JR九州は2026年10月25日、西九州新幹線(武雄温泉〜長崎間)の開業4年目(2025年9月23日〜2026年9月22日)の利用者数を発表しました。4年目の利用者は264万1千人で、前年度の262万4千人から1万7千人増え、0.6%の増加にとどまりました。開業からの累計利用者数は約1022万2千人です。
伸び鈍化が映す、観光需要の壁
年ごとの利用者数を見ると、開業1年目が約242万人、2年目が約253万7千人、3年目が約262万4千人、4年目が264万1千人です。1年目から2年目への増加幅は約11.7万人、2年目から3年目は約8.7万人だったのに対し、3年目から4年目は約1.7万人まで縮小しました。4年連続で前年を上回ってはいるものの、増加のペースは年々はっきりと落ちています。
報道では、観光目的の利用が伸び悩んだことが微増にとどまった要因とされています。一方で、通勤・通学定期「新幹線エクセルパス」の利用者数は2026年8月末時点で779人となり、開業直後から500人以上増えて定着が進んでいます。観光という「増やしにくい需要」が足踏みする一方、沿線住民の日常利用という「積み上げやすい需要」が着実に伸びているのが、4年目の実態です。
この構図の背景には、西九州新幹線が抱える構造的な制約があります。新鳥栖〜武雄温泉間が未整備のため、博多方面との間には在来線特急との乗り換えが必要で、全線が新幹線でつながっているわけではありません。この区間については、国土交通省・鉄道建設・運輸施設整備支援機構・佐賀県が2026年8月26日に技術検討会を開き、特定のルートを前提としないボーリング調査を佐賀県内約10カ所で2027年3月までに行う方針を示していますが、環境アセスメント自体は2027年度から始まる予定で、全線開通にはまだ長い時間がかかります。乗り換えの手間が残り続ける限り、博多・福岡方面からの新規の観光需要を大きく掘り起こすのは難しく、観光利用の伸び悩みはこの未整備区間問題と無関係ではないと考えられます。
旅行者への影響と対処法
長崎・佐賀方面へ西九州新幹線で向かう場合、現時点でも博多方面からは新鳥栖または武雄温泉での乗り換えが必要です。乗り換えの待ち時間を含めたうえで全体の移動時間を見積もり、特急リレーかもめとの接続時刻を事前に確認しておくと、乗り換え待ちで予定が崩れるのを避けられます。
通勤・通学で定期的に利用する場合は、「新幹線エクセルパス」の利用者が着実に増えていることからも分かるように、在来線特急よりも移動時間を短縮できるメリットが大きい路線です。武雄温泉〜長崎間の沿線に新たに引っ越しや通学先の変更を考えている方は、通学・通勤定期の料金と所要時間短縮分を比較し、実際にどの程度負担が変わるかをJR九州の窓口や公式サイトで確認しておくことをおすすめします。観光目的で訪れる場合は、ハウステンボスや長崎市内の観光地と組み合わせた周遊きっぷが販売されていることがあるため、西九州新幹線単体の往復よりも割安になるきっぷが出ていないか、出発前に公式サイトで確認すると良いでしょう。


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