台湾のチャイナエアラインは、富山きときと空港と台北/桃園国際空港を結ぶ定期便を、2026年8月20日から運航再開すると発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大を理由に2020年3月から続いていた運休が、ついに解消されることになります。運航再開まで実に6年半、地元では待ちわびていた人も多いのではないでしょうか。
6年半に及んだ運休と、その間の動き
富山〜台北線は、コロナ禍前は週4往復というかなりの高頻度で運航されていました。しかし2020年3月1日を境に全便が運休となり、その後も運休期間は「令和2年3月1日〜令和7年10月25日」から「令和2年3月1日〜令和8年3月28日」へと、たびたび延長が繰り返されてきました。
その間、路線が完全に眠っていたわけではありません。2023年10月・11月には臨時便が設定され、2024年1月31日には水曜・土曜運航の臨時便として一時的に運航が再開されています。ただしこれは3月末までの期間限定運航で、その後は再び運休期間が延長されました。さらに2026年1月から3月にかけても、月2回程度のペースで計12往復の臨時便が飛んでいます。つまりこの6年半は「完全な運休」ではなく、「本格再開の一歩手前まで来ては引き返す」ことを繰り返してきた期間だったといえます。今回の8月20日再開は、こうした断続的な臨時便の実績を積み重ねた末にようやくたどり着いた、正式な定期便化ということになります。
具体的な運航スケジュールは、両都市発とも月曜日と木曜日の週2往復です。月曜日はCI170便が台北を7時15分に出発し富山に11時15分着、折り返しのCI171便が富山を12時15分に出発し台北へ14時40分着となります。木曜日はCI370便が台北13時55分発・富山17時55分着、CI371便が富山18時55分発・台北21時20分着です。使用機材はA321neo型機で、夏季には全19往復が予定されています。
なぜ今、再開に踏み切ったのか
背景を数字で見ていくと、再開までの経緯が見えてきます。富山空港全体の国際線利用者数は、2024年度に前年度比およそ2倍となる4万7018人まで回復しました。これは当時、上海便(中国東方航空)が週2便から週3便に増便され、大連便(中国南方航空)も定期運航されていたことが押し上げ要因でした。ただしその後、上海便は2026年3月29日から10月24日にかけて火・水・土の便が「市場動向」を理由に運休となり、大連便も2025年8月2日から2026年10月28日にかけて水・土の便が運休を続けています。つまり富山空港の国際線は、足元ではむしろ上海・大連の両路線が細っている状況にあり、そうした中での台北線再開は、空港の国際線ネットワークを下支えする数少ない材料だといえます。
もう一つの理由は、富山県にとっての台湾市場の重みです。観光庁の調査では、富山県内の外国人宿泊者数のうち台湾・香港の両市場が上位を占めており、県のインバウンド戦略において台湾は無視できないターゲットとなっています。中でも立山黒部アルペンルートは台湾で認知度・人気が非常に高く、立山町を訪れる外国人観光客のうち台湾からの旅行者が4割程度を占めるとされています。「雪の大谷」に代表される雪景観は台湾では見られない光景として強い訴求力を持ち、富山県も台北駅構内での広告掲出や、桃園メトロ空港線でのラッピング列車運行など、現地でのプロモーションを重ねてきました。運休が続いていた6年半の間、台湾からの観光客は富山へ直行する手段を失っていたわけで、その機会損失は決して小さくなかったはずです。
一方でチャイナエアライン側の事情も見逃せません。再開後の便数が運休前の週4往復から週2往復へと半減しているのは、単に需要が半分になったからではなく、同社の機材繰りが厳しいことが要因とされています。国際線各路線への機材配分の中で、富山線にどこまで機材を割けるかという経営判断が働いた結果、まずは週2往復からの再スタートという「小さく始めて様子を見る」形になったと考えられます。将来的に台湾側・富山側双方の需要が上向けば、増便の余地は十分に残されているといえるでしょう。
富山〜台北線は現在、両都市を結ぶ唯一の直行便でもあります。北陸新幹線の延伸で首都圏からのアクセスが向上した富山にとって、空路での台湾直結ルートを維持することは、新幹線とは異なる客層を呼び込む手段としても意味を持ちます。
旅行者への影響と対処法
富山県内や北陸地方に住んでいて台湾旅行を考えている方にとっては、地元の空港から乗り継ぎなしで台北へ向かえる選択肢が戻ってきた意味は大きいといえます。運休中も、隣県の石川・小松空港からはエバー航空やタイガーエア台湾が台北/桃園便を毎日運航しており、北陸から台湾へ向かう際の代替ルートとして機能してきました。8月20日以降は、富山からもあらためて直接台北へ向かえるようになります。
ただし週2往復(月曜・木曜)という運航頻度には注意が必要です。出発・帰国の曜日がこの2日に限られるため、旅行日程はまず就航曜日を起点に組み立てる必要があります。
座席数に限りがある路線のため、繁忙期にあたる夏休みやお盆の時期は早めの予約が安心です。予約は航空券比較サイトのほか、チャイナエアラインの公式サイトからも可能です。運航開始直後は搭乗率や需要の動向によって今後の便数が左右される可能性もあるため、地元の空港から台湾へ足を運ぶ機会として、この直行便をぜひ活用してみてはいかがでしょうか。


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