ANA「TOKYO+」欧州発の訪日客は国内線2区間が無料に 2026年冬季キャンペーン

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全日本空輸(ANA)は、欧州から日本を訪れる旅行者向けに、冬季限定キャンペーン「TOKYO+」を実施すると発表しました。東京での長時間ストップオーバーに加え、ANAの国内線を最大2区間まで追加料金なしで組み合わせられるという内容で、対象となる搭乗期間は2026年12月1日から2027年2月28日までです。予約の受付期間は2026年9月1日から9月30日までの1か月間に限られており、ヨーロッパでの年末年始の日本旅行需要をにらんだ動きといえます。

「TOKYO+」の内容 ー 東京滞在後にもう2区間、国内線が無料に

TOKYO+は、ANAとルフトハンザ、ITA航空の3社が参加する欧州発の国際線チケットに対して適用される特典です。対象運賃で予約すると、東京で24時間以上滞在する「ストップオーバー」の料金が免除されるのに加えて、ANAの国内線ネットワークから最大2区間まで、運賃を追加負担せずに組み込むことができます。対象となる国内線は北海道から沖縄まで40都市以上に及び、往路と復路で異なる空港を利用する「オープンジョー」の形にも対応しています。たとえば東京に数日滞在したあと、九州の温泉地へ足を延ばし、最後に沖縄から帰国するといった周遊ルートを1枚の航空券で組めるようになります。対象運賃は欧州発の直行便で899ユーロからとされており、運賃自体は無料で追加できる一方、空港税や燃油サーチャージなどの諸費用は区間ごとに別途必要になる点には注意が必要です。旅行の全行程は2027年3月15日までに完了させる必要があります。

なぜ今、欧州の旅行者に手厚い施策を打つのか(事業者の意図)

東京・大阪・京都圏に旅行消費の75%が集中する現状

観光庁のインバウンド消費動向調査によると、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4549億円と過去最高を更新し、前年から16.4%増加しました。加えて観光庁が公表した地域別の調査では、東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都・兵庫の三大都市圏に6兆5081億円(三大都市圏と地方部の合計に占める割合は75.3%)が集中しており、それ以外の地方部は2兆1338億円(24.7%)にとどまっています。訪日客数そのものは2025年に4268万3600人と初めて4000万人を突破し過去最高を更新しましたが、消費の受け皿が特定の都市圏に偏ったままでは、地方の観光関連産業にまで恩恵が波及しにくい構造が続くことになります。ANAが東京滞在に「もう2区間」を無料で付け加えるという設計にしているのは、東京だけで旅行を終わらせず、そこから先へ足を延ばしてもらうための仕掛けだと考えられます。

欧州客は「人数は少数派、単価は最大級」という構造

2025年の訪日外客数を国・地域別に見ると、韓国945万9600人、中国909万6300人、台湾676万3400人が上位を占め、欧州各国は人数で見れば上位には入ってきません。一方で、1人当たりの旅行支出は全体平均が22万8809円・平均滞在9.5泊であるのに対し、ドイツは39万3710円・平均18.0泊、イギリスは39万391円・平均14泊台と、突出して高い水準にあります。滞在日数が長く、単価も高い欧州客は、人数の規模以上に地方経済への波及効果が見込める客層です。ANAが人数の多いアジア市場ではなく、あえて欧州市場に絞ってこの施策を投入している背景には、こうした客層ごとの収益構造の違いがあると見てよいでしょう。

ITA航空の参加で広がる欧州ネットワーク

このキャンペーンはJNTO(日本政府観光局)との共同企画として2025年に始まったもので、2026年で2年連続の実施になります。今回新たにルフトハンザ・ANAの欧州-日本間の共同事業にイタリアのITA航空が加わったことも見逃せない動きです。ITA航空とルフトハンザ・ANAの提携は2026年6月にIATA年次総会の場で合意されており、2026年秋からローマ・フィウミチーノ-東京羽田線が共同事業の対象に加わる予定です。TOKYO+の参加社にITA航空が名を連ねているのは、この提携拡大とタイミングを合わせた動きだと考えられ、イタリアという新たな欧州の窓口を使って国内線乗り継ぎ需要を取り込もうとする狙いがうかがえます。あわせて、12月から2月という冬季は国際線・国内線とも需要期のピークを外れやすい時期であり、両区間の座席を埋める狙いも当然含まれているでしょう。

欧州から日本を訪れる旅行者が今すべきこと

このキャンペーンを使うには、2026年9月30日までに対象運賃で予約を完了させる必要があります。搭乗期間は2026年12月1日から2027年2月28日までと定められているため、年末年始やクリスマス休暇に合わせて日本を訪れたい欧州の旅行者にとっては、9月中に旅程を固めて早めに予約する必要があります。国内線を組み込む際は、東京滞在に加えてどの2都市を選ぶかが計画の要になります。冬の北海道で雪景色を楽しんだあと、南下して沖縄で暖かい気候を体験するというように、季節の異なる地域を組み合わせるのも一案です。往路と復路で異なる空港を使えるオープンジョーに対応しているため、たとえば東京から入って大阪や福岡から帰国するルートも組みやすくなっています。

日本国内に住む読者にとって直接使える特典ではありませんが、海外の家族や友人を日本に招く予定がある場合は、この制度を知らせてあげることで、東京だけでなく自分の地元や好きな地方都市まで足を延ばしてもらいやすくなります。国内線区間の運賃は無料でも、空港使用料や燃油サーチャージなどの諸費用は区間ごとにかかるため、案内する際はその点もあわせて伝えておくとよいでしょう。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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