2026年お盆のJR利用実績 東海道新幹線は2年連続で過去最多、九州新幹線は4割減

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JR旅客6社が2026年8月17日、お盆期間(8月7日〜16日の10日間)の新幹線・在来線特急の利用状況を発表しました。主要46区間の利用者は1321万5000人で、前年から約4万人増とほぼ横ばいです。ただ中身を見ると、東海道新幹線が2年連続で過去最多を更新した一方、熊本地震で運休が続く九州新幹線は前年比39.8%減と、路線ごとの差がはっきり出ました。関西空港へ向かう特急「はるか」が2割減という、少し意外な数字も出ています。

東海道新幹線は1日平均41万5000人で過去最多

JR東海によると、お盆期間の東海道新幹線の利用者は414万9000人で前年比101%でした。1日平均は41万5000人となり、記録が残る1991年以降で最も多い水準です。2025年は大阪・関西万博の需要で過去最多を記録していましたが、その年をさらに上回り、2年連続の更新となりました。

列車別では「のぞみ」が295万4000人(前年比101%)、「こだま」が54万7000人(同105%)と伸び、「ひかり」は64万7000人(同99%)でほぼ前年並みでした。利用のピークは下りが8月8日の28万3000人、上りが8月16日の29万4000人です。

在来線特急も17万4000人(同102%)と前年を上回りました。目立ったのは高山本線の「ひだ」で、美濃太田〜下呂間の輸送量は4万人と前年の125%です。飛騨高山・白川郷方面の需要が戻っている様子がうかがえます。一方で紀勢本線の「南紀」は9000人(同84%)と落ち込みました。

列車 輸送量 前年度比
のぞみ 295万4000人 101%
ひかり 64万7000人 99%
こだま 54万7000人 105%
新幹線合計 414万9000人 101%
ひだ 4万人 125%
しなの 8万1000人 94%
南紀 9000人 84%
在来線特急合計 17万4000人 102%

北陸新幹線は106%、一方で関空特急「はるか」は79%

JR西日本の発表では、山陽新幹線が192万9000人(前年比100%)、北陸新幹線が41万5000人(同106%)、在来線特急が70万4000人(同98%)で、合計304万9000人(同100%)でした。北陸新幹線は1日平均で約4万1500人となり、こちらも過去最多です。「かがやき」が27万3000人(同106%)、「はくたか」が14万2000人(同105%)と、金沢・敦賀方面への流れが強まっています。

在来線特急で目を引くのが2つの数字です。伯備線の「やくも」などは岡山〜新見間で4万5000人(同121%)と大きく伸びました。逆に関西空港へ向かう「はるか」は日根野〜関西空港間で9万9000人(同79%)と、2割以上減っています。下りが82%、上りが75%で、帰りの落ち込みがより大きい形です。

JR四国では瀬戸大橋線が29万7800人(前年比99%)、予讃線・土讃線・高徳線の主要3線区が13万8700人(同103%)でした。JR東日本は東北・上越・北陸のすべての新幹線で前年を上回り、東北新幹線の北上〜古川間は64万2600人と前年より9600人増えています。

九州新幹線は前年の6割、新水俣〜鹿児島中央は1割以下に

九州だけは事情がまったく違います。2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震の影響で、九州新幹線は熊本〜新水俣間が今も不通のままです。

JR九州の発表によると、博多〜熊本間の利用者は22万7000人で前年比60.2%、新水俣〜鹿児島中央間は1万5000人で同7.5%にとどまりました。新水俣〜鹿児島中央間は8月7日に運転を再開したばかりで、期間中は各駅停車「つばめ」が1日6往復という特別ダイヤだったため、前年19万7000人から1万5000人まで落ち込んでいます。西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)は9万人(同96.2%)で、こちらはほぼ前年並みを保ちました。

九州新幹線全体では前年比39.8%減です。全国合計が前年並みで着地したのは、東海道・北陸などの伸びが九州の落ち込みをちょうど吸収した結果と言えます。

なぜ全体が横ばいでも東海道新幹線は伸びたのか

東海道新幹線が過去最多を更新した理由は、単なる旅行需要の増加だけでは説明しきれません。JR東海は今回のお盆も「のぞみ」を全席指定席で運転し、混雑時間帯には1時間あたり最大13本を走らせました。自由席をなくすと、通路やデッキに立つ人を前提とした「詰め込み」ができなくなる代わりに、座席の販売単位で確実に人を運べます。指定席は事前に売り切れが見えるため、JR側も増発の判断がしやすくなります。輸送量が過去最多になった背景には、こうした販売と運行の設計変更があるのではないでしょうか。

もう一つ大きいのが、航空からの移動です。同じ8月17日に発表された航空11社のお盆実績では、国内線の旅客数が前年比5.4%減の346万9052人でした。鉄道が横ばいで空が5%減という組み合わせは、パイの縮小ではなく、パイの中での移動が起きたと考えるほうが自然です。燃油サーチャージの高止まりで航空券の総額が上がり、東京〜大阪・名古屋のような新幹線と競合する区間では、価格の逆転が起きやすくなっています。距離が短い区間ほど新幹線に流れる構図が、今回の数字にも表れていると見ています。

関空特急「はるか」の2割減が示すもの

「はるか」の79%という数字は、単年の変動として片づけるには大きすぎます。前年にあたる2025年のお盆は、大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日)の会期中でした。会場は夢洲でしたが、関西空港から入国して大阪市内に向かう海外からの旅行者が「はるか」を押し上げていたはずです。2026年はその反動が出た、というのが一つ目の説明になります。

ただ、それだけではありません。ANA総合研究所の集計では、2026年夏ダイヤの日本着国際線の提供座席数は前年比4.6%減で、コロナ後初めて減少に転じました。日中関係を背景に中国路線が縮小した影響が大きく、成田・羽田の首都圏2空港が増えた一方で、関西空港と地方空港は減っています。関空に降りる人そのものが減れば、「はるか」の利用が落ちるのは当然です。訪日客数全体の増減だけを見て「インバウンドは好調」と語ると、この種の地域差を見落とします。関西の鉄道需要を考えるときは、全国の訪日客数ではなく関空発着の座席数を見るべきだ、というのが今回の数字の教訓だと考えます。

旅行者はここを押さえておきたい

まず日程の組み方です。2026年のお盆は、下りのピークが8月8日、上りのピークが8月16日と、JR東海・JR西日本の両方で同じ日に集中しました。曜日配列が同じなら来年も似た形になります。混雑を避けたいなら、下りは8月10日〜12日、上りは8月14日以前に動かすのが現実的です。

九州方面はしばらく注意が必要です。九州新幹線の熊本〜新水俣間は8月中の運転再開が難しいとJR九州が見通しを示しており、再開時期は被害の全容が確認でき次第あらためて公表される予定です。9月以降に鹿児島・熊本方面へ行く予定がある方は、鉄道だけで組まず、福岡〜鹿児島の臨時航空便やバス代行を含めて経路を考えておくと安全です。JALは8月19日〜31日に福岡〜鹿児島線の臨時便を設定しており、今後も運休区間の状況に応じた代替輸送が追加される可能性があります。

関西空港へ向かう場合は、「はるか」の混雑が前年より緩んでいる点が使えます。逆に北陸方面と伯備線方面は前年より混んでいるので、「かがやき」「やくも」を使う旅行では指定席の確保を早めに済ませておきたいところです。年末年始も同じ傾向が続くと見て、繁忙期の指定席は発売初日を意識して押さえるのが確実です。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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