JR東海・岐阜県・一般社団法人岐阜県観光連盟の3者は2026年9月7日、岐阜県が展開する観光キャンペーン「楽しすぎるぞ岐阜!岐阜県アウトドア観光キャンペーン」と連携した取り組みを発表しました。主要駅でのポスター掲出やデジタルサイネージ広告に加え、JR東海主催のウォーキングイベント「さわやかウォーキング」秋コースでの岐阜県内13コースのコラボ開催、来年2月頃のHC85系車両を使った団体貸切列車の運行、「エクスプレス予約」「スマートEX」会員向け「EX旅先予約」での岐阜オリジナルコンテンツ販売など、複数の施策を組み合わせて展開します。
なぜJR東海が岐阜県と組むのか
岐阜県のアウトドア観光キャンペーンは2026年9月1日から2027年2月28日までの期間、県が持つ自然資源を生かして誘客を図る取り組みです。JR東海にとって岐阜県は、東海道新幹線のドル箱区間である東京・名古屋・新大阪の間に挟まれながらも、多くの旅行者が名古屋を経由して通過するだけの県になりがちな立地でもあります。高山本線や中央本線の沿線には新穂高や下呂温泉、郡上八幡といった観光資源がありながら、東海道新幹線ほど旅行者の目的地として意識されにくいのが実情です。
今回の連携で特に目を引くのが、岩村城下町を舞台にしたオリジナルコンテンツです。「日本三大山城」の一つに数えられる岩村城の城下町は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている一方、下呂温泉や高山ほど知名度の高い観光地ではありません。JR東海がこうした認知度の低い地域をあえて前面に押し出すのは、すでに集客力のある定番観光地に頼るのではなく、新幹線と接続する在来線沿線全体の底上げを図る狙いがあると考えられます。
「エクスプレス予約」会員限定という仕組みの狙い
今回のコンテンツ販売の多くが、新幹線のネット予約サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」の会員向けオプション商品「EX旅先予約」を通じて行われる点も注目すべきポイントです。EX旅先予約で購入できるのは、新穂高ロープウェイの往復乗車券や恵那峡クルーズの乗船券、ひらゆの森や水明館の日帰り入浴、長良川鉄道・養老鉄道・北恵那交通馬籠線の1日乗車券など、岐阜県内の体験や施設利用券です。
これらの商品を新幹線のチケットとは別に、会員登録済みのプラットフォーム上でまとめて販売することで、JR東海は乗車券収入だけでなく、旅行者が現地で使うお金の一部も自社の販売網に取り込めます。同時に、岐阜県内の観光コンテンツを利用するにはエクスプレス予約かスマートEXへの会員登録が必要になるため、これから東海道新幹線を頻繁に利用する可能性がある層を自社の会員基盤に呼び込む効果も期待できます。運賃収入に加えて周辺消費まで取り込む収益源の多角化と、自社サービスへの囲い込みという二つの狙いが重なった施策だと言えるでしょう。
具体的な取り組み内容
駅でのプロモーションとしては、名古屋駅をはじめJR東海管内の主要駅でポスターを8月24日から掲出しているほか、10月5日から11月1日までは東京駅・名古屋駅・新大阪駅の新幹線改札付近のデジタルサイネージでも映像を放映します。名古屋地区の東海道線を中心とした車内中吊り広告も、8月24日から12月末まで掲出されます。
JR東海が駅発着・参加費無料・予約不要で主催しているウォーキングイベント「さわやかウォーキング」の秋コース(9月から12月)では、岐阜県内13コースを本キャンペーンとのコラボコースとして開催し、一部のコースでは岐阜県によるPRも行われます。さらに来年2月頃には、特急形気動車「HC85系」を使った岐阜県とJR東海の団体貸切列車が、専用の旅行商品として運行・販売される予定です。詳細は改めて発表されるとしています。
EX旅先予約では、岩村城下町を楽しむオリジナルコンテンツが10月上旬ごろに500円から1,500円程度で販売開始予定のほか、新穂高ロープウェイ往復乗車券、恵那峡クルーズ、ひらゆの森・水明館の日帰り入浴、恵那川上屋のモンブラン「栗一筋」の座席確約商品、東光寺の紅葉ライトアップ貸切体験、長良川鉄道・養老鉄道・北恵那交通馬籠線の1日乗車券・フリーきっぷなど、幅広いコンテンツが順次販売されます。
旅行者への影響と活用法
すでに「エクスプレス予約」「スマートEX」の会員になっている人は、新幹線のチケットを予約するついでにEX旅先予約の特設サイトをのぞいてみる価値があります。特に岩村城下町のような、知名度は高くないものの歴史的な街並みが残るスポットは、事前にセット券を押さえておくと現地での移動や入場がスムーズになります。
「さわやかウォーキング」は事前予約が不要で参加費もかからないため、東海道線や高山本線、中央本線の沿線に住んでいる人や、休日に日帰りで自然を楽しみたい人にとっては気軽に参加しやすい選択肢です。9月から12月にかけて13コースが設定されているので、紅葉シーズンに合わせて日程を選ぶとよいでしょう。来年2月頃に予定されている団体貸切列車は、詳細と申し込み方法が改めて発表される見込みのため、HC85系車両に関心がある人は今後の発表を待つ必要があります。

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