引っ越し荷物を新幹線で運ぶ「アートでマッハ便」「アートで荷もっシュッ!」9月1日開始

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アート引越センター、JR東海グループ、JR西日本グループは2026年8月31日、東海道・山陽新幹線の荷物輸送サービスを使った引っ越し輸送「アートでマッハ便」「アートで荷もっシュッ!」を9月1日から始めると発表しました。少量の家財を伴う引っ越しが対象で、東京から博多までの広域都市間を最短当日でつなぐ新しいサービスです。

サービスの仕組み

区間ごとにサービス名が分かれています。東京駅から新大阪駅の間はJR東海グループが運営する「東海道マッハ便」を活用した「アートでマッハ便」、新大阪駅から博多駅の間はJR西日本グループが運営する「荷もっシュッ!」を活用した「アートで荷もっシュッ!」です。

主な輸送駅は東京・名古屋・新大阪・岡山・広島・博多の6駅で、これらの駅間であれば新幹線で即日輸送し、最短当日での新居搬入に対応します。アート引越センターが荷物を集荷して駅まで運び、新幹線区間の輸送を終えた荷物を到着駅から再び同社が新居まで届ける仕組みです。対象区間以外の駅間を利用する場合は個別の調整が必要になり、荷物の量や発着地、輸送スケジュールによっては翌日以降の到着になることもあります。

なぜ今、新幹線で引っ越し荷物を運ぶのか

背景にあるのは、トラック輸送を取り巻く深刻な人手不足です。

2024年4月からトラック運転手の時間外労働が年960時間までに規制されました。長距離輸送の担い手が構造的に不足するなか、このまま何も手を打たなければ2030年には国内の荷物のおよそ35パーセントが運びきれなくなるという試算も出ています。政府はこの状況を受けて、鉄道による貨物輸送量を2020年度の1800万トンから3600万トンへと倍増させる目標を掲げ、トラックから鉄道への転換(モーダルシフト)を後押ししています。

引っ越し業界は、この人手不足の影響を特に受けやすい業種です。引っ越しの需要は3月から4月の進学・異動シーズンに集中します。この時期は長距離便を担うトラックと運転手の確保が難しくなり、希望の日程で引っ越しできない、料金が跳ね上がるといった問題が起きやすくなります。新幹線を使えば、都市間の幹線輸送をトラックの長距離運行に頼らずに済ませられるため、繁忙期の輸送力不足を和らげる手段になり得ます。

JR側の狙いも見ておく必要があります。「東海道マッハ便」「荷もっシュッ!」は、これまでも生鮮食品や医療用の細胞といった、単価が高く時間に制約のある小口荷物の輸送で実績を積んできました。新幹線はもともと乗客を運ぶために走らせる列車であり、空いている車両スペースに荷物を積む追加コストはわずかで済みます。座席を減らす必要もないため、荷物を積めば積むほど利益率が高くなりやすい事業です。引っ越し荷物という新たな顧客層を取り込むことは、JR東海・JR西日本にとって新幹線の収益源をさらに広げる一手になります。

大手のアート引越センターと組んだ点にも合理性があります。全国規模の集荷・配送網を持つ引っ越し業者と提携することで、JR側は都市間の幹線輸送だけに専念でき、アート引越センター側は自社トラックによる長距離往復を減らせます。互いの得意分野を組み合わせた分業といえます。

引っ越しを控えている人への影響

このサービスは、東京・名古屋・新大阪・岡山・広島・博多という主要駅を結ぶ広域の引っ越しで、しかも荷物の量が少ない単身者や小規模な引っ越しを主な対象としています。家族全員分の大量の家財がある引っ越しにそのまま当てはまるサービスではない点は押さえておく必要があります。

料金についての具体的な案内は今回の発表には含まれていません。通常の引っ越し料金と同様に、荷物量や距離、時期に応じた個別見積もりになると考えられます。遠方への引っ越しを検討している場合は、こうした新幹線輸送サービスを扱う業者とそうでない業者の両方から見積もりを取り、到着までの日数と料金を比較して選ぶとよいでしょう。

とくに恩恵が大きいのは、3月から4月の引っ越し繁忙期に長距離移動を予定している人です。この時期はトラックの確保が難しくなり、希望日に引っ越しできないケースが少なくありません。新幹線を使った輸送手段を提供する業者が増えれば、繁忙期でも日程の融通が利きやすくなる可能性があります。転勤や進学で広域の引っ越しを控えている人は、早めに複数の業者に相談し、新幹線輸送サービスの対象区間・対象荷物量に当てはまるかどうかを確認しておくとよさそうです。

まとめ

「アートでマッハ便」「アートで荷もっシュッ!」は、トラック輸送の人手不足という社会的な課題と、新幹線の空きスペースを収益化したいJRの思惑がかみ合って生まれたサービスです。対象は少量の家財を伴う都市間の引っ越しに限られますが、長距離輸送の選択肢が一つ増えたことは、引っ越しを控える人にとって覚えておく価値があります。

ぴりか

地理や旅行が大好きな一般人。東京出身ですが、四国、九州など転々と移住し、今は北陸に住んでいます。学生時代に47都道府県を自転車で制覇。国内旅行業務取扱管理者の資格あり。JGC取得済み。

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