特急「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」が2027年春に全席指定席へ トク特チケットレスは値上げと区間拡大

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JR西日本は2026年8月4日、山陰を走る特急「スーパーまつかぜ」と「スーパーおき」を、2027年春から全席指定席にすると発表しました。あわせて、乗車前日と当日に買える割引商品「トク特チケットレス」の価格を見直し、設定区間を営業キロ150kmまで広げます。ホームに早めに並んで自由席を確保するという山陰の特急の乗り方が、スマートフォンで座席を押さえる形に切り替わります。

発表された内容

全席指定席化の実施時期は2027年春です。具体的な日付は決定次第あらためて発表されます。

対象は「スーパーまつかぜ」(鳥取〜益田)と「スーパーおき」(鳥取〜新山口)の2列車で、現在1〜3両設定されている自由席をすべて指定席に変更します。JR西日本は、自由席利用者がホームで長時間並ぶ状況が生じている点を挙げ、スマートフォンからの座席予約により発車時刻までに駅に来れば済むようになる、という趣旨の説明をしています。

トク特チケットレスの価格と対象区間が変わります

同時に発表されたのが、割引商品「トク特チケットレス」の価格見直しと設定区間の拡大です。2026年9月1日発売分から適用されます。

新しい価格は、営業キロ50kmまでが550円、100kmまでが900円、150kmまでが1,250円です。現在設定のある区間の価格は50kmまでが300円または500円、100kmまでが700円ですから、既存区間についてはいずれも値上げになります。一方、150kmまでの区分は新しく設けられたもので、これまで割引の対象外だった長めの区間でも使えるようになります。

購入方法はJR西日本のネット予約「e5489」に限られ、発売は利用の前日と当日のみです。区間ごとの詳しい価格は、リリースの別紙に掲載されています。

営業キロ 改定後(2026年9月1日発売分から) 現在設定のある区間の価格
50kmまで 550円 300円・500円
100kmまで 900円 700円
150kmまで 1,250円 設定なし(新設)

具体的な例で見てみます。米子〜出雲市は営業キロ61.6kmで、現在のトク特チケットレスは700円です。これが900円になります。この区間の通常の特急料金は自由席が1,200円、指定席(通常期)が1,730円ですから、値上げ後の900円でも指定席特急料金の半額近い水準は保たれています。

特急用定期券「パスカル」は発売を終了します

全席指定席化に伴い、自由席を利用するための特急用定期券「パスカル」と、「パスカル用回数指定席券(山陰地区)」の発売が終了します。

パスカルの発売終了は有効期間の長さによって段階的に進みます。6か月有効の定期券は2026年9月1日有効開始となるもの、3か月有効は2026年12月1日有効開始となるもの、1か月有効は2027年2月1日有効開始となるものが最後です。いずれも有効期間終了日が2027年2月28日となるところで揃います。回数指定席券の発売は2026年12月1日で終了します。

JR西日本が山陰の特急で全席指定席に踏み切る理由

この判断の背景には、山陰の特急が抱える構造的な事情があると考えられます。

JR西日本が公表している2024年度の区間別平均通過人員(輸送密度)を見ると、「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」が走る区間の利用状況は、同じ列車の中でも大きく違います。鳥取〜米子は1日3,487人、米子〜出雲市は5,245人ですが、出雲市〜益田は868人まで落ち込みます。「スーパーおき」が乗り入れる山口線も、新山口〜益田が1,277人、そのうち津和野〜益田は433人です。

つまり、1本の列車の中に、都市間輸送として成立している区間と、輸送密度が1,000人前後の区間が同居しています。使用するキハ187系は2両編成が基本で、繁忙期に3〜5両に増やす運用です。全区間に合わせて両数を増やすと閑散区間で空席を運ぶことになり、逆に短く組めば混雑区間で立ち客が出ます。自由席を残したままでは、この配分のずれを事前に把握する手段がありません。指定席にすれば、どの列車のどの区間がどれだけ売れているかが発車前に数字で見えるようになり、増結や車両運用の判断材料になります。着席機会の確保という説明の裏側には、限られた車両を無駄なく回したいという運用上の動機があるのではないでしょうか。

料金面の意図もはっきりしています。トク特チケットレスの値上げは、300円の区間が550円、700円の区間が900円になるわけですから、実質的な値上げです。それでも自由席特急料金より安い水準は維持されています。窓口や券売機に並ぶ客を減らし、前日までに予約する客に割引を提供するという、販売チャネルの誘導と単価の引き上げを同時に進める設計になっています。

四国の全席指定席化と同じ時期に揃えた点にも意味があります

「なぜ2027年春なのか」という点も見逃せません。JR四国とJR西日本は2026年3月19日に、岡山と四国を結ぶ特急「しおかぜ」「南風」を2027年春から全席指定席にすると発表済みです。8月4日には、この2列車の全席指定席化に伴う特急用定期乗車券「快て〜き」「パスカル」の取り扱いも両社連名で発表されました。

山陰と四国の特急を同じ2027年春に切り替えれば、システム改修も、駅での案内も、旅行会社への周知も一度で済みます。岡山を境に西と南で自由席の扱いが違う状態が長引くと、旅行者の混乱も大きくなります。個別の路線判断というより、在来線特急から自由席をなくしていく全社的な方針の一環として、実施時期を揃えたと見るのが自然です。JR西日本の主要特急ではすでに「やくも」が全車指定席になっており、山陰の自由席はその流れの中で残っていた側といえます。

旅行者への影響と対処法

山陰を旅行で訪れる人にとって、実際に必要な準備は次の点です。

まず、e5489を使うためのJ-WESTネット会員登録を、旅行前に済ませておくことをおすすめします。トク特チケットレスは駅では買えず、e5489専用です。会員登録とクレジットカードの登録が済んでいないと、乗車当日に駅で慌てることになります。

次に、トク特チケットレスは乗車前日と当日にしか買えない点に注意が必要です。発売席数の制限はありませんが、そもそも指定席が満席なら買えません。お盆や年末年始、大型連休に山陰を移動する予定があるなら、割引を待たずに早めに通常の指定席特急券を確保しておく方が確実です。

2027年春以降は、駅で自由席特急券を買ってそのまま飛び乗るという使い方ができなくなります。満席時の扱いについて、「しおかぜ」「南風」では自由席特急券と同額の立席特急券を数量限定で発売することが発表されていますが、今回の山陰の2列車についてはリリースに記載がありません。同様の制度が設けられるかどうかは、今後の発表を待つ必要があります。

日常的に特急通勤・通学でパスカルを使っている人は、発売終了のスケジュールを先に確認してください。9月1日有効開始分から6か月定期が買えなくなるため、今後の更新タイミングによっては早めに切り替えの検討が必要になります。JR西日本はトク特チケットレスへの移行を案内していますが、毎日利用する人にとっては1回ごとの購入になるため、実際の負担額は自分の利用頻度で計算し直しておくと安心です。

まとめ

2027年春の全席指定席化とトク特チケットレスの改定は、山陰の特急を「並んで座る乗り物」から「予約して座る乗り物」に変える転換点です。旅行で使う人にとっては、e5489の準備さえしておけば、指定席特急料金より安く座席を確保できる選択肢は残ります。事前に予約する習慣がある人ほど有利になる制度変更ですので、山陰への旅行を計画している人は、9月1日の新価格開始にあわせて一度e5489の設定を確認しておくことをおすすめします。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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