西武新宿線の特急「小江戸」が2027年春に「トキイロエクスプレス」へ 田無・新所沢にも停車します

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西武鉄道は2026年8月5日、西武新宿線で2027年春から運行する新しい有料着席列車の名称を「トキイロエクスプレス」に決定したと発表しました。現在の特急「小江戸」を置き換える列車で、これまで通過していた田無駅と新所沢駅にも停まります。さらに2028年春には「拝島ライナー」も新型車両に置き換わり、新宿線の有料着席サービスはすべて新型車両「トキイロ」に統一される計画です。川越へ出かける方、新宿線で座って帰りたい方の両方に関わる変更です。

トキイロエクスプレスは西武新宿〜本川越を走ります

トキイロエクスプレスの運転区間は西武新宿〜本川越で、これは特急「小江戸」と同じです。運行開始は2027年春を予定しています。

停車駅は大きく変わります。現在の「小江戸」は西武新宿、高田馬場、東村山、所沢、狭山市、本川越の6駅に停車しますが、トキイロエクスプレスではここに田無駅と新所沢駅が加わります。ただし平日朝ラッシュ時間帯の上り列車は除きます。

田無は西東京市の中心となる駅、新所沢は所沢駅から航空公園駅を挟んで2つ先にある駅です。この2駅を加えるということは、これまで「都心と川越を結ぶ観光・ビジネス特急」だった性格に、沿線中間部の着席通勤という要素を明確に足すという意思表示だと読めます。

項目 特急「小江戸」(現行) トキイロエクスプレス(2027年春〜)
運転区間 西武新宿〜本川越 西武新宿〜本川越
停車駅 西武新宿、高田馬場、東村山、所沢、狭山市、本川越 上記に田無、新所沢を追加(平日朝ラッシュ上りを除く)
使用車両 10000系「ニューレッドアロー」 「トキイロ」8両編成(座席定員343人)

ダイヤの詳細と料金は、決定次第あらためて発表するとしています。

車両「トキイロ」は8両編成で座席定員343人

トキイロは8両編成で、座席定員は343人です。走行機器は西武40000系と共通のものを使い、車籍上も40000系に区分されますが、内外装と設備は全面的に新しく設計されています。製造は川崎車両が担当します。

車内は全席がリクライニングシートで、全席にコンセント、カップホルダー、フックが付きます。隣の人の目線が気にならない座席形状が採用され、トイレも備えます。10000系と比べると、軽量車体とVVVFインバータ制御装置の採用によって1編成あたりの消費電力を約70%削減できるとされています。

現行の10000系「ニューレッドアロー」は1993年に登場した車両です。2020年に池袋線での定期運用を終えており、新宿線からも2027年春に退くことになります。

なぜ観光特急を通勤ライナー型に作り替えるのか

ここが今回の発表でいちばん考えたい部分です。西武鉄道は、川越という強力な観光地に直通する特急を持ちながら、その後継車両を「ライナー型」として設計しました。座席は全席リクライニングですが、車両区分は通勤型の40000系であり、8両編成343人という定員は、7両編成の10000系より輸送力を上げる方向の設計です。

理由の一つは、特急「小江戸」の実際の利用のされ方にあるのではないでしょうか。「小江戸」は1993年の運転開始以来、朝夕のラッシュ時に着席して通勤したい利用者に支えられてきた列車です。名称は川越の別称に由来しますが、収入の柱は観光客だけではありません。田無と新所沢を停車駅に加える判断は、実際に料金を払っている層がどこにいるかを見た結果だと考えるのが自然です。

もう一つは、車両を作り分けるコストの問題です。特急専用の車体・機器を新規に起こすより、40000系という既存の量産設計を土台にして内装と設備を作り替えるほうが、開発費も部品調達も保守も安く済みます。西武ホールディングスの2026年3月期決算では、都市交通・沿線事業の営業収益が1,567億円で前期比40億円の増加、鉄道業の運輸収入は前期比2.8%増となりました。増収は確保していますが、車両を一から起こす体力があるかどうかは別の話です。共通設計を使いながら快適性を上げる選択は、その現実に合っています。

観光の役割を切り捨てたわけではない点も見逃せません。西武鉄道は2026年4月21日、10000系のうち10112編成を改造し、2028年度に新たな観光特急としてデビューさせる計画を発表しています。デザインを担当するのは大河原邦男氏で、一般席のほかに半個室やソファ席を配置し、バーカウンターを設けて軽食・ドリンクを提供する構想です。

つまり西武鉄道は、日常の着席需要はトキイロという量産型の新車で、観光の付加価値は既存車両を作り替えた特別な列車で、と役割を分ける設計をしています。1本の特急に「速い通勤」と「特別な旅」を両方担わせるのをやめて、車両ごとに目的を分けたわけです。日常の輸送で確実に稼ぎ、観光では単価の高い体験を売る。限られた投資でどちらも取りにいく組み立てになっています。

旅行者への影響と対処法

川越へ出かける方にとって、直接の影響は所要時間です。田無と新所沢という停車駅が2つ増えるため、西武新宿〜本川越の所要時間は現在より延びる見込みです。1駅あたりの停車時間を考えると数分程度の増加ですが、「有料特急なのに速さは変わらない」と感じる場面は出てくるかもしれません。逆に田無・新所沢の周辺にお住まいの方は、これまで所沢や高田馬場まで出ないと使えなかった着席サービスが、最寄り駅から使えるようになります。

料金は未定です。トキイロエクスプレスが現在の特急料金を引き継ぐのか、ライナー型として別の料金体系になるのかは発表されていません。停車駅が増えて定員も増える設計であることを考えると、今より手に取りやすい水準に置かれる可能性はありますが、確定した情報が出るまでは判断を保留しておくのが安全です。

2028年春には拝島ライナーも「トキイロライナー」に改称され、西武新宿〜拝島の運転が続きます。新宿線の有料着席列車は、2028年春までにすべてトキイロに統一される予定です。名称が3つとも変わるため、乗り換え検索や案内表示の見え方も変わります。

そして、いま「ニューレッドアロー」に乗っておきたい方は時期を意識してください。新宿線での定期運用は2027年春までです。ただし10112編成は観光特急として2028年度に戻ってくる予定なので、この形式の車両に二度と乗れなくなるわけではありません。従来の姿で川越へ向かう「小江戸」として乗れる期間が、残り1年半ほどだということです。

まとめ

トキイロエクスプレスは、川越への観光特急という看板を掲げながら、実際には沿線の着席通勤需要を正面から取りにいく列車です。田無・新所沢への停車追加はその方向をはっきり示しています。一方で観光の役割は、2028年度デビュー予定の10000系改造車が引き継ぎます。西武新宿線をよく使う方、川越へ足を運ぶ方は、2027年春と2028年春という2つの節目を頭に入れておくとよいでしょう。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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