JR東海は2026年10月9日、臨時特急「三井住友VISA太平洋マスターズ」号を11月15日に1日限りで運転すると発表しました。静岡県御殿場市で開催されるゴルフトーナメント「三井住友VISA太平洋マスターズ」の観戦客輸送に合わせた列車で、浜松・掛川・静岡から御殿場まで373系電車で直通します。ゴルフ観戦と鉄道旅を組み合わせたい人には見逃せない企画です。
なぜJR東海はゴルフ観戦向けの臨時列車を仕立てるのか
今回の臨時列車に使われる373系電車は、1995〜96年に投入されてから30年以上が経過した車両です。かつては特急「東海」(東京〜静岡)でも使われていましたが、この列車は2007年に廃止されており、現在373系が定期運用を持つのは特急「ふじかわ」(静岡〜甲府、1日7往復)と特急「伊那路」(豊橋〜飯田、1日2往復)の2系統だけです。3両編成14本、42両という陣容に対して定期運用の機会は限られており、今回のような臨時列車は、空いている車両を活用する機会のひとつになっています。
一方、列車が走る御殿場線は、沼津方面を中心に通勤利用が主力の路線です。2023年度の輸送密度は6,426人/日/kmで、利用者数自体が特に少ない路線ではありません。ただ御殿場駅単体の利用者数は8,700人/日(もっとも利用が多い沼津駅37,007人/日と比べると見劣りします)で、御殿場市を目的地とする観光需要を単独で大きく動かす力は強くありません。そこに、知名度の高いゴルフトーナメントの観戦需要を乗せることで、普段鉄道を使わない層に御殿場線を使ってもらう機会を作っていると考えられます。
もう一つ見逃せないのは、1日限りの臨時列車という設計そのものです。三井住友VISA太平洋マスターズは1972年から続く歴史あるトーナメントで、2023年は今平周吾、2024年は石川遼、2025年は金子駆大が優勝するなど話題性の高い大会です。JR東海にとっては、こうした知名度の高いイベントに合わせて1回限りの列車を走らせることは、大きな投資をせずに話題性を生み出せる低リスクの試みでもあります。好評であれば今後類似の企画が広がる可能性もありそうです。
列車の概要とアクセスの事情
臨時特急「三井住友VISA太平洋マスターズ」号は、上りが浜松6:05発、掛川・静岡を経由して御殿場8:54着、下りが御殿場18:18発、浜松20:53着です。373系3両編成で全車指定席、乗車券に加えて指定席特急券が必要で、10月15日10時から発売されます。発売区間は浜松・掛川・静岡〜御殿場間に限られ、定期券での利用はできません。
この列車が便利なのは、太平洋クラブ御殿場コースへのアクセスの悪さを補う点です。会場は新幹線の最寄り駅である三島駅からも車で約40分、在来線の御殿場駅からも送迎バスで約20分かかり、どちらの駅からも直接歩いて行ける距離ではありません。御殿場駅からのタクシー利用でも1,800円程度、三島駅からは5,500円程度かかるため、浜松・掛川・静岡方面から直通で御殿場駅まで行ける列車は、乗り換えの手間を一つ減らせます。
上り列車の静岡〜御殿場間に乗車すると、大会オリジナルのチップマーカーと、御殿場産木材を使った「ごてんばっ木」コースターが配られます。観戦ツアーとしてはJTBが販売するパッケージツアーも用意されており、個人で指定席特急券を手配して観戦する方法と、ツアーで申し込む方法の両方が選べます。
旅行者が気をつけたいポイント
この列車に乗るには、まず10月15日10時の発売開始を逃さないことが重要です。373系は3両編成と編成が短く、全車指定席のため、人気の大会であることを踏まえると早期に満席になる可能性があります。
大会そのものは11月12日から15日まで4日間開催されますが、臨時列車が走るのは最終日の15日だけです。観戦日程を組む際は、この列車を使えるのは大会最終日のみという点に注意してください。グッズの配布区間が上り静岡〜御殿場間に限られている点も、乗車区間を決める際の参考になります。
ゴルフ観戦が目的でなくても、373系という定期運用の減った車両に乗れる機会そのものに価値を感じる鉄道ファンもいるはずです。11月15日に浜松・掛川・静岡から御殿場方面へ移動する予定がある人は、通常の在来線特急がない時間帯に直通できる貴重な機会として検討する価値があります。


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