東急とJR北海道は2026年10月6日、「THE ROYAL EXPRESS~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」の2027年夏(8月から9月)の運行概要を発表しました。これまで北海道クルーズに使われてきた伊豆急行2100系の車両は2026年9月の運行で運用を終え、2027年からはJR北海道の新観光列車「赤い星」編成が引き継ぎます。
2027年夏クルーズの概要
発表された2027年夏のプランは2コースです。道東エリアを中心とするプランは、帯広・網走・中富良野に宿泊する3泊4日です。函館本線を中心とするプランは、中富良野・小樽・洞爺に宿泊する3泊4日です。どちらも金曜日に出発し月曜日に戻る日程で、2か月間で計8回程度の催行が予定されています。発売日と旅行代金は、決まり次第改めて発表するとされていて、今回の発表ではまだ公開されていません。
2つのコースに共通しているのが中富良野への宿泊です。道東、函館本線というまったく異なる方面のコースが、同じ場所で一夜を過ごす構成になっている点は、富良野エリアが北海道観光の中継地として重視されていることをうかがわせます。
事業者の意図、運行主体の転換で何が変わるのか
THE ROYAL EXPRESSの北海道クルーズは2020年に始まり、7年間で6コース、計53回運行されました。使用していた伊豆急2100系は、もともと伊豆急行が伊豆地方で走らせていた車両を大規模改造したものです。この車両を毎年夏に船で北海道まで運び、道内を走らせるという特殊な運用を続けてきました。
2027年からは、この構図が変わります。車両はJR北海道が自社で保有する「赤い星」になり、ブランド名の「THE ROYAL EXPRESS」は東急が引き続き使用します。つまり、東急が旅行商品の企画とブランドを担い、JR北海道が車両と運行を担うという役割分担に整理されることになります。
この転換の実務的な利点は、車両を道外から運んでくる必要がなくなることです。伊豆急2100系を本州から北海道へ船で輸送する作業は、毎年のことながら手間とコストのかかる仕組みでした。赤い星はJR北海道の車両として道内に常駐するため、運用や保守を自社の体制内で完結させられます。
赤い星にとっても、この役割は単独運行だけでは終わりません。赤い星は2027年2月に札幌から網走までの単独クルーズ列車としてデビューする予定で、すでに時刻や料金の一部が発表されています。そこに加えて夏季は東急ブランドの北海道クルーズにも使われることになり、一台の車両を複数の商品で使い回す形になります。JR北海道にとっては、新造した観光列車を一年のうちできるだけ多くの期間で稼働させ、投資を回収しやすくする設計だと見ることができます。姉妹編成の「青い星」も2027年6月に富良野線でデビューする予定ですが、今回のクルーズ用途に充てられるのは赤い星だけです。
今回の発表では、老朽化や収益性について直接の説明はされていません。ただし、伊豆急の車両を使い続けるよりも、自社で新造した車両を道内で運用するほうが、長期的なコスト構造では合理的だと考えられます。東急としても、ブランドと企画力を提供する立場に専念することで、車両そのものを維持する負担を負わずにクルーズ事業を続けられるという利点があります。
旅行者への影響と対処法
2026年までの伊豆急2100系によるクルーズは、現時点でキャンセル待ちが中心になるほどの人気で、2026年9月の運行をもって終了します。現行車両での最後の旅を希望する場合、すでに申し込みの余地はほとんど残っていません。
2027年夏のクルーズを検討する場合、現時点では発売日も旅行代金も発表されていないため、公式な発表を待つ必要があります。東急または「赤い星」の公式サイトで、2026年秋から冬にかけて追加情報が出る可能性が高いので、気になる方は定期的に確認しておくとよいでしょう。コースは道東エリアと函館本線エリアの2種類があるため、訪れたい方面が決まっている場合は、どちらのコースに申し込むかを早めに考えておくと、発売開始後の判断がスムーズになります。
また、赤い星は2027年2月から札幌~網走間で単独の列車としても運行を始める予定です。東急ブランドのクルーズに参加するまとまった時間が取れない場合でも、単独運行の列車であれば日帰りや1泊程度の日程で赤い星に乗る選択肢があります。旅行の予算や日程に応じて、クルーズと単独運行列車のどちらが合うかを比較してみてください。


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