バンコク観光で「ここは外せない」と必ず名前が挙がるのが、王宮(グランドパレス)とワット・プラケオです。
金色に輝く壮麗な建築群と、タイ仏教の最高聖地としての厳かな雰囲気は、初めて訪れる人はもちろん、何度訪れても圧倒される魅力があります。
まさに「タイらしさ」を象徴する場所と言えるでしょう。
この記事では、
- 王宮・ワット・プラケオの見どころ
- 知っておくと理解が深まる歴史背景
- アクセス方法
- 所要時間や観光時の注意点
といったポイントを、初めての方にも分かりやすく解説します。
事前に知っておくことで、現地観光がよりスムーズに、そして深く楽しめる内容になっています。
王宮とは
王宮は、1782年にチャクリー朝の初代国王であるラーマ一世によって建設された、タイ王国の歴代国王の公式宮殿です。
現在は国王の居住地としては使用されていませんが、戴冠式や王室行事など、国家的に重要な儀式は今もこの王宮で行われています。
敷地は非常に広大で、王族の儀式を行う建物や謁見の間、仏教寺院であるワット・プラケオなどが、ひとつのエリアに集まっているのが特徴です。
ワットプラケオとは
ワット・プラケオ(正式名称:ワット・プラ・シーラッタナーサーサダーラーム)は、王宮の敷地内に建てられた寺院で、タイ国内で最も格式が高いとされる仏教寺院です。
王宮に付属する王室専用の寺院という位置づけで、一般的な寺院とは異なり、僧侶が常駐していない点も大きな特徴のひとつです。
最大の見どころは、寺院の本堂に安置されているエメラルド仏(พระแก้วมรกต/プラケオ・モーラコット)です。
この仏像はタイ王国の守護仏とされ、翡翠(エメラルド)で造られています。国王自らが年に三回、季節の変わり目に衣替えを行うという特別な慣習があり、王権と仏教が深く結びついていることを象徴する存在となっています。
王宮・ワットプラケオの関係
王宮とワット・プラケオは、ガイドブックなどでも同じ観光地として紹介されることが多く、「それぞれがどのような関係なのか分かりにくい」と感じる方も少なくありません。
両者の関係を簡単に説明すると、王宮の広大な敷地内に、国を司る寺院としてワット・プラケオが建てられている、という位置づけになります。
観光ルートも一体化されており、入場ゲートから入ると、まずワット・プラケオの寺院群を見学し、その後に王宮の宮殿エリアを巡る流れが一般的です。さらに、王宮エリアの見学後には、ミュージアムショップや博物館も併設されています。
入場料は一度支払えば、王宮とワット・プラケオの両方を見学することができ、別々にチケットを購入する必要はありません。
日本に例えると、皇居の敷地内にある宮中三殿のように、国家の中心となる場所の中に、重要な宗教施設が併設されている関係に近いイメージです。
タイの歴史と王宮の始まり
王宮やワット・プラケオをより深く楽しむために、タイの歴史を簡単に押さえておくと理解がぐっと深まります。ここでは、観光に関係するポイントを中心に、タイの歴史を簡潔に紹介します。
13世紀には、タイ最初の王朝とされるスコータイ朝が誕生しました。この時代に、タイ文字や仏教を基盤とした文化の基礎が形作られたと考えられています。
14世紀になるとアユタヤ王朝が成立し、アユタヤは国際貿易の拠点として大きく繁栄しました。しかし、隣国であるビルマ(現在のミャンマー)との戦争に敗れ、1767年にアユタヤは徹底的に破壊されてしまいます。
その後の混乱の中で誕生したのがトンブリー朝です。都は現在のバンコクにあたる、チャオプラヤー川西岸のトンブリーに置かれていました。
トンブリー朝は短命に終わり、1782年にラーマ1世が新たにチャクリー朝を興します。そして、旧都トンブリーからチャオプラヤー川を渡った東岸に、新たな都と王宮が築かれました。これが現在の王宮の始まりです。
19世紀になると、西洋列強が東南アジア各地を植民地化していきました。東のベトナム、ラオス、カンボジアはフランス領に、西のビルマや南のマレー半島はイギリス領となります。
そのような状況の中、ラーマ5世による巧みな外交と近代化政策によって、タイは植民地化を免れることに成功しました。
現在までチャクリー朝は続いており、現国王はラーマ10世です。王宮とワット・プラケオは、こうしたタイ王国の歴史と王権を象徴する存在として、今も重要な役割を担っています。
王宮・ワットプラケオの見どころ
先述したように、入場するとまずワットプラケオを見てから宮殿の順番なので、その順で解説します。
ワットプラケオエリア
ワットプラケオはエメラルド仏がある本堂が有名ですが、それ以外にも多くの仏塔や建物が並んでいます。
黄金に輝く建築美

王宮内に足を踏み入れると、金箔・モザイク・細密装飾がふんだんに使われた建物が立ち並びます。タイ建築特有の「豪華さ」を、入った瞬間から全身で体感できます。
特に注目したいのは、以下のようなポイントです。
- 金色の仏塔(チェディ)
- 宝石のように輝く壁面装飾
- 色鮮やかな屋根と装飾の重なり
写真映えはもちろんですが、近づいて見るほど装飾の細かさに驚きます。
回廊壁画(ラーマキエン)

ワット・プラケオの回廊には、タイ版ラーマーヤナ(インドの叙事詩)とされる「ラーマキエン」の物語が、長大な壁画として描かれています。
- 王子ラーマの冒険譚
- 猿の軍団の活躍
- 魔王との戦い
ストーリー性があるので、ただ「絵が綺麗」だけではなく、じっくり見ると「読む壁画」として楽しめます。時間がある方は、少し歩くペースを落として回廊を見ていくのがおすすめです。
アンコールワットの模型

ワット・プラケオの境内には、カンボジアの世界遺産「アンコールワット」の模型が設置されています。タイの寺院に他国の遺跡の模型があるのは、一見すると不思議に感じるかもしれません。
アンコールワットは、もともとクメール王朝の国王が建立した、王権と宗教を象徴する国家的寺院でした。タイの王権思想や寺院建築は、このクメール文化から強い影響を受けており、アンコールワットは「タイ文化の源流の一つ」としても位置づけられています。
この模型は19世紀、ラーマ4世の時代に設置されたとされ、王宮内でも最も格式の高いワット・プラケオに置かれることで、王権・宗教・歴史的正統性のつながりを象徴しています。
小さな展示ですが、「なぜここにあるのか」を知ったうえで見ると、ワット・プラケオが単なる寺院ではなく、国家と信仰の中心であることがより深く理解できます。
本堂(ウボーソット)とエメラルド仏

本堂(ウボーソット)内部は基本的に写真撮影が禁止です。観光地でありながら、内部は一気に空気が変わり、静けさと緊張感が漂います。
エメラルド仏は「想像より小さい」と感じる方が多いのですが、その分、空間全体が信仰の中心として成り立っていることが伝わってきます。タイ仏教の中心に立っている感覚を味わえる、特別な場所です。
エメラルド仏
エメラルド仏は翡翠で作られた小さな仏像で、タイ王権と仏教を象徴する国家守護仏です。国王自らが年3回衣替えを行っているようで、王と仏教の深い結びつきが表れています。
実はこのエメラルド仏はもともと隣国ラオスの首都ヴィエンチャンにありました。エメラルド仏は仏教国の国王としての正当性を示していました。
ラーマ1世の時代にラオスがタイの支配下になり、その時にバンコクに持って帰られ、王宮に置かれて国王の正当性を示したのです。
日本で言うと三種の神器を持っているのが正統な天皇であるとみなされるのと同じでしょう。
日本では三種の神器は誰も、天皇陛下ですら、見ることができませんが、タイではそれに相当するエメラルド仏を観光客でも見ることができるのです。その貴重さを忘れることなく謙虚に見学しましょう。
宮殿エリア

宮殿エリアには立ち入れない場所も多くありますが、見学の中心となるのがチャクリー・マハープラサート宮殿です。その壮麗な姿は、王宮の中でも特に強い印象を残します。
チャクリー・マハープラサート宮殿は1882年に完成した宮殿で、ラーマ5世によって建設されました。ラーマ5世は、イギリスやフランスによる植民地化の圧力を、巧みな外交と近代化政策によって乗り切った国王として知られています。
現在でもラーマ5世は「タイ近代化の父」と呼ばれ、国民からの人気が非常に高い存在です。
この宮殿の大きな特徴は、屋根部分にタイの伝統的な建築様式を残しつつ、建物全体には西洋建築の要素を大胆に取り入れている点にあります。その姿からは、伝統を守りながらも近代国家へと進もうとした、当時のタイの強い意志が感じられます。
実際に宮殿を見学すると、ラーマ5世がどのように国を近代化し、欧米列強と対等な立場で向き合おうとしたのかが、建築そのものを通して伝わってきます。
ラーマ5世の政策によってタイは植民地化を免れましたが、その裏では、イギリスとフランスの間で緩衝国として難しい外交を強いられ、さらに一部の領土をフランスに割譲せざるを得ないなど、大きな苦悩がありました。

アジアやアフリカにおいて、近代に植民地化されなかった国は、タイ、エチオピア、そして日本のみと言われています。日本も幕末には不平等条約を結ばされましたが、その後の明治維新と急速な近代化によって、植民地化を回避しました。
同じような歴史的困難を乗り越えてきた日本人だからこそ、このチャクリー・マハープラサート宮殿を通して、タイが歩んできた近代史にもぜひ思いを馳せてみてください。
王妃シリキット織物博物館・ショップ
最後に博物館とショップがあります。
王妃シリキット織物博物館は、タイ伝統織物・民族衣装・王室衣装 を中心に展示する博物館です。シキリット王妃の美しいドレスの展示を見ることができます。また、宮殿の建築と同様に、タイ伝統文化を守りながら国を近代化しようとするタイ王室の姿勢を感じられることができます。
博物館の1階にはショップもあり、ここでしか買えないキーホルダーやオリジナル商品があります。クレジットカードは使用可能ですが、300バーツ以下だと現金払いのみなので注意しましょう。
所要時間とおすすめの回り方
多くのサイトでは所要時間1時間〜1時間半ほどとの記載があります。実際私が巡った際は、かなりじっくり見たので2時間ほどかかりました。
順路が定まっているので、その順番で巡るといいでしょう。入り口近くには各国語でのパンフレットがあり、日本語版もあるのでそれを参考にしましょう。
アクセス方法
王宮・ワットプラケオ周辺にはバンコク三大寺院と言われるワットポー、ワットアルンが集まっています。これら3つを合わせて観光することが多いです。
王宮の入り口は北側にあり、ワットポーからは少し遠い位置にありわかりにくいかもしれません。地図を示しておくので参考にしてください。
MRTでの行き方
MRTで行く場合、ブルーラインのSanam Chai駅で下車し徒歩15分ほどで到着します。ブルーラインはバンコクの主要地点を通っており、多くの場所から乗り換えなしで行くことができます。一番簡単な行き方です。ブルーラインではVISA、Masterカードのタッチ決済も利用できます。
船での行き方
チャオプラヤー川を運行している船で行くことも可能です。バンコクは古くから船での交通が盛んでした。歴史や文化を感じられる点や、川沿いの景色を楽しめる点でおすすめです。船からは対岸のワットアルンの仏塔や、隣のワットポーの仏塔を綺麗に見ることができます。
チャオプラヤーエクスプレスのオレンジラインに乗船し、Tha Chang船着場で下船してください。
オレンジラインにはさまざまな船着場から乗船できますが、Sathornという船着場は、BTS(スカイトレイン)のSaphan Taksin駅が近く利用しやすいです。
オレンジライン以外はTha Changに泊まらないので注意してください。運賃は16バーツです。下船後市場内を歩くと5分ほどで王宮入り口に到着します。下船してからは客引きが多くいるため無視して進んでください。
タクシー・Grabでの行き方
タクシーや配車アプリを利用すれば、移動は比較的スムーズです。特に朝夕は渋滞が発生するため、余裕を持った移動がおすすめです。流しのタクシーはぼったくられる話をよく聞くので、できればGrabで配車しましょう。
バンコク市内中心部(サイアム周辺)から王宮までは、タクシーで約20〜40分程度が目安です。朝夕のラッシュ時や雨天時は渋滞しやすく、1時間以上かかることもあります。
また、王宮周辺は道路規制や一方通行が多いため、降車は「王宮周辺」ではなく、入口に近い通りで降ろしてもらうのがおすすめです。
その後の観光
ワットポーまでは王宮出口から徒歩15分ほどです。歩くのが面倒な場合は値段交渉が必要ですがトゥクトゥクを利用するのもいいでしょう。
ワットアルンまではTha Tien船着場まで徒歩15分ほど、そこから渡船で行くことができます。
営業時間・料金
営業時間:8:30~16:30(チケット販売は15:30まで)
料金:500バーツ
服装・参拝時の注意点
これはタイの寺院全てに言えることですが、肩や膝が露出しない服装を心がけましょう。特にタイでは国王は非常に国民の尊敬を集めており、王宮・ワットプラケオはその象徴です。敬意をもって見学するようにしましょう。
以下の服装は禁止であると公式ホームページに明確に記載されているので注意しましょう。
- ノースリーブシャツ
- ベスト
- ショートトップ
- 透け感のあるトップス
- 短いホットパンツやショートパンツ
- 破れたズボン
- タイトなパンツ
- バイクパンツ
- ミニスカート
- パンツやスカート
- 寝巻き
実際に訪れた旅行記はこちら
まとめ
王宮とワット・プラケオは、単なる観光地ではなく、
- 王室
- 仏教
- 国家
が密接に結びついた、タイそのものを象徴する場所です。
バンコクを訪れるなら、この記事を参考にぜひ一度は足を運び、タイの国家、歴史、宗教を感じてください。


