線の最高速度160km/hは技術的にほぼ上限に近く、大幅な時間短縮は今後も見込みにくい状況です。そのため各社は、座席の快適性や車内設備で差別化を図る方向にシフトしており、全席電源・女性専用トイレ・特別車という3900形の装備は、その象徴です。AE形は2026年時点で運行16年目に入っており、車両の老朽化が進んでいることも新型投入の一因と見られます。
旅行者への影響と今からできること
2028年度までは現行スカイライナーを使い倒す
3900形のデビューは2028年度で、それまでは現行のAE形スカイライナーが成田空港アクセスの主力です。上野~成田空港間は最速36分、運賃2580円ですが、LCC機内や国内主要空港で購入できる「スカイライナーバリューチケット」を使うと大人2300円、子ども1150円と約1割安くなります。繁忙期は満席になりやすいため、インターネット予約やチケットレスサービスを使い、乗車日が決まった時点で早めに座席を確保しておくことをおすすめします。
愛称公募に参加できる
3900形で運行する新型特急の愛称は、2026年7月10日から8月16日まで一般公募されています。京成電鉄の特設サイトの専用フォームから、1人1回(最大3案まで)応募が可能です。採用された愛称に応募した人の中から抽選で、旅行券20万円分や京成ホテルミラマーレのトレインルームペア宿泊券が当たります。決定した愛称は、2027年度中に予定される車両公開に合わせて発表される見込みです。新しい成田空港アクセスの顔になる列車の名づけに関わりたい人は、応募を検討してみてください。
羽田空港からのアクセスが変わる可能性がある
3900形は押上発着となり、都営浅草線・京急線への直通運転も計画に含まれています。実現すれば、羽田空港や浅草・日本橋方面から乗り換えなしで成田空港へ向かえるルートが生まれ、成田・羽田の両空港を使う旅程を組みやすくなります。ただし直通運転の具体的な区間・本数・時期は現時点で正式発表されておらず、実際の利便性は今後の詳細発表を待つ必要があります。押上~成田空港間の特急料金や、既存のモーニングライナー・イブニングライナーとの関係についても続報が出る見通しなので、旅行を計画している人は京成電鉄の公式発表を継続してチェックしておくとよいでしょう。


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