嵯峨野観光鉄道は2026年8月4日、2027年春にデビューする新しいトロッコ列車の試運転を、2026年8月以降に始めると発表しました。あわせて、現在運行している車両は2026年の営業運転をもって引退する予定であることも明らかにしています。1991年の開業から35年にわたって保津峡を走り続けてきた車両に乗れるのは、2026年のシーズンが最後になります。
試運転で走る車両の内容
試運転を行うのは、牽引車2両と客車4両を連結した編成です。客車の製作は、JR西日本グループの株式会社JR西日本テクノスが担当しています。2027年春の運行開始に向けて車両の製作が進んでおり、機能確認などのために牽引車と客車をつないだ状態での走行を重ねていく段階に入ります。
嵯峨野観光鉄道は、新しいトロッコ列車について、安全性とサービスの向上を目的に導入するもので、自然と一体になれる開放感のある車両を目指すとしています。デザインや詳しい仕様については、今後ホームページなどで順次公開される予定です。
現行車両は2026年の営業運転が最後になります
今回のリリースで旅行者にとって重要なのは、現在運行している車両が2026年の営業運転をもって引退する予定だと明記された点です。
嵯峨野トロッコ列車の2026年の運行期間は、3月1日から12月29日までです。水曜日は原則として運休で、木曜日から火曜日の運行となっています。乗車券の事前販売は、乗車日の1か月前の午前0時から嵯峨野観光鉄道の公式サイトで受け付けています。現行車両に乗ることを目的に訪れるのであれば、残された期間は12月29日までということになります。
現行の編成は、DE10形ディーゼル機関車が客車を牽引する形です。客車は開業時に用意されたSK100形・SK200形に加え、利用者の増加に合わせて後から増備されたSK300形で構成されています。国鉄時代に製造されたDE10形が定期的に観光列車を牽引する例は全国的にも数少なくなっており、この点でも2026年は区切りの年になります。
嵯峨野観光鉄道が車両更新に踏み切った背景
車両の置き換えを決めた最大の理由は、車齢です。開業は1991年で、現行車両は2026年で35年目を迎えます。ディーゼル機関車と客車という構成は、部品の確保や検査にかかる手間が年々重くなります。特にDE10形は国鉄形で、JR貨物でも後継機への置き換えが進んでいる形式です。安全性の確保という説明は、この点を指していると考えられます。
もう一つの背景は、利用者数の回復です。嵯峨野トロッコ列車は2015年に年間123万人を輸送し、そのうち3分の1を日本人以外が占めていました。それが新型コロナウイルスの影響で2020年度には46万人まで落ち込み、ピーク時の約36%まで減少しています。運賃は現在、大人片道880円、小児440円です。訪日客の回復が続く中で、車両を更新して受け入れ体制を整えるだけの見通しが立ったということではないでしょうか。
見落とせないのは、嵯峨野観光鉄道がJR西日本グループの会社であり、新しい客車を同じグループのJR西日本テクノスが製作している点です。外部メーカーに一から発注するのではなく、グループ内で車両を作る体制をとっています。トロッコ列車は7.3kmを約25分で走る短い路線で、高速性能も長距離走行性能も求められません。グループ内で設計・製作を完結させられる条件がそろっており、更新にかかるコストを抑えやすい案件だといえます。
嵐山という日本有数の観光地にあって、天候に左右されにくい観光資源を持つことも大きいはずです。保津峡の景観は季節ごとに姿を変え、秋のライトアップのように夜間の商品も設定できます。1日の運行本数と座席数が決まっている以上、収入を伸ばす手段は単価と稼働率に限られます。新型車両の導入は、その両方を押し上げるための投資と位置づけられているのではないでしょうか。
旅行者への影響と対処法
2026年に嵐山を訪れる予定がある人は、次の点を押さえておくと判断しやすくなります。
現行車両に乗りたい場合、期限は2026年12月29日です。特に紅葉の時期は座席が埋まりやすく、1か月前の午前0時に販売が始まった直後で売り切れる列車も出ます。日程が決まっているなら、1か月前の販売開始に合わせて確保するのが確実です。
一方、新型車両を目当てにするなら2027年春以降になります。ただし現時点でデザインも詳細な仕様も公表されておらず、デビューの具体的な日付も決まっていません。2027年春の旅行を計画するときは、公式サイトの発表を確認してから日程を固めた方が安全です。
2027年春の切り替え時期をまたぐ日程の場合、どちらの車両に当たるかは現時点では読めません。車両にこだわりがあるなら、2026年内に乗っておくか、新型の運行開始日が正式に発表されてから予約する形になります。
なお、乗車券は公式サイトのほか、JR西日本のみどりの窓口や旅行会社でも購入できます。当日券は嵯峨駅などの窓口で扱われますが、繁忙期は早い時間になくなります。トロッコ列車は片道乗車が基本で、帰りはJR嵯峨野線やバス、保津川下りを組み合わせる人が多い区間です。混雑期は帰りの手段も含めて先に決めておくと、現地で迷わずに済みます。
まとめ
嵯峨野トロッコ列車の2026年シーズンは、開業以来35年走ってきた車両を見送る年になります。国鉄形ディーゼル機関車が牽引するトロッコ列車という姿を記録に残したい人にとっては、2026年12月29日までが最後の機会です。逆に新型車両を楽しみに待つのであれば、2027年春以降に公表される情報を追いかけることになります。嵐山観光を計画している人は、どちらの車両に乗りたいかを先に決めてから日程を組むことをおすすめします。


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